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公明党 西園勝秀 Official Site

衆議院環境委員会で質問に立ちました

2025年12月6日

12月5日、衆議院環境委員会で質問に立ちました。

【クマ被害対策】
・麻酔銃、吹き矢
・銃犯罪の抑止
・農作業の安全確保
・熊肉のジビエ利用
・個体数管理の方法

本編は、こちらをご覧ください。

衆議院国土交通委員会で能登半島地震の被災地視察を受けた質疑

2025年6月17日

6/17(火)の衆議院国土交通委員会で質問に立ちました。

【内容】
・側方流動後の土地境界再確定
・避難生活で必要な備蓄品調達
・建築基準法、住宅性能評価

本編はこちらをご覧ください。

議事録

第217回国会 衆議院 国土交通委員会 第18号 令和7年6月17日

西園委員 公明党の西園勝秀です。
本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。
六月九日、能登を視察させていただきました。
地震で発生した火災により、約五ヘクタールにわたり商店や住宅が消失した輪島朝市通りの周辺において、仮設住宅にお住まいの被災者の皆様が一日も早い復興を待ち望んでいることがよく分かりました。また、豪雨災害が発生した塚田川の周辺では、多くの方が御自宅に戻れない状況であることも分かりました。
被災された全ての皆様が、一日も早く元の生活再建が果たされるよう、政府におかれましては継続的な支援を是非ともよろしくお願いをいたします。
先ほども質疑がございましたが、改めて内灘町の側方流動について質問させていただきます。
今回の液状化被害は、内灘町に限らず、かほく市や金沢市など広範囲に及びました。被害面積は約百八十ヘクタール、被害戸数は約二千八百戸に上り、東日本大震災時に千葉県我孫子市で発生した約十三ヘクタール、二百二十三戸という被害規模を大きく上回りました。被害の範囲と規模の点で極めて深刻な事態であることは明らかです。
こうした中で、被災地の復旧を進めるには、土地の境界が明確であることが不可欠です。震災前に地籍調査を済ませていた土地であっても、今回の災害により現況とのそごが生じており、再度の地籍調査が被災地再建の出発点として求められています。
ただし、地籍の再調査に当たっては、登記上の土地の境界である筆界を変更しなければならない可能性があります。しかし、昭和三十一年十二月二十八日の最高裁判決では、筆界は客観的に定まるものであり、当事者の合意によって変更することはできないとされています。
それでは、筆界を変更するのではなく、現況に合わせて新たに筆界を創設することは可能なのでしょうか。法務省の御見解をお聞かせ願います。

内野政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、筆界は、登記された土地の客観的範囲を区画する公法上の境界でございます。基本的に動くことはないものと解されております。
液状化に伴う側方流動が発生をいたしまして、筆界と実際の土地の現況との間にずれが生じた場合においては、実際の土地の現況に合わせて筆界を創設する方法といたしまして、分筆の登記や土地区画整理事業等がございます。
そこで、令和六年能登半島地震の被災自治体においては、まずは、筆界と現況との間にどの程度のずれがあるか、これを把握するため、地籍再調査の実施に向けた準備が進められているものと承知しております。
不動産登記制度を所管する法務省といたしましても、国土交通省や被災自治体等と緊密に連携いたしまして、プロジェクトチームにおける検討にしっかりと協力してまいりたいと考えております。

西園委員 御答弁ありがとうございます。
今の御答弁は、筆界を新たに創設することができるという認識だと捉えました。
そうしますと、登記上の筆界を新たに創設することにより、従来よりも登記面積が減少する土地が生じた場合、その損失にどう対応するのかが大きな課題となります。その解決方法として土地区画整理事業の活用が考えられますが、その場合、土地の面積が減った方に対してどのような手当てが考えられるのでしょうか。政府の御見解をお聞かせください。

内田政府参考人 お答えいたします。
今回の側方流動により、従前の土地境界と現況のずれが大きい場合に、新たな筆界を創設する手法として、土地区画整理事業を活用することが考えられます。
土地区画整理事業を活用する場合、ずれにより面積の増減があった土地に対しては、従前の土地の財産権に配慮するため、従前と従後で土地の位置や地籍などが地権者間において総合的に均衡するように換地をする方法ですとか、あるいは、地権者間において不均衡が生じた場合には金銭により清算する方法がございます。
国土交通省においては、被災市町ごとに配置した地区担当の本省職員や、法務省、石川県、被災市町から構成されるプロジェクトチームを通じ、被災市町のニーズに応じた土地区画整理事業の活用について、過去の事例や、手続の迅速化、費用の低減方策などの紹介をしているところであり、引き続き一刻も早い被災地の復興に向けて全力で支援を行ってまいります。

西園委員 御答弁ありがとうございます。
換地や、あるいは金銭による清算も可能だということを聞いて安心をいたしました。
この被災市町、さらには県も含めて、地籍調査等にマンパワーが非常に不足しているのが現状です。被災自治体からは、地籍調査の実施でも六年、土地区画整理事業を実施すれば最短でも七、八年かかる見通しと言われています。
被災自治体へのマンパワー支援について、専門資格者の活用などを含め、国としてどのようなやり方を考えておられるのか、法務省、国土交通省、それぞれのお立場からお答えいただければと思います。

内野政府参考人 お答え申し上げます。
地籍再調査、これを実施する際には、筆界と現況とのずれを測量によって明らかにする必要がございますため、専門的知識が不可欠でございます。委員御指摘のとおり、被災自治体へのマンパワー支援、これは重要な課題であると考えております。
そして、地籍調査等と不動産登記とは密接な関係にございますので、その実施に当たっては、不動産の表示に関する登記の専門家でございます土地家屋調査士の積極的な活用が期待されるところでございます。
土地家屋調査士制度を所管する法務省といたしましても、日本土地家屋調査士会連合会等と緊密に連携いたしまして、被災地の復旧復興に向けて、被災自治体をしっかりと支援してまいりたいと考えております。

小善政府参考人 お答えいたします。
地籍調査事業は、計画策定、土地の現況測量や一筆地調査、地籍図の作成など多くの工程があり、また、その全体の工程管理も必要です。
被災自治体においては、これらの多様かつ多くの業務を担うだけのマンパワーが不足しているとともに、経験やノウハウを持つ職員も少ないとの声を聞いております。
この課題を解決するためには、できるだけ多くの業務を外部に委託することや、地籍調査に豊富な知識経験を有する専門家を派遣することなどが有効であると考えております。
また、今後、土地区画整理事業の事業化に向けては、被災市町ごとに地区担当として配置している国土交通省職員を通じて、きめ細かく指導助言を行っていくことが効果的と考えております。
先月末に設置しましたプロジェクトチームにおいて被災市町ごとの状況や要望をきめ細かくお伺いしながら、支援の具体化を進め、土地境界問題の早期解決に向けて、被災自治体とともにしっかり取り組んでまいります。

