主張
原爆投下75年
被爆者の思い共有し核廃絶を
2020/08/06 2面
きょう6日、人類史上初の原子爆弾が広島市に投下された。その3日後に、再び原爆が長崎市に落とされた。
立ち上る巨大なキノコ雲の下で、広島市で14万人、長崎市で7万4000人もの人が一瞬のうちに命を落としたと推計されている。たとえ生き残っても、放射能汚染の後遺症に悩まされ続ける。
この惨劇から今年でちょうど75年。核兵器のない世界を何としても実現するため、唯一の戦争被爆国である日本が、国際社会をリードしていくとの決意を強めたい。
「地獄とは被爆者が体験したような場所だと思う。二度と起こしてはいけない」
3日の英BBC放送(電子版)が紹介した、被爆者の上野照子さんの言葉だ。上野さんは広島市への原爆投下当時、爆心地から約1・6キロの広島赤十字病院にあった救護看護婦養成所の2年生だった。養成所の寄宿舎は倒壊し、同級生が目の前で焼け死んだり、圧迫死したりした。
忘れてはならないのは、広島と長崎の被爆者が、自身が体験した同じ“地獄”を将来の人たちに味わわせてはならないと、壮絶な被爆体験を語りながら、核廃絶を世界に求め続けてきたということだ。
2017年7月に国連で採択された核兵器禁止条約(核禁条約)は、核兵器に「絶対悪」の烙印を押し、その使用や開発などを幅広く禁止した。核禁条約は、前文で「ヒバクシャの受け入れ難い苦しみに留意する」と明記している通り、被爆者の訴えに共感する国が数多く存在するからこそ誕生した。この共感の輪をさらに広げる必要がある。
残念ながら、米国やロシア、中国などの核兵器保有国は、より使いやすい爆発力を抑えた低出力核弾頭や、その運搬手段となる新たなミサイル開発に力を入れている。
また、北朝鮮は核抑止力を増強する姿勢を強めている。中東に目を向けると、核兵器開発疑惑が持たれているイランやイスラエルに加え、トルコやサウジアラビアも開発に着手するのではないかとの懸念さえ出始めている。
核兵器保有国と非保有国が核廃絶という目的を共有し、その実現に向けて歩み出せるような環境を、日本がつくり出していきたい。

公明新聞より
7月豪雨
再建支援、迅速に
衆参特委で公明訴え
2020/07/29 1面
■(道路)国が代行し復旧工事
■(廃棄物)半壊家屋解体に補助
■(避難所)ホテル、旅館の活用
衆参両院の災害対策特別委員会は28日、九州や中部地方を中心に各地で大きな被害をもたらした7月の豪雨を巡り、閉会中審査を行った。公明党から衆院で江田康幸氏、参院で宮崎勝、矢倉克夫の両氏が質問に立ち、インフラ復旧や災害廃棄物の早期撤去、避難所の確保に向けた支援を急ぐよう訴えた。
江田氏は、熊本県の球磨川の氾濫により被災した橋や県道、市町村道の早期復旧をめざし、国が直轄代行で整備することに言及。「再度災害が起こらないような復旧を」と力説し、進ちょく状況を聞いた。
国土交通省側は、流失した10カ所の橋や被災した計約100キロメートルの県道などについて、国が復旧事業を代行すると報告。「被災の原因調査を進め、再度災害防止を踏まえた復旧方法を検討していく」と答えた。
災害廃棄物の処理について江田氏は、全壊だけでなく半壊した家屋に対しても国が解体費用を補助する方向で検討していることを評価。2016年の熊本地震では、国の財政支援によって市町村の負担が軽減され処理事業が円滑に進んだと指摘し、国による手厚い支援の必要性を強調した。
石原宏高環境副大臣は、「半壊家屋の解体も含めて補助対象とし、国が熊本地震並みの97・5%以上の財政支援を行う」との考えを示した。
一方、宮崎氏は、新型コロナウイルス禍で分散避難が呼び掛けられたことから、被災者の避難先が、学校など自治体が指定した避難所だけでなく、親戚・友人宅など多方面にわたっていると指摘。きめ細かい支援をするため、「生活支援相談員が在宅避難者などに対しても見守り支援を行うべきだ」と促した。
加えて、被災したホテルや旅館を2次避難所として活用できるよう、復旧費用を公費で負担するよう要請。内閣府側は、国庫負担を前提に自治体や宿泊施設の経営者らと「速やかに補修工事が開始できるよう調整を図っている」と答えた。
住まいの再建に関して宮崎氏は、応急修理制度を活用して壊れた自宅を修繕する被災者も、仮設住宅に入居できるようになったことに言及。「自治体や被災者にきめ細かく周知してもらいたい」と求めた。
■義援金差し押さえ禁止へ恒久法必要
矢倉氏は、被災者の生活再建を後押しする観点から、義援金を金融機関などが差し押さえることを禁止するために「恒久的な法律が必要だ」と主張し、政府の見解をただした。
武田良太防災担当相は「生活再建のために自ら使用することを期待されている義援金の趣旨を踏まえると、大変意義あるものと考えている」と答弁した。

おはようございます。
今日の公明新聞を転載します。
豪雨災害から施設の高齢者どう守るか
鍵屋一・跡見学園女子大学教授に聞く
