【概要】日本酒のマーケティング戦略について、2020年度に「醸して大仙」プロジェクト始動、2021年は産学官連携で酒造りを開始した。秋田が衰退しないよう魅力を発信し、マーケティング視点で地域を盛り上げている。*地域マーケティングとは、自治体や地域が主体となって、その地域にヒト、モノ、カネを呼び込むマーケティング戦略のこと。
【内容】大仙市の5つの酒蔵(刈穂酒造、出羽鶴酒造、鈴木酒造店、奥田酒造店、金紋秋田)と大仙市(人口約7.5万人)と秋田大学の学生と産学官連携の下、オリジナルの日本酒づくりに取り組んでいる。その他、公的機関として、秋田県、(公財)あきた企業活性化センター、座間市役所、メディアとして、rirox、㈱DIRECT、㈱秋田魁新報社、秋田テレ㈱、秋田朝日放送㈱、㈱秋田放送、㈱エフエム秋田、酒米生産者、卸・小売業者、シンクタンクの㈱フィディア情報総研が協力をしている。
〇活動の背景と目標
秋田県は、日本酒の製造量で全国第5位、消費量も全国2位の酒どころ。また、約6割(約7,000kl)を秋田県民が消費し、地産地消ができている。秋田県内最大の7つの酒蔵を有するのが大仙市であり、大仙市の日本酒の魅力を発信する。
大仙市産の日本酒の美味しさを多くの方に知ってもらい、コロナ禍前の売り上げの回復に貢献することとブランド向上に寄与すること。日本酒を造るだけでなく、日本酒を活用した地域活性化が最終目的としている。
産学官連携醸造酒「宵の星々」は(1本750ml、1,980円)は、酒米づくりから日本酒造り、販売、PRまで、一貫して学生が関わっている。「宵の星々」は品質が高く商品力はあるが、拡大には商品の価値を知らしめる発信力とのバランスを取ることが重要としている。
知名度アップとして、消費者が広告との接触機会を増やすため、YouTubu、インスタグラム、X(旧Twitter)、TV、新聞、ラジオ、雑誌など費用対効果を検討しながら多くのメディアを活用している。特に、広告効果が高かったものは、秋田県民の半数が購読している「地元新聞」、こたつに入って家族団らんで見る休日の「長寿テレビ番組」である。
その他の成果として、林外務大臣(当時)に贈呈、自治体交流(須賀川市、大仙市、座間市、)、海外研究者との交流(全米乾牧草協会・輸出加工者協議会理事など)、大手通販サイト2社の純米吟醸酒部門で売上第1位を獲得、県外からの集客、大仙市のふるさと納税の返礼品に採用、大学の卒業生は、大仙市、秋田県庁他多くの自治体・企業で即戦力として活躍している。
〇産学官連携成功の要因
- 共通の志と目的を共有する。
- 資金・人材を確保する。
- 既存の地域資源(ヒト・モノ・コト)を活用する。
- とことんコミュニケーションをとる。
- 多くの人・組織・地域を巻き込む。(立場や活動範囲を超えて連携、仕事や趣味・興味・得意なこと、其々Win-Win-Winの関係になる)
地域活性化(地域ブランドの確立、地域への愛着・誇りの醸による地域の魅力向上)のサイクルと経済活性化(雇用の安定と定着、起業促進による地域企業の振興)のサイクルを回すことや、まちづくり(教育、観光、まちおこし、経済)に積極的に関わることについて課題等をお聞きした。
【感想】
デジタル社会における地域活性化や地方創生には、地域特性に応じた、ローカルイノベーションが欠かせないと感じました。イノベーションとは、物事の「新機軸」「新結合」「新しい切り口」「新しい捉え方」「新しい活用方法」を創造する行為のことで、それまでのモノ・仕組みなどに対して全く新しい技術や考え方を取り入れて新たな価値を生み出して大きな変化を起こすことです。
大仙市の日本酒の取り組みを1つの事例として、岡谷市の歴史・文化、地域特性、特徴を踏まえたモノ、コト、ヒトを考えることが重要であり大変参考になりました。
〇㈱CARTAの矢田部美里代表取締役による「地域ブランディングのケーススタディ 地域資源を活用した“香り”とプロダクト開発の道のり」
