「人口減少社会における地方自治体の役割」地方創生・東京一極集中と新たな国土作り
講師は、明治大学大学政治経済学部の加藤久和教授です。電力中央研究所主任研究員、国立社会保障・人口問題研究所室長などを経験し、専門分野は、人口経済学、社会保障論、計量経済学。
講演の主な点
1 人口縮小時代の直視すべき現実
将来人口推計(2017年推計)は、2020年の総人口は1億2,571万人、2065年の総人口は、8,808万人(65歳以上の割合は38.4%、75歳以上の割合は25.5%)
2020年の国勢調査の結果、総人口は126,227千人で5年前と比べ868千人の減少。これは山梨県の人口(2020年10月1日現在806,210人)より多い。
人口減少が形容詞のようになっているがデータに基づき、しっかりとイメージすることが必要。
今後、50年間で人口の1/3の人口が失われ、人口規模が小さく、人口密度が低い市町村ほど、人口減少の速度が速い。また、直面する問題(産業・雇用の維持、高齢化対応等)は難しい。地域だけで解決できる問題は限られている。人口減は高齢化を伴い、時間と共に地域の内在的な力に限界が来ることも考えるべき。
若者の流出は地方の人口減少の最大要因であるが、地方消滅の定義として、2010年~2040年にかけて「20~39歳女性人口」が減少する自治体。
2 人口移動の現状と東京一極集集中
近年の人口移動は、中京圏(愛知、岐阜、三重)、関西圏(京都、大阪、兵庫、奈良)については転入と転出はほぼ同じ。東京圏(埼玉、千葉、東京、神奈川)は、転入数も転出数も多いが、転入超過数は、東京圏の人手不足状況と連動している。また、東京圏は集積の経済のメリットがある。一方で高い地価や長時間通勤等の混雑現象のデメリットや自然災害のリスクもある。
東京一極集中問題の解決は、東京圏を弱体化させるのではなく、中核都市(人口が20万人以上など)を強化することで対応すべきである。
3 地方創生と自治体:その役割と課題(多極化・コンパクト化・集積化)
地域活性化(地方創生)の事例は、個別的・偶然的要素が大きく、人材依存で、地域は多様であり真似できない。
中核都市をまとめ、育てるためには、中央でもなく地方でもなく新たなシステムが必要とされる。人口減少時代にこそ、俯瞰かつ客観的な計画を立てられる主体(道州制を含め)が不可欠である。
新たな自治体行政の基本的な考え方のポイント
地方圏の圏域マネジメント(圏域単位での行政をスタンダードにする)、二層制(都道府県・市町村)の柔軟化、立地適正化計画とコンパクト化、サービス施設の立地する確率が50%及び80%となる自治体の人口規模は、人口10万人超の自治体には多様なサービス施設が立地。
2040年頃から逆算し顕在化する諸課題に対応するために必要な地方行政体制のあり方等に関する「第32次地方制度調査会」の視点
〇目指すべき地方行政の姿として
地方行政のデジタル化(デジタル・ガバメント、行政手続きのオンライン化、自治体クラウド、AI等の導入やオープンデータの取り組み)、公共私の連携と地方公共団体の広域連携。
〇地方創生で考えるべき視点
マイナス・サム社会の覚悟、若い人が主役の長期の戦略、中央VS地方の視点は古い、地方は多様である、高学歴・20-39歳女性が満足する拠点づくり、コンパクトな地域計画が必要。フルセット主義からの脱却、広域連携への決断。
結論に代えて
国土のあり方を考えるには20年後を見据える必要がある。たぶん、この10年は慣性のままでもなんとかなるが、20年後はそうはいかない。
一極集中から多極化へ。そしてそれぞれの極を中心に地域間のネットワーク化を進め、ネットワーク内の各ノードではコンパクト化を進めるというのがイメージ。
人口減少を踏まえ,集中と選択は必須であり、地域の極をいかに成長させるかが課題。
地方の時代から地方の中心地の時代。以上が講演の要旨です。
*改めて「人口減少時代にこそ、俯瞰かつ客観的な計画を立てられる主体が不可欠である」が強く印象に残りました。(担当 渡辺太郎)
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