西園委員 ありがとうございます。
今、プロジェクトチームの話が出ました。これはスピードが本当に大事でございますので、政府の迅速な支援を何とぞよろしくお願いいたします。
次に、避難生活で必要な備蓄品の調達について伺います。
今回の視察では、いまだに屋根にブルーシートがかけられたままの住宅を見受けました。能登半島地震では、多くの住宅で屋根瓦が損壊し、雨漏りを防ぐためにブルーシートの重要性が改めて認識されました。
また、昨年六月に修正された防災基本計画では、在宅避難者等の支援方策を検討することが自治体の努力義務とされ、屋根の損壊時にはブルーシートを張るなどして、被災者の応急的な住まいを早期に確保することの必要性が示されました。
ブルーシートの設置作業は、全日本瓦工事業連盟に加盟する事業者などの協力により行われますが、その前提となるのは、自治体が必要なブルーシートを事前に確保していることです。
しかし、能登半島地震では、全国から多くの瓦職人が応援に駆けつけてくださったにもかかわらず、肝腎のブルーシートが不足していたために、作業が滞り、屋根の応急修理ができず、在宅避難が困難となる事例が多く生じました。今後の大規模災害に備えては、被災自治体が必要量のブルーシートを迅速に確保、配付できる体制の整備が急務です。
また、能登半島地震では、水道管や浄水場の被災、機能停止により最大約十四万戸が断水する事態となりました。飲料水はもとより、トイレや入浴、避難所の清掃、洗濯、器材の洗浄などに不可欠な生活用水の確保が課題となりました。災害時に生活用水を安定的に確保するためには、平時からタンク、貯水槽、防災井戸等の整備に努め、衛生的な水を継続して供給できる体制を整えておくことも重要です。
さらに、下水道についても、半年以上復旧しなかった地域があり、生活用水の排水処理にも深刻な問題が生じました。下水道が復旧するまでの間は、限られた水を繰り返し使用し、川や地面への排水を抑える工夫が必要です。近年では、合成洗剤に含まれる界面活性剤を一切使用せず酵素の力で汚れを分解する洗浄剤も開発されており、こうした環境に配慮した製品を避難生活において活用することも有効です。
このように、災害時に必要となる生活必需品や食料、ブルーシートなどは各自治体が必要量を備蓄していくことが基本ですが、財政上の制約から十分な備蓄ができていない自治体も少なくありません。そのような場合には、国からのプッシュ型支援が極めて重要となります。とりわけブルーシートや水などの資材については、市中からどれだけ迅速に調達できるかを平時から把握しておく必要がございます。
自治体の備蓄量及び市中からの供給可能量をどのように把握し、必要な物資をいかに迅速かつ的確に被災地へ届けるのか、政府としての具体的な方針をお聞かせ願います。

貫名政府参考人 お答えいたします。
防災基本計画におきましては、大規模災害を想定いたしまして、食料、飲料水、生活必需品等必要な物資を自治体においても備蓄に努めることとなっております。
自治体による物資の備蓄状況を可視化するために、本年四月から運用しております国の新物資システムにおきまして、各地点の拠点における備蓄量を自治体が登録し、発災時にはどこで過不足が生じているか把握できるようにしているところでございます。
また、大規模災害時、自治体の備蓄物資だけでは不足し、被災自治体が支援要請をするいとまがないと認められる場合には、国がプッシュ型支援で物資を被災地に搬送することとしております。この際、市場の調達可能量は各省庁から業界団体等を通じ把握し、より迅速に被災地に届く供給先から届けられるよう、平時から体制を構築しているところでございます。
これに加えまして、市場流通が少なく、発災後すぐの調達が難しい段ボールベッドやパーティション等一部の物資につきましては、内閣府におきましても分散備蓄をいたしまして、市場調達が整うまでの自治体の不足分を補完することとしております。

西園委員 御説明ありがとうございます。
次に、建築基準法や住宅性能評価の在り方についてお伺いいたします。
能登半島地震において、現行の建築基準が適用された二〇〇〇年以降に建てられた住宅の六五・五%、三百九十八棟は全く被害を受けておらず、日本の耐震技術が改めて実証されました。
建物の耐震性を確保するための工夫としては耐震、制震、免震の技術がございますが、これらを建築基準として標準化した方がよいのではないかという意見がございます。しかし、国土交通省の御担当からは、人命を守るための建築物を造る最低限の基準である建築基準法に必要以上の耐震性を義務づけることは難しいと伺いました。
このようなことから、同じ建築基準法で造られていても被害を受ける家と被害を受けない家があるのではないかと考えます。能登半島の地震においてもそのような状況があったのではないかと推察いたします。
耐震等級一は建築基準法レベル、耐震等級二は耐震等級一の一・二五倍の地震力に耐えられるレベル、耐震等級三は耐震等級一の一・五倍の地震力に耐えられるレベルであり、大きな開きがございます。能登半島地震のように短期間に連続して揺れが発生する場合、倒壊のリスクが高まるため耐震等級二や三にグレードアップした方が安全です。安価で耐震性を確保できる技術も開発されてきていることから、二〇〇〇年基準以前の基準で造られた建物が多い地域などでは耐震等級二や三を標準に設定していけるよう、自治体がその流れをリードしていくような努力も必要かと思います。
また、長周期地震動が高層ビルに与える深刻な影響が指摘されたことを受け、建築基準法の見直しも進められていると承知しております。
複雑化、激甚化する自然災害、とりわけ地震災害に備え、人命を守る観点から、今後の建築基準法や住宅性能評価はどうあるべきとお考えか、中野国土交通大臣の御見解をお聞かせいただければと存じます。

中野国務大臣 お答え申し上げます。
建築基準法では、国民の生命財産を守る観点から、最低の基準を定めております。耐震については、震度五強程度の中地震までの地震時に損傷しない、震度六強から七に至るまでの大地震時には損傷しても倒壊しないというのが最低の基準でございます。
現行の耐震基準により建てられた建築物は、震度五程度の地震に対して損傷せず、同程度の地震を再度受けても倒壊に至ることは基本的にはないというふうに考えておりますが、複数回の地震に対する被害を抑えるためには、より高い耐震性能を確保することが当然有効でございますので、住宅性能表示制度を通じまして、消費者がより高い耐震性能の住宅を選択できる環境整備に努めるとともに、住宅金融支援機構のフラット35Sによる支援や長期優良住宅の普及等を通じて、より高い耐震性能の住宅の普及を促進してまいりたいと思います。
長周期地震動につきましては、今、南海トラフ沿いの巨大地震による影響を強く受ける三大都市圏等の地域において、高さ六十メートルを超える超高層建築物等を建築する際に、長周期地震動を用いた構造安全性の検証を求めるなどの対策を講じてきたところでございます。
今、内閣府において、相模トラフ沿いの巨大地震等による長周期地震動について現在検討が進められていると承知をしておりまして、国土交通省としても、その検討結果を踏まえて、更なる対策の必要性も含め、しっかり検討を行ってまいりたいと考えております。