2022年に日本クラフトフレグランス会社CARTAを福岡で創業。CARTAは、地域の素材を使った日本のクラフトフレグランスのブランド。ブランドの考えの礎は、地方創生、日本の地位社会に根ざした香りづくり。
“香りで日本を呼び起こす”をミッションに、日本の地域を訪れ、その土地の文化や風習を作った“香り”を作ることで、失われつつある日本の情景を次世代に繋ぐことを目指している。
開発した商品の「MASU/珊瑚ディフューザー」は、有田焼に分類される肥前吉田焼の陶磁器の容器の中に、白い珊瑚が入っている。珊瑚は、喜界島の天然珊瑚を使用し、珊瑚の多孔質な材質がオイルを適度に揮発させる。オイルは喜界島の在来・固有種の柑橘を使用し、生産者が丁寧に育て上げた素材を、新鮮な状態で蒸留し、エッセンシャルオイルを抽出したもの。調香師に依頼し、特別に配合調整、島の情景を香りで再現した。合成香料を一切使用しない、自然素材100%のオリジナルブランドオイル。売り上げの1部は珊瑚の環境保全のため、喜界島サンゴ礁科学研究所に寄付される。価格はフレグランスオイル10ml付で¥22,000。
島の珊瑚のビーチを見て、珊瑚の多孔質な資材をアロマストーンのように使えないかと考え商品開発。喜界島の事例(花良治みかん、シーク―)を、鹿児島の芳樟、沖縄の月桃、福岡の楠木、岩手の黒文字、京都の北山杉など全国で展開中。
製造、デザイン、オペレーション、事業相談の組織体制ができており、セールスポイントも独自の流通チャンネル、ユニセックスデザイン、プロダクトデザイン、ブランディングも確立。ターゲットも「持ち物のひとつひとつにこだわりがある、説明ができる」「流行っているから買わない、人とカぶりたくない」「個性的、ユニーク、カルチャー、アート」「モード、ヴィンテージ、上質、ラグジュアリー」「ストーリー、こだわり、高級感を推したい」「ブラック、モルタル、個性的なカラーのポイントづかい」と明確。
組織体制、セールスポイント、ターゲットは良く研究されており、地方自治体における地域ブランドの考え方、取り組みに大変参考になりました
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全国市町村国際文化研修所の議会議員特別セミナーに参加しました。
講義は兵庫県養父市の広瀬栄市長による「国家戦略特区の取組と地方創生〜養父市の挑戦」と(株)よしもとエリアアクションの泉正隆代表取締役社長による「吉本興業の地方創生の取り組み〜笑いの力で地域を元気に!」です。
養父市の広瀬市長は、国家戦略特別地域の指定を受け、農業をはじめ、高齢者雇用や医療、公共交通など、様々な分野で規制緩和を行っている。持続可能なまちづくりを目指し、中山間地の地方創生モデルになるよう挑戦しています。
養父市は人口約22,000人、面積422.91k㎡、高齢化率40.17%(令和6年2月末現在)
日本一へのまちづくり宣言条例「日本一 農業をしやすいまち」「日本一 子育てをしやすいまち」「日本一 福祉が充実したまち」を平成30年3月に制定している。全国画一的な施策ではなく、養父市自らが施策を考えて実施すべきとして、特区制度を活用し中山間地域の価値を創造しています。
規制改革メニューとして、農業員会と市の事務分担、農業生産法人の要件緩和、企業による農地取得の特例、農業への信用保証制度の適用、農用地区内に農家レストランを設置、古民家への旅館業法の適用除外、高年齢者等の雇用の安定に関する法律の特例、特定非営利活動法人の設立手続きの迅速化、過疎地域等での自家用自動車の活用拡大、テレビ電話による遠隔服薬指導など様々な実績がある。
「養父市には守らなければならないものがある。だから、養父市は挑戦しつづける」という言葉は胸に響きました。
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