おか 明彦 愛知県議会議員(名古屋市 緑区)

教育と防災のスペシャリスト

ハダカイワシ、ウニなど価値ある化石の発掘調査/深海生物150個超発見/愛知・南知多町

公明新聞掲載 2021年12月22日 7面

愛知県西部に位置する知多半島の南知多町にある地層「師崎層群」(メモ)でこのほど、化石の発掘調査プロジェクトが4日間にわたり実施された。研究者や大学生、地元の化石愛好家団体「東海化石研究会」の会員らでつくる「あいちに自然史博物館を!協議会」が実施。師崎層群は40年ほど前の調査で保存状態の良い深海生物の化石が見つかったことから、海外から注目されている。協議会は県立の自然史博物館の設立をめざしており、今回の調査を「一歩前進」としている。
今回の発掘調査プロジェクトでは、化石が埋まる師崎層群の崖を重機で砕き、落ちた石を参加者がハンマーでたたき割った。その結果、目と「発光器」が残るハダカイワシが見つかった。こうした保存状態が良い形での発掘は世界的にも珍しいという。このほか、サバやウニの仲間、貝など150個以上の保存状態の良い化石が見つかった。

通常の化石は、目などのやわらかい部分は腐ったり、バクテリアや他の生物に食われたりして残らないことが多いとされる。協議会の大路樹生会長(名古屋大学教授)は「今後の詳細な観察と分析によって当時の深海動物がどのような姿で生きていたかなどが解明できるだろう」と期待する。

プロジェクトでは高校生を対象にした発掘体験の教育プログラムも実施。参加した半田高校2年生の清一凛さんは、ウニやクモヒトデの化石を見つけた。師崎層群の発掘調査は高校に入ってからの念願であり、「良い経験、勉強になった。将来は古生物学者になりたい」と話していた。

今回の発掘調査は、費用をクラウドファンディングで調達することで354万7000円が集まり、資金の一部に充てた。

■公明県議、自然史財保護に尽力

愛知県には県立の自然史博物館がないため、県内で産出された化石などの自然史財が県外や国外に散逸しているという課題がある。

公明党の岡明彦県議は、2015年に「東海化石研究会」の蜂矢喜一郎会長(あいちに自然史博物館を!協議会副会長)から、県立自然史博物館設立の要望を受けるとともに、師崎層群に良質な化石が存在することを聞いた。これを受けて同年12月定例会の文教委員会で、化石や鉱物などの自然史財の保護について質問。18年12月定例会では「自然史文化財を保管できる仕組み、貴重なコレクションの寄贈、寄託を受ける仕組みをつくるべきだ」と主張した。協議会事務局の中心者にも就き、19年、メンバーと共に大村秀章知事に会い、県立自然史博物館の設置を要望した。

■「県立博物館の設立へ一歩」

蜂矢会長は岡県議の働きに関して「これだけ働いてくれる政治家はいない」と評価。「自然史博物館を設立するための一歩が踏み出せた。今後も県立の自然史博物館設立に向けて活動していく」と決意を述べた。