西園委員 ありがとうございます。
以上で終わらせていただきます。

衆議院外務委員会で外国人の不動産取得などを質問

2025年6月4日

6/4(水)の衆議院外務委員会で質問に立ちました。

【内容】
・外国人の不動産取得
・外国人介護人材の受入環境整備

本編は、こちらをご覧ください。

議事録

第217回国会 衆議院 外務委員会 第14号 令和7年6月4日

西園委員 公明党の西園勝秀です。
本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。
まず初めに、外国人の不動産取得についてお伺いいたします。
最近、国会では、外国人による日本国内の土地の取得が相次いでいることについて、安全保障の面で問題があるのではないかという議論がなされています。
我が国には外国人の土地取引を規制する外国人土地法が存在しますが、この法律が制定されたのは大日本帝国憲法下の大正十四年であり、現在では実効性を持たない幽霊法となっています。
また、WTOに加盟する日本には、サービス貿易に関する一般協定、GATSに基づき、日本国内における外国人の土地取引に対しては基本的に日本人と同じに扱う、いわゆる内国民待遇が課されており、さらには、外国同士を差別してはならないという最恵国待遇の義務も課されています。したがって、特定の国の外国人を念頭に置いた土地利用の規制は、WTO上できないこととなっています。
このような現在の状況下で、外国人によって取得された土地が日本を標的とした軍事目的に使われる可能性もあるのではないかといった不安の声が広がっています。では、果たしてこうした懸念が実際に起こり得るのかどうかということについて、土地利用の観点から政府の見解を伺いたいと存じます。
防衛関連施設等の重要施設の周囲おおむね一キロメートル、また国境離島等、重要土地等調査法が及ぶ範囲内であれば、日本を標的とした軍事目的の土地利用は防ぐことができると思いますが、重要土地等調査法が及ばない範囲は大丈夫かという心配があります。
そこで、国土交通省にお伺いします。
土地基本法においては、内国民待遇を受ける外国人であっても、日本人と同様に、土地の利用に際して公共の福祉を優先することが求められています。また、同法第六条第三項では、「土地所有者等は、国又は地方公共団体が実施する土地に関する施策に協力しなければならない。」とされており、一定の責務が課されています。そして、国土利用計画法に基づき、国、都道府県、市町村は、それぞれ、国土の利用に関する計画が定められています。
こうした法制度の下、外国人が所有する土地が、万が一日本を標的とした軍事目的に利用されようとしている場合には、土地基本法や国土利用計画法など国土交通省所管の法律によって規制することは可能なのでしょうか、お聞かせください。

玉原政府参考人 お答えいたします。
土地基本法は、委員御指摘のとおり、土地についての基本理念や土地所有者の責務などを定めることにより、土地利用や管理に係る施策等の規範となっております。
また、国土利用計画法は、適正かつ合理的な土地利用を確保するため、一定規模以上の土地取引について、土地の利用目的などを都道府県知事に届け出ることとしており、その内容が不適正な場合などには勧告等を行う仕組みとなっております。

西園委員 ありがとうございます。
在留する外国人が日本に対して軍事的な行動を起こした場合の罰則規定としては、刑法における内乱罪や外患罪がありますが、これまでにこれらが適用された事例はないと承知しております。これまで我が国の治安が維持されてきたのは、刑法に基づき、それぞれの犯罪事実に即した適切な対応がなされてきたことによるものと考えております。
そこで、犯罪を取り締まる立場にある警察庁にお伺いいたします。
在留する外国人が日本において軍事的な行動を起こそうとしている準備段階にある場合、それを抑止する手段はあるのでしょうか。

石川政府参考人 お答えいたします。
個別の事案に対する対応につきましては、当該事案の内容に応じて検討していくことになりますけれども、一般論として申し上げますと、警察といたしましては、公共の安全と秩序の維持という責務を果たす観点から、我が国の国益が損なわれることのないよう、幅広く対日有害活動に関する情報収集と分析に平素から努めているところでございます。
その上で、違法行為に対しましては、取締りなどを行うほか、事態の推移に応じまして、関係省庁とも緊密に連携しつつ、適切に対処していくことになるというふうに考えております。

西園委員 ありがとうございます。
日本は治安のよい国として世界から評価されておりますが、それは警察官の皆様が日夜献身的に任務に当たってくださっているたまものであるというふうに思います。くれぐれも安全面には留意され、どうか犯罪を未然に防ぐ取組、本当にまさに外国人がこういう形で軍事行動を起こすというようなことがあったとしても、それをしっかりと防いでいただきたい、そのことを是非お願いを申し上げます。
次に、森林について伺います。
外国人が所有する民有林については、日本人と同様に、樹木の伐採などにより土地の形状を変更する場合、森林法に基づき、都道府県知事の許可が必要であると認識しておりますが、もし外国人が無許可で開発を行った場合にはどのような罰則が科せられるのでしょうか、お聞かせ願います。

長崎屋政府参考人 お答えいたします。
森林法では、保安林制度あるいは林地開発許可制度によりまして、森林の保全と適正な利用を図っているところでございます。具体的には、所有者が外国人であるか否かにかかわらず、一定規模を超えて普通林を開発する場合は都道府県知事の許可を要するほか、保安林を開発する場合は農林水産大臣等による指定の解除を要するといった措置を講じているところでございます。
仮に違法な開発等が行われた場合は、中止命令や復旧命令の監督処分を行うとともに、法定刑として三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金が科されることとなっております。
農林水産省といたしましては、これらの制度が適切に運用されるように、都道府県等と連携しながら、森林の保全管理に努めてまいります。

西園委員 ありがとうございます。しっかりとした森林の保全管理、よろしくお願いいたします。
では、次に、農地についてお伺いいたします。
外国人が所有する農地について、農地以外の目的に転用する場合には、農地法に基づき、都道府県知事の許可が必要であると認識しております。農地法においても、森林法と同じく、外国人が無許可で土地の改良を行った場合には、日本人と同じように罰則が科せられるのでしょうか、お聞かせ願います。

神田政府参考人 お答えいたします。
農地法では、農地を農地以外のものにする場合は、国籍のいかんにかかわらず都道府県知事等の許可を受ける必要がございます。
許可を受けることなく無断で転用を行った場合、農地法第五十一条に基づき、都道府県知事等は、原状回復等の措置を講ずべきことを命ずることができることとされております。また、無断で転用を行った場合や原状回復等の命令に従わない場合、農地法第六十四条の規定によりまして、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金が科されることとなってございます。
農林水産省といたしましては、都道府県等と連携しながら、農地の適正利用の確保に努めてまいります。

西園委員 ありがとうございます。農地に関しましては、特に今、お米の問題などで本当に農地の重要性が増しておりますので、是非適切な管理をお願いいたします。
この外国人による日本の土地購入について懸念の声があるのも事実でございます。確かに、国民の安全を守る観点から、国防上のリスクも踏まえ、こうした動向には慎重に対応していく必要があると考えます。一方で、外国人の方々が日本に移り住み、あるいは日本でビジネスを展開することによって、新たな雇用が生まれたり経済の活性化につながるなど、国民生活の向上に資する側面があるというのも事実です。多様な価値観が交錯する現在の国際情勢の中で、日本の国益と国民の安全をいかにして両立させていくかは極めて難しい課題であり、繊細なバランスが求められます。
岩屋外務大臣は防衛大臣としての御経験もおありであり、外交、安全保障のエキスパートであられます。こうした局面にあって、日本の主権や安全を守ることの重要性や御決意を改めてお聞かせいただければと存じます。

岩屋国務大臣 国家として、領土、領海、領空に対する外部からの侵害はこれを排除して、国の主権を守るということは当然の責務だと思っておりますけれども、今日委員が触れていただいたように、国の領域内においても自国民の安全を守ることは極めて重要な課題であると考えております。
我が国は次第に外国人の数が増えてきているわけでありますが、国際社会から比べると、ある意味では後進国なんだと思います。外国人と安全に共生していくということが大切だと思います。諸外国の事例も参考にしながら、やはり日本ならではの安全な外国人との共生社会というのを考えていかなきゃいけないというふうに思っておりまして、今、与党の中でも様々御検討いただいているというふうに承知をしております。
そういうものも参考にさせていただきながら、関係省庁と緊密に連携をして、国内における国民の安全の確保、安心の確保ということにも外務省としても鋭意取り組んでまいりたいと決意をしております。

