(新型コロナ)活動制限中の高齢者施設、人と交流「楽しかった」/オンラインでボランティア/愛知県の一般社団法人主催
公明新聞掲載 2020年06月30日 7面
コロナ禍で高齢者施設でのボランティア活動が制限される中、愛知県内で高齢者デイサービスなどを運営する一般社団法人「日本福祉協議機構」はこのほど、オンラインを活用して名古屋市緑区内にある四つの高齢者施設と発信場所を同時に結び、フラワーアレンジメントやバイオリン演奏会を開く“オンラインボランティア”を実施した。初めての試みに各施設から計50人の高齢者が楽しんだ。実施を後押しした公明党の岡明彦県議も施設で活動を見守った。
■フラワーアレンジメントとバイオリン演奏に笑顔
フラワーアレンジメントの講座を担当したのは、NPO法人「花文化を無形文化遺産に推める会」の坂梨晏彩子理事とフラワーデザイナー養成学校の河村裕美子専属講師。器に入れた吸水スポンジにバラやヒマワリなどをドーム状に生ける「丸型」の作り方を、各施設の高齢者一人一人に語りかけるように説明した。
使用した花は、県が花卉農家や農業団体から買い上げ、無償で施設へ提供されたものを活用。器や吸水スポンジなどの資材は、土木工事などに携わる市内の会社が準備した。坂梨理事は「オンラインを通してだったが、参加者が楽しそうに花を挿しているのを画面越しに見ることができて良かった」と述べた。
一方、バイオリン演奏は、中部地域を中心に活動する苅谷なつみさん。高齢者も口ずさめるようにと曲は「荒城の月」と「川の流れのように」を選んだ。苅谷さんは「劇場などが閉まっているので演奏会が全て中止に。みんなで一つのイベントを作ることにやりがいを感じた」と笑顔で語った。
参加した施設の一つである「季楽デイサービス 春夏秋冬」では、新型コロナの影響で4月から外部講師を招いたボランティアが全て中止になった。同施設に通う舩戸芳子さん(86)は「毎回のボランティアを楽しみにしていたので中止になって残念だった。今回は施設以外の人とつながることができて楽しかった」と目を細めた。丸山佳代子所長は「職員もボランティアが来られない中、空いた時間を埋めることに苦労していたので助かった。利用者も楽しんでいて良かった」と感謝していた。
■公明県議が橋渡し
コロナ禍で訪問ボランティアが次々と中止になる中、岡県議は高齢者施設を元気づけるために日本福祉協議機構とNPO法人、演奏家にオンラインボランティアの実施を提案。その後、緑区内の施設にも声を掛けた。岡県議は「全国の高齢者施設でICT機器の導入が進むきっかけになれば」と期待を寄せる。