2020/07/28 3面
九州に甚大な被害をもたらした記録的な豪雨で河川が氾濫し、熊本県球磨村の特別養護老人ホーム「千寿園」の入居者14人が犠牲になった。高齢者施設の被災は過去にも繰り返され【表参照】、法改正などで避難態勢が見直されてきた。それでもなぜ、こうした事態が後を絶たないのか。入所者の命を守る避難のあり方とは。福祉防災に詳しい鍵屋一・跡見学園女子大学教授に聞いた。
■避難計画の実効性高めよ
――実際に熊本県内の被災地を巡った受け止めを。
鍵屋一教授 私は、18~20日で被害が大きかった人吉市と球磨村、芦北町を中心に、福祉施設に支援物資を届けて回った。新型コロナウイルスの影響で、県外ボランティアなどの支援者が制限されているため、被災家屋などの片付けが全然進んでいなかった。
千寿園にも伺ったが、まずは立地を確認して、まさかここが被災するのかと衝撃を受けた。過去に被災した施設とは違い、見た目には立地が悪い場所とは思えなかった。
確かに、浸水被害が多い常襲地帯であり、ハザードマップ(災害予測地図)上でも浸水想定区域にあるが、ここが被災するのならば、日本の多くの高齢者施設は、本当にいつ被災してもおかしくないと痛感した。
――千寿園は避難確保計画を作り、避難訓練も実施していたが被害を防げなかった。
鍵屋 2017年の法改正で、浸水想定区域にある福祉施設などに対し、避難先や移動方法をまとめた避難確保計画の作成と訓練の実施を義務付けた。千寿園はまさに、熱心に取り組んでいたわけだ。
今回は明け方の被災で、特に人手が少なく避難には都合の悪い時間帯だった。被災の要因は詳しい検証が必要だ。とはいえ、日ごろの避難訓練と連携があって、地域住民らの協力を得て多くの入所者を施設内で高い場所に逃がす垂直避難をさせている。事前の備えがなければ、もっと被害は拡大していたのではないだろうか。
早めに高台に避難すれば、という考えもあろうが、自力での避難が難しい高齢者や障がい者となると一筋縄ではいかない。施設外への避難は、認知症の方などであれば、なおさら精神状態が不安定になりやすい。施設職員から見れば、雨の中で高台の空き地に避難するよりも、できれば避難しない、動かしたくないという意識が働くのは当然だ。今後は、関係者が浸水リスクを深く理解し、避難しやすい条件を一緒に考え、計画に反映することが大切だ。
■自治体の本気度がカギ
――避難確保計画の作成は、今年1月時点で全体の45%にとどまっている。
鍵屋 私はむしろ、思った以上に進んでいると受け止めている。それなりの危機感が表れているのではないか。
施設側の意欲とともに、自治体がどれほど熱心に計画作成を促したかが大切で、自治体の本気度も試されている。実際は、計画作成の講習会や個別相談を行うなど手間のかかる作業が必要だが、計画作りは地域の連携が不可欠だ。地道に取り組んでいる地域では、水害時でも安全な避難につなげている事例が多い。
■地域住民と共同で訓練を/福祉サービス継続の視点も
――被害を繰り返さないために必要な備えとは。
鍵屋 高齢者施設は、地価が安いなどの理由で浸水想定区域内に建つケースも多いと聞く。まずは、ハザードマップを確認し、災害リスクの高い区域であれば、想定外の災害も考慮した実効性ある避難確保計画を作り、地域住民と共に夜間避難やライフラインが途絶えた状況なども想定した訓練を実施することだ。政府は、22年3月までの作成率100%をめざしているが、それを達成すべきだ。
現時点で計画を作れていないなら、簡易な計画でもいいので、どの防災情報が出た段階で避難するか、危険が迫る地域の状況をどう把握するかなどを決めておくことだ。そして、安全な場所に避難する方法や垂直避難ができる体制も含めて、地域住民への協力の呼び掛け方なども自治会長らと相談して決めてほしい。
また、高齢者施設は避難後も福祉サービスの継続が求められる。災害関連死につながる恐れがあるからだ。厚生労働省も推奨するBCP(事業継続計画)の作成が重要で、施設が使用不能になった際の代替施設も想定するべきだ。
三重県伊賀市では、社会福祉法人の間で相互支援協定を結び、災害時には別の安全な施設へ避難できるようにしている。自治体や同じ法人間などあらゆる形があるが、打開策として参考になるはずだ。
最終的には立地の問題を解決せねばならない。先の国会で、津波や土砂災害の危険度が高い区域に建物を新設する際の規制を強化する、都市再生特別措置法などが成立したのは、その一歩となろう。
危険区域に多くの高齢者施設がある現状を国全体の問題として捉え、施設移転への具体的な支援策など、早急な対応を検討する必要がある。
かぎや・はじめ 1956年、秋田県男鹿市生まれ。京都大学博士(情報学)。東京都板橋区役所で福祉部長、危機管理担当部長などを務め、2015年4月から現職。一般社団法人福祉防災コミュニティ協会代表理事。著書に『ひな型でつくる福祉防災計画』など。