西園委員 ありがとうございます。
まさに今本当に、これからの世の中、外国人の皆様との共生ということが大きなキーワードだと思います。その中でも、国民の生命財産を守っていただくということは本当に政府に強く求めていきたいと思いますので、是非よろしくお願い申し上げます。
法務省にも実はお話を伺いたかったんですが、ちょっとお時間の関係で割愛させていただきます。
外務省、警察庁、法務省、農林水産省、林野庁、国土交通省の参考人の皆様は、ここで御退席いただいて結構でございます。ありがとうございます。

堀内委員長 参考人の皆様、どうぞ御退席いただいて結構でございます。

西園委員 では、次に、外国人介護人材を受け入れる環境整備についてお伺いいたします。
現在、我が国では、急速な高齢化の進行により、介護を必要とする方が今後更に増加していくと予想され、これに対応していくことが喫緊の課題です。一方で、介護現場では、他の産業と比較して賃金水準が低く、離職が相次いでいます。
人手不足が深刻化する中で倒産に追い込まれる介護事業所も増えており、私の地元静岡県でも、サービスを続けたくても人手が足りず困窮しているという悲痛なお声を幾つも伺っております。介護事業所を守り、また介護を必要とする方々を守るためにも、現場を支える人材の確保に早急な対応が必要です。
この点を踏まえ、私は、四月二日の外務委員会において、技能実習、特定技能一号、EPA介護福祉士候補者の外国人介護人材を増やしていくためには日本語研修の充実が不可欠であることを訴えました。また、人手不足に直面している介護の現場において外国人人材に安心して従事していただくためには、彼らの文化的背景を理解し、異文化の中でも働きやすい職場環境を整えていくことが重要であり、それが将来的に安定した外国人介護人材の確保につながるという点についても質問をさせていただきました。
今年四月からは外国人介護人材による訪問介護が可能となるなど、制度の拡充が進んでいることは、長年にわたり厳しい介護の現場を支えてきてくださった事業所また家族の皆様にとって、一筋の光明になったことと思います。しかし、一方で、どのように制度を使ったらいいのか分からない、外国人が日本人と同様に働いてくれるのか不安だというようなお声も寄せられております。特に、小規模で運営している事業所に必要な情報が届いていないと感じます。
こうした現状を踏まえ、外国人介護人材を受け入れるための環境整備をどのように整えていくべきと考えているのか、また、事業所に対して必要な情報をどのように届けていくのか、政府の御見解をお聞かせください。

堀内委員長 申合せの時間が経過しておりますので、御協力をお願いします。

岡本政府参考人 お答え申し上げます。
介護サービスの担い手を確保することが喫緊の課題であります中で、外国人材の確保と、それから我が国への定着支援の両面で取組を進める必要があるというふうに考えております。
こういった観点から、介護施設と就労希望者とのマッチングでありますとか、あるいは都道府県が行う研修、あるいは、介護事業者の方に対しても、現地での説明会、送り出し国との関係構築、あるいは介護福祉士の資格取得の支援といったようなものも含めて、こういった支援を実施している、経費の補助を実施しているということでございます。
人材の受入れに当たりましては、特に、都道府県の役割が重要だと……

堀内委員長 答弁は、申合せの時間を経過しておりますので、御答弁を簡潔にお願いします。

岡本政府参考人 はい。失礼しました。
先生の御地元の静岡県でも、そういった自治体主導で地域の実情に合った取組を進める例が増えているというふうに承知をしておりますので、こうした事例の周知も含めて、人材の確保、定着のために取り組んでいきたいというふうに考えております。

西園委員 ありがとうございました。
終わらせていただきます。

衆議院安全保障委員会で参考人の意見陳述を踏まえた質疑

2025年5月31日

5/30(金)の衆議院安全保障委員会で、参考人の意見陳述を踏まえた質疑を行いました。

【内容】
・参考人の意見陳述
・参考人に対する質疑

【参考人】
① NMVコンサルティング上級顧問
元米国務省日本部長
ケビン・メア 君
② ジョージ・ワシントン大学准教授
マイク・モチヅキ 君
③三井住友海上火災保険株式会社顧問
元防衛事務次官
黒江 哲郎 君
④明海大学教授
小谷 哲男 君

本編はこちらをご覧ください。

議事録

第217回国会 衆議院 安全保障委員会 第10号 令和7年5月30日

西園委員 公明党の西園勝秀でございます。
本日は、四人の参考人の方、大変貴重なお話をありがとうございました。
まず、メア参考人とモチヅキ参考人のお二人にお話を伺いたいと存じます。
メア参考人は、先ほどのお話の中で、アメリカの日本に対する見方がこれまでで変わってきたと。日米同盟が大変深化してきたという御指摘かと思います。その上で、どういう協力がこれから日本ができるのかということを考えていく必要があるというお話でございました。
また、モチヅキ参考人からも、アメリカ第一主義が続いていくんだと。特に、中国との軍事衝突を避けていく、そのために、ある意味、台湾有事の問題に対してはクールな対応も必要ではないかといったお話もございました。そして、さらには、緊張緩和を促すような積極的な外交が必要だ、こういう御指摘かと存じます。
その上で、お二人にお伺いしたいんですが、今、ロシア、中国、北朝鮮、こういったところの軍事的圧力が大変強まっておりまして、北東アジアでは緊張関係が増しております。
私たち公明党は、戦後八十年の節目の年に当たりまして、平和創出ビジョンというものを打ち出させていただきました。それは、これまで、北朝鮮、ロシア、中国、日本、アメリカ、韓国、この六か国による対話の場がございました。実は、今、これが途絶えてしまっている。紛争を未然に防ぐという意味においては、まずこの六か国を少なくとも含む関係国との対話のチャンネルを再開すべきだということをこの平和創出ビジョンの中で訴えさせていただいております。これは、いわゆる欧州安全保障協力機構、OSCEが、EUの、ロシアとかも含めてございますが、これを参考にした、我々は、北東アジアにおける安全保障対話・協力機構、いわゆるアジア版OSCEというふうにも呼んでいるんですが、こういった提案でございますが、我々公明党の提案に対して、メア参考人、モチヅキ参考人はどのように捉えていただいているか、是非御見解をお聞かせいただければと存じます。

メア参考人 難しい質問でしょう。
確かに、おっしゃったように、ロシア、中国と北朝鮮の協力連携がますます脅威になっていると私は考えています。特に心配していることは、中国とロシアの協力、北朝鮮とロシアの協力を見て、御存じのように、北朝鮮がいろいろ武器とかをロシアに提供して何をロシアからもらっているかというのははっきりしていないんだけれども、ミサイルの技術と核兵器の技術とかをもらっているんじゃないかという意見が多いんですね。すごく危ないことです。
アジア版のOSCEとか同じくアジア版NATOをつくるべきじゃないかという、私も何年も前から政府に入っていたときに日本にアメリカ政府がよく言っていたことは、特に二〇〇〇年代のとき、日本がまずオーストラリアと協力しないとならない、安全保障の面でも。それはすごく進んでいます。
そして、できれば韓国との連携が必要であるけれども、歴史問題があるし、あと、韓国の政権がよく替わって、いろいろ難しいところはあるんだけれども、できれば日米豪韓、フィリピンとか、少なくともそういう国々と一緒に中国、ロシア、北朝鮮に対する連携をしないとならないと考えています。正式の組織ではなくても、この連携が進むべきだと思います。

モチヅキ参考人 六か国の協議ですが、僕は、そういう協議がまた実現できるということは非常に望ましいことだと思います。現実的には非常に難しいと思います。
二十年前の話ですが、ちょうど北海道知事だった横路さんが北太平洋のフォーラムをつくって、それに僕も何回も参加をして、そのときは北朝鮮も参加したし、豪やカナダも含めて、それは非常に建設的な対話を行ったと思います。
しかし、残念ながら、今の状態では最悪の事態が起きていると思いますので、これは日本の安全保障環境からすれば、一番厳しいあれだと思います。ロシアと中国と北朝鮮が連携して、アメリカの同盟ネットワークに対抗するような姿勢を取っているということで、本当にアジア太平洋地域を分断させると言われる不幸な結果が今出ていると思います。
こういう結果が出たということは様々な要因があるんですが、アメリカの外交の責任も結構あると思います。最初に指摘したように、アメリカのロシア政策は非常に戦略的に間違って、この三十年間でウクライナ・ロシアの不幸な戦争まで持っていったという結果があります。
そして、北朝鮮とのディプロマシーもアメリカは何回も失敗に終わったと思います。そしてまた、僕は今でも対中政策はエンゲージメントポリシーが正しいというあれですが、最近アメリカは、中国の脅威をすごくインフレーションして、拡大して、中国に対処するという中国脅威論が独り歩きしているという感じがして、ですから、そういう意味で、公明党が打ち出した六か国の協議ということは、今のところ、実現しにくいと思います。
しかし、徐々にウクライナ・ロシア戦争が終結すれば、米ロの関係は改善する道が出てくると思います。そして、トランプ政権ではまた北朝鮮との積極的な対話が始まるということを僕は期待しております。しかし、これは非常に難しい問題ですから、すぐいい成果が出てくるということではないと思います。

西園委員 ありがとうございます。
おっしゃるとおり、大変難しい道のりだと思いますけれども、やはり紛争を未然に防ぐという意味においても、対話のチャンネルというのをしっかり持っておくことは、私は重要ではないかと思います。ありがとうございます。
続きまして、黒江参考人にお話をお伺いしたいと存じます。
先ほどのお話の中で、被団協がノーベル平和賞を受賞したというのは、まさに核使用の危険性が高まっているというその裏返しじゃないかという御指摘でございまして、今まさに核の脅威というのが大変増してきているというふうに思います。またさらに、そのような中で、日本ではいわゆる核抑止論と核廃絶論が対立してしまっているということで、国民的議論が重要だという御指摘かと思います。
その上で、大変重要な御指摘だと思うんですが、日本は法治国家ですので、これまでの国会での議論のベースをしっかり積み上げてきましたので、そのベースの上にまさにそういった議論を行っていくべきかと思います。
その上で、黒江参考人は、二〇一五年の平和安全法制の制定時に防衛政策局長でもあられて、その後は防衛事務次官として同法の運用に携わってこられました。
この平和安全法制が制定されてから十年たつわけですけれども、自衛権行使の新三要件が規定され、憲法の下で許容される自衛の措置の限界が明確化された。これは公明党が当時強く主張させていただいてできた法案でございますけれども、制定から十年たった今、平時から有事に至るまでの隙間のない安全保障体制が現憲法下で行われているということでございますけれども、現時点における評価を是非お聞かせいただければと存じます。

黒江参考人 大変視野の大きな問題について御質問いただきました。
まさに御指摘のとおり、私自身もそう認識しておりましたけれども、二〇一五年の平和安全法制につきましては、これをもって現行の憲法の下で自衛隊が活動するのに必要な法的な根拠等々が全て備わったというふうに私は評価しておりましたし、それと同時に、一連の法案の中でありました米艦護衛ですね、他国の軍艦も共同で護衛できる、そういう規定もございまして、これはまさに平素から行われなければならない活動に対して法的評価といいますか、法的根拠を与えたものでございますので、その後もこれを基にして実際に活動が行われているということで、非常に前向きな前進があったんだろうというふうに思っています。
ただ、もう一つ、現行の法制の下で法制度としてはきちんとできているんだとは思うんですけれども、よく言われますのは、その後、侵攻する側がより洗練されたやり方をやってくるようになった。これはクリミア半島の問題を見てもすぐ分かる話なんですが、要は、いわゆるグレーゾーンと言われるような事態をうまく創出して、そこの中で、攻められる側が軍隊を動かしにくい、動かしづらい状況を使いながら、実態上攻め込んでくる、そういうやり方を取ってきている。これは、どことは申し上げませんけれども、周辺国はそういう能力はいろいろ持っているんだろうと思います。
そういうものに対応するために現行の制度をうまく全て活用できるのか、抜けはないのか。よく言われますのは、国民を実際に侵攻がありそうな地域から逃がそうとするんだけれども、そのときには事態認定をしないといけない。ただ、事態認定をしてしまうとその国との間で戦争状態になることを政府として宣言することになるので、事態認定は非常にしにくいんじゃないかとか、そういう御指摘もいろいろあるわけですね。そういったところになおかつまだ課題は残っているのかなというふうに思っております。
以上でございます。

西園委員 ありがとうございます。
当時から携わってくださった黒江参考人の貴重な御指摘でございました。これから、様々なまだ残された課題があって、さらに、今のこの新しい事態に対してどう対処すべきかというのをしっかりまた国会の場で議論していきたいというふうに思います。
続きまして、小谷参考人にお話をお伺いしたいと存じます。
先ほどの小谷参考人のお話の中で、日米が取り組むべき課題ということでかなり具体的に掘り下げてくださいました。指向性エネルギー兵器の共同開発、あるいは海洋発射核巡航ミサイル開発と日本寄港ですか、核の巡航船というか、そういうことで、これはアメリカの船ということでございますけれども、いずれにしましても、こういったものを開発していこうということになれば、国の方針あるいは予算について、国民の税金を投入するということでございますし、国民が当然そのことを知る権利がありますので、不断の監視の下でこれを行っていく必要があろうかと思います。
他方、こういう日本の軍事力みたいなことを国会の場で議論することが果たしてどこまでできるのか。
これは、小谷参考人が令和三年四月十四日の参議院の国際経済・外交に関する調査会において述べられた、私、議事録を読ませていただいたんですが、当時、中国が海警法を施行して約二か月に当たる頃でございましたけれども、小谷参考人は、この海警法について、日本が過剰に反応しないようにした方がよいということと併せて、武器の使用基準等について、国会という公の場で議論することは日本側の手のうちを見せてしまうことになってしまう、それはいわゆる抑止力につながらない、そういうことになってしまうのではないかという御見解を述べられましたが、こういった国会の場における、国民の知る権利と、さらには外交上の国益という観点のバランスをどう取ればいいのかという御示唆をいただければと存じます。

小谷参考人 大変難しい質問であるかと思います。
恐らく、一つ言えますのは、戦略レベルの話というのは、国会を含めて公の場ですることに意義があるんだと思いますけれども、戦術ですとか作戦面に関しては、やはりこれを大々的に公に議論するというのは一般的には控えた方がいい、そういう区切りがあるのではないかと思います。
もちろん、国民の知る権利という観点、これも非常に重要なものではありますが、特に作戦、戦術レベルの詳細を明らかにしてしまいますと、自衛隊員ですとか、あるいは海上保安庁の隊員の、場合によっては命にも関わることですので、その点については慎重に議論するべきであろうと思いますし、なかなか明かせないことについても、これは政府であったり国会が責任を取るという形で、しっかりその担保をするということが一般的には必要ではないかというふうに考えます。

西園委員 ありがとうございました。
以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

衆議院東日本大震災復興・防災・災害対策に関する特別委員会で質疑

2025年5月22日

衆議院東日本大震災復興・防災・災害対策に関する特別委員会で、参考人の意見陳述を踏まえた質疑を行いました。

【内容】
・防災庁設置に向けた助言
・超高層ビルの耐震性

【参考人】
①名古屋大学名誉教授
福和 伸夫 君
②関西大学社会安全学部教授
山崎 栄一 君
③常葉大学名誉教授
重川 希志依 君
④東京大学生産技術研究所教授
東京大学社会科学研究所特任教授
加藤 孝明 君

議事録

第217回国会 衆議院 東日本大震災復興・防災・災害対策に関する特別委員会 第10号 令和7年5月22日

西園委員 公明党の西園勝秀です。
福和先生、山崎先生、重川先生、加藤先生、本日は、それぞれの御専門のお立場から大変示唆に富むお話、誠にありがとうございました。
四人の先生方それぞれにお伺いしたいと思います。
防災庁が令和八年度からできるということで、現在、赤澤大臣の下でいろいろな準備が行われているところでございます。
本日、先生方それぞれのお立場でお話をいただきましたが、まさに今、防災庁設置準備室が議論をしているときに、これだけはしっかりやっておいてくれとか、あるいは、令和八年度から防災庁が始まりますので、防災庁ができたらまずこのことをやるべきだという、何かそういう御示唆を御指導いただければというふうに存じます。
それぞれ、福和参考人からよろしくお願いいたします。

福和参考人 福和でございます。
今、防災庁の議論はまさにやっているところで、報告書がそのうち出てくると思いますので余り詳細なことはしゃべりにくいんですけれども、基本的には、先ほど申し上げましたように、日頃起きている災害に対しては、一人も命を失わないように頑張るということをしなくちゃいけない。先ほど来出てきていますように、災害後に対してきちんと対処できる仕組みをつくる、これは可及的速やかにやるべきだと思います。これは、被害をゼロにするというか、死者をゼロにするためのことであります。
一方で、我が国としては、国家存続ということがもう一つ大事であります。そのためには、何としても南海トラフ巨大地震や首都直下地震のような超巨大災害を乗り越える準備をしないといけません。残念ながら、これは今まではきちんと本気の議論ができていなかったと思います。これは今までの施策では成り立たない、抜本的な検討の在り方が必要なので、これを何としてもやらないといけないと思います。
ですから、前者に関しては、今持っている力を最大限発揮する仕組みづくり、今のところ、法理体系もそれから防災施策も余りにもいろいろ散らばり過ぎているから、これがちゃんと効率よく総力が結集できるような形に見直していくということが必要ですし、本当にでかい災害に対して、一体この国が持てる力はどれだけで、それに対してどういうふうにすることで国そのものの存続や社会そのものの存続をするか、ここはまだ分かっていることじゃないので、それを本気で考える。
考えるためには、考えることができる人育てがどうしても必要であります。残念ながら、非常に言いにくいんですが、現状、国にいらっしゃる防災の専門性の高い官僚の方々は非常に少ないです。それは、内閣府防災のようなところを経験されることで徐々にそういう人が育成されていっておりますが、何としても人数が圧倒的に少ないので、いきなり体制を強化するといっても、その中にお呼びできる人がほとんどいないんです。これを地方自治体から持ってくると地方自治体が更に弱っていくということなので、全体としての我が国の防災を支える人育て、ここを徹底的にやらないといけないと思っています。
以上でございます。

山崎参考人 四人もとなると話がかぶってしまうのでちょっと恐縮なんですけれども、防災庁がつくられて、じゃ、何が大事かというと、やはり人が大事でして、専門的知識を持ったエキスパートによる実践というのが求められると思います。ですから、防災担当という肩書の素人がしてもらったら困るわけでして、この辺りの人材の確保とか育成というのは特に取り組んでいただきたいと思います。そういった専門的な知見に基づいて、指示、調整であるとかサポートというものが実施される。
あとは、そういう防災の担い手の育成ということで、例えば自治大学校のような、防災大学校のようなものをつくって育成していくとか、そういった教育システムというもの、担い手を育てるシステムというものの整備も重要じゃないかなと思います。
以上です。

重川参考人 私も、実は人の問題を一番懸念しています。やるべきことというのはもう十分に議論され、間違ったことは何も書かれていないんですが、それの体制。
恐らく、新しい省庁ですから、プロパーの職員はまだゼロですよね。そうすると、各省庁からの出向、今の内閣府防災と同じ形になると思います。これは国だけではなく、都道府県、市町村も、実は、建築職とか土木職のように、防災職で人を採用しているところは、どこかの県で始める、始めたというのは一例ぐらいあるんですが、ありません。つまり、実は昨日まで教育委員会にいて今日から防災課長ですというのが、本当にほとんどなんですね。そうなってくると、防災庁という、今まで以上に大きな権限を、命と財産を守るための権限を与える役所に、今までと同じ、あるいはそれよりももっと弱い専門性の人しか来ないということになると、やはり、せっかく役所をつくっても十分に機能が発揮できない。ということで、そこが一点です。
もう一点は、実は、東日本大震災の後、復興庁という役所がつくられました。時限ですが、もちろんプロパーの人なんかおらず、各省庁から人が出てきたんですね。でも、あのときには、やはり大震災という大事態を前に、復興庁に来られる職員の方皆さん優秀で、しかもやりがいがある。すごく、国家公務員のキャリアでもこんなに一生懸命熱くなるんだと思うぐらい、皆さん本当に一生懸命やられた。今までの中で一番やりがいがあった。
防災庁も、災害が起きると、やはり皆さんスイッチが入るんです。なんですが、災害がない時期の方が実は多いんですね。その時期にどうやってモチベーションを持って働けるか。やはり、そうなってくると、出向元の方を見ちゃうわけですよ、自分の人事に関わる。
ということで、仕組みとしてそこら辺をきちっとしておかないと、何をやるにしても間違ったことはないです、ただ、本当に国の省庁をつくっただけのことはあったという動きができるためには、その人事の体制を抜本的にやはり考える。本気でやるならプロパーの職員をちゃんと雇っていく、育てていく、その中でキャリアアップしていく道がある、これがなければ、箱はできたけれどもになってしまうと思います。

加藤参考人 三点挙げたいと思います。
一つ目が、今、防災に関しては役割分担がかなりきちんとできていますので、ある意味、部分最適はかなりきちんとできるようになっている。ところが、それを組み合わせたら全体最適になっているかというと、なっていない。防災庁は、部分最適を集めて全体最適に持っていくというのが、一つ大きなやるべきことだと思っています。
それから二点目は、やはり時代の変化への対応かなと思っています。
災害救助法の原型は昭和二十二年ですね。災対法も一九六一年。管轄は総理府、国土庁、内閣府、今の体制になったのが二〇〇一年です。過去二十年を振り返ると、やはり時代観が相当変わっている。これからの時代を見据えたときに、どういう形が望ましいのかということを改めて考えるいい機会だというふうに位置づけています。
それから三つ目が、これは新しい組織をつくりますので、何かを変えるわけですね、抜本的に。そうすると、メリットもあるけれどもデメリットもあるので、デメリット、メリットというものをきちんと同定した上で、できる限りメリットは大きくデメリットは小さくしていく、そういった峻別をしていくことが、やはりまずやるべきことかなというふうに思います。
以上です。

西園委員 貴重な御指摘、ありがとうございます。
私も、議員になる前は国土交通省に二十八年勤めて、復興庁にも出向しておりましたので、今の先生方の御指摘、本当によく分かります。内閣府防災もまさに出向者の固まりで二年とかで異動してしまう、そうなるとノウハウが蓄積されず、やはり今、防災のプロフェッショナルということで育っていかないということかと思います。
先ほど防災大学校みたいな話もありましたし、また、キャリアアップの評価制度というんですか、これは大変示唆に富むお話かなと思いますので、今日も恐らく国会中継を防災庁設置準備室は聞かれていると思いますので、是非これは取り組んでいただければなというふうに思います。
もう時間がないので、福和参考人に。
先ほどのプレゼンの中でもお話があったんですけれども、ミャンマーの中部で地震が起きましたということで、これはマグニチュード七・七で、そこから千キロ離れたタイのバンコクで要は建物が倒壊した。これは、いわゆる地震波の周期と建物の固有周期が共振した、そういう現象だということでお話がありました。
東京というのは、まさに埋立地が地盤であって、そこにいわゆる超高層ビルが乱立している状況で、今先生のお話を伺ったら、本当に東京の建物は果たして震度七とかの地震にも耐え得るんだろうかという、すごく不安を持たれている方も多分多いと思うんですけれども、今の基準で果たして大丈夫なんでしょうかという、ちょっと素朴な質問をさせていただければと存じます。

福和参考人 言いにくいんですけれども、私は高層ビルは余り好きじゃありません、私は建築屋ですから。なぜかというと、あくまでも最低基準だからです。建築基準法第一条に明確に、構造に関して最低の基準しか定めないと書いているわけです。
これはなぜかというと、我が国は、最低限の生存権は保障しつつ、一方で財産権は侵してはならない国ですから、民間の人たちが造る建物に関しては、行政が造るインフラとは違って、最低のことしか記述できていないんです。
ゆえに、まずは絶対に安全ということはなくて、元々、一般の建物も超高層の建物も、震度七という揺れに対して安全性を確認しているわけではありません。あくまでも過去の震災の経験の中で現状があるというふうに思ってください。
戸建て住宅の場合は、一般に、きちんと構造計算をしません。それをやってしまうと、大変な設計費がかかります。一方で、膨大な震害経験があります。ですから、たくさんの経験をする中で、どのぐらい壁を入れておけば家が壊れないかということを基準として定めています。ですから、計算はしないけれども、それなりにたくさんの壁を入れていて、その壁を入れている二〇〇〇年以降の建物については、能登でも熊本でもほとんど壊れていないんです。これは災害被害に基づいてちゃんと検証された設計になります。
一方で、ビルに関しては、残念ながら、そんなに震害経験が多くありません。一方で、ビルというのはちゃんと構造計算しています。ちゃんと構造計算するときに、どういう建物を造るかは、それは発注者の意向に沿います。発注者がどういう意識を持っているかです。発注者が何としても安全な建物という価値観を持っている場合には、設計者は本気になって安全な建物を造りますが、発注者が、やはり安い方がいいな、便利な場所がいいな、それから見栄えがいい方がいいぞ、広い建物がいいぞ、設備が整っていた方がいいぞとやると、場合によっては、いわゆるバリューエンジニアリングになります。バリューエンジニアリングの中にバリューが入っていないとすると、安全性は法基準をぎりぎりで満足するというふうに造っている建物も、当然ですがあるわけです。
これは、ある種経済行為として行われているのが民間の建物でありますから、その延長線上で、今の質問に関しては、それぞれの人たちが想像するということが大事であります。これは、安全、危険ということは相対的な問題である。
基本的に、今のほとんどの建物の耐震設計は、建物の揺れがおおむね同じだと思って設計しています。建物の揺れが同じであるということは、揺れやすい建物は小さな揺れで壊れるんです。揺れやすい地盤は強く揺れますから、やはりよく壊れるんです。ですから、被害想定というのは建築設計とは違って、被害想定はそれを忠実にやりますから、残念ながら、軟弱地盤のところのそれなりの高さの建物は、よく壊れるような被害想定になっています。
ですが、一方で、建築設計というのはそういう考え方では行われていないので、ここは国として、我々の国の安全性のレベルはどのぐらいにするべきだろう、特に、軟弱地盤に高い建物がたくさんある東京のようなところの安全性というのはどういうふうに構築していくべきだろうということを考えるべきだと思います。
最後に、超高層ビルだけは、一般の建物と違って、特別な設計方法を使っています。揺れをある程度評価しながら、その揺れに対して応答計算をして計算をしていますから、最も科学技術を入れています。科学技術を入れるときは、科学技術を使う人の価値観によって、コストカット側に持っていくか、安全性向上の側に持っていくか、これは当然ですが左右されますから、そのことも含めて、国民の皆さん、産業界の皆さん全体の防災の意識を高めることが極めて重要で、意識が高くなってくると、まずは安全が大事だよというような建物を増やす方向に行きます。
最後に、建物の基準というのは時々変わりますから、残念ながら、今の基準を満足していない、少し安全性が気になる問題の建物はたくさん残っています。超高層ビルに関してはその問題は長周期地震動であって、昔の超高層ビルは、長周期地震動に関して十分に検討をせずに造られています。
ですから、望ましいのは、過去の長周期地震動を余り考慮せずに造った超高層ビルについて、できれば国で支援をする形で、それの評価を今の技術で行い、それを直すことに対してちゃんと一般の建物と同様に支援をするというような仕組みをつくることで、特に、重要なものがたくさん入っている超高層ビルについては、確実に安全である町をつくる方がいいと思います。
もしも日本の国で一本でも超高層ビルに変なことがあったとしたら、日本の科学技術に対する信頼は失墜いたしますから、ここは是非、高層ビルとか、もう一つは大型の石油タンクですけれども、長周期の揺れによって問題となるのは極めて重要なものばかりですから、ここは何かちゃんと考えてもいいのかもしれません。これは是非国会の方で主導していただければありがたいと思っております。
以上です。

西園委員 ありがとうございます。
長周期地震動の問題、しっかりこれは国が対応すべきだと思います。
以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

衆議院外務委員会で質問

2025年5月21日

内容

・核軍縮・核不拡散に向けた道筋
・USAID解体の国際社会への影響
・北東アジア安全保障対話・協力機構の創設

議事録

第217回国会 衆議院 外務委員会 第12号 令和7年5月21日

西園委員 公明党の西園勝秀です。
本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。
早速質問に入らせていただきます。
二〇二三年五月、G7広島サミットに集まった首脳たちは、平和記念公園の原爆死没者慰霊碑に献花を行い、原爆資料館を視察し、被爆者の証言に耳を傾けました。そして、核兵器のない世界の実現に向けた我々のコミットメントを再確認すると宣言した広島ビジョンを採択しました。
あれから二年、プーチン大統領の核の恫喝はやまず、北朝鮮の核・ミサイル開発は進み、核保有国であるインドとパキスタンの間では今もなお紛争が絶えません。G7首脳が目指した核兵器のない世界の実現には、依然として大きな隔たりがあります。
そのような中、先月行われた二〇二六年NPT運用検討会議第三回準備委員会に七年ぶりに外相として出席された岩屋外務大臣は、一般討論演説で次のように述べられました。
今日、核兵器による惨劇を二度と繰り返してはならないと求める声、そして核のない世界を求める声は、これまで以上に大きなものとなっています。NPT体制がこのような世界の人々の切なる願いに応え続けるよう、締約国の間で一つずつ一致点を見出していくことは、我々全員が共有する責務であり、道義的な要請でもあります。今できることは、我々の理想からすれば小さな一歩かもしれませんが、重要な一歩です。皆さん、一緒に取り組みましょう。大きな飛躍に向けて。
岩屋大臣のこの思いに私も深く共感をいたします。全くそのとおりだと思います。日本として、どのようなプロセスで核軍縮、核不拡散を成し遂げていくのか。また、二〇二六年NPT運用会議でどのような合意を目指しているのか。その点についての、具体的な岩屋外務大臣の御見解をお聞かせいただけたらと存じます。

岩屋国務大臣 先般、運用検討会議の準備委員会に参りまして、今委員から紹介していただいたような一般討論演説をさせていただきました。
来年の運用検討会議というものは非常に重要な会議になっていくというふうに思います。過去二回、成果文書が採択できなかったということでもありますので、次回は、是非、実りある運用検討会議になるように、我が国がイニシアチブを発揮していかなければいけないというふうに考えております。
今般、国際賢人会議、日本が主導したここでの議論も提言として紹介をさせていただきましたが、具体的にこれから進めていかなくてはならないのは、核戦力についての透明性の向上ですね。場合によっては、NPTの枠を超えて、核保有国同士の軍備管理交渉がかなり滞ったり、なくなったりしておりますので、そういうものも是非復活を働きかけていかなきゃいけないと思っておりますし、それから、核兵器用核分裂性物質生産禁止条約、FMCT、そして、包括的核実験禁止条約、CTBTの議論の活性化なども重要な要素だと思いますので、これは核兵器国をしっかり巻き込んだ取組を推進していきたいと考えております。
いずれにしても、被爆八十年を迎える本年、唯一の戦争被爆国として、被爆地訪問の促進などを通じて世界に被爆の実相を伝えていくということにも一層努力をしていきたいと考えております。

西園委員 岩屋大臣、御丁寧な御説明ありがとうございます。
NPT体制の下で、核軍縮、核不拡散を成し遂げていくことは極めて重要であると思います。
その上で、私が感じていることは、核抑止論の是非についてです。せめて自国の安全だけは守りたいという思いから、核抑止論が幅を利かせ、さらには、核武装すら容認するような空気が世界を覆っている気がいたします。しかし、恐るべき破壊力と殺傷力を持つ核兵器に依存する核抑止論は、突き詰めれば、人間への不信感に根差したものであり、それを助長し、人間性のきずなを断ち切る思想と言えるのではないでしょうか。
核時代に終止符を打つために私たちが本当に立ち向かうべき相手は、核兵器でも、保有国でも、核開発国でもありません。真に克服すべきは、自国の安全や利益のためには、核という脅威をもって相手を支配することを正当化しようとする、核兵器を容認する思想そのものではないでしょうか。
核兵器による脅しに駆られ、不安に揺れ動く心から、平和がもたらされるわけは絶対にありません。その意味で、核のない世界を目指す第一歩として、核兵器の先制不使用という核保有国の合意は大変意義があることだと思います。是非とも、唯一の戦争被爆国である日本から、核兵器の先制不使用に向けたアプローチをしていただくことを切にお願い申し上げます。
次に、アメリカのUSAID解体の影響についてお伺いいたします。
トランプ大統領が、長年にわたり世界各地で開発や公衆衛生を支えてきたアメリカ国際開発局、USAIDを解体し、業務の八三%を廃止すると発表したことで、世界に衝撃が走っています。この動きは、アメリカ一国の政策転換にとどまらず、イギリス、ドイツ、フランスなどヨーロッパ諸国にも影響を及ぼし、世界全体として、途上国への支援を縮小し、自国の防衛費へと予算が振り替えられる傾向が強まっています。
対外援助が後退すれば、教育、保健、インフラ、気候変動対策など、途上国の未来に直結する分野への資金が減少し、地域の安定が損なわれます。その結果、貧困や紛争による移民、難民が流出し、さらにはテロリズムの拡大など、より深刻な問題の火種となるおそれがあります。
また、中国やロシアが途上国で権益を拡大し、民主主義や法の支配という理念が軽視され、力による現状変更を容認する国が続出するなど、そのことによる各地での紛争も多発するおそれがあります。
国際社会における対外援助の在り方が大きく変化している現在の状況は、目先の自国の利益のみにとらわれ、視野が内向きへと狭くなり、結果的に世界を混乱へと導く大変危機的なものであると私は危惧します。
ロシアや中国、北朝鮮の動向など、軍事的に緊張が高まっている時代ではありますが、だからこそ、世界の人々の暮らしを守り、支える支援が、中長期的に考えれば、世界の安定と平和の基盤になっていくと確信いたします。
以上の観点から、三点御提案を申し上げたいと思います。
まず第一に、日本のODAの戦略的活用です。民間資金の呼び込みや、デジタル、気候、保健といった分野に重点を置いた援助を通じて、日本らしい価値観を世界に発信すべきであると考えます。
第二に、同志国との連携強化です。欧米諸国が援助を後退させる中だからこそ、日本がリーダーシップを発揮し、グローバルサウスと信頼関係を築くべきです。
第三に、援助に対する国民理解の促進です。物価高で日本の国民自身も厳しい生活環境の中、なぜ今、外国にお金を出すのかという疑問に対して、援助が日本自身の安全保障や経済的利益にもつながるという正確な説明を、分かりやすい方法で周知させていくことが必要であると考えます。
世界が分断に向かおうとしている今、こうした流れを防ぐためにも、日本における国際援助の役割がこれまで以上に重要になってきていると思いますが、政府の御見解をお聞かせいただければと存じます。

日下部政府参考人 お答え申し上げます。
USAIDにつきましては、現在、米国政府は対外援助と外交政策の整合性につき評価中ということでございます。USAIDをめぐる動きが国際的にもたらす影響については、我が国としても情報収集、分析に今努めているところでございます。
委員が御指摘のとおり、国際社会の分断と対立が深刻化する中で、グローバルサウスとの関係を強化し、国際社会を協調に導いていくためには、ODAは重要な外交ツールと考えておりまして、その戦略的、効果的な実施はますます重要になってきていると考えております。
我が国といたしましては、関係者等の動向も踏まえつつ、米国を含む各国との間で意思疎通を図りながら、引き続き、開発協力分野において積極的な役割を果たしていきたいと考えているところでございます。

西園委員 御答弁ありがとうございます。
是非とも、世界の安定に向けた日本の援助を引き続きよろしくお願いいたします。
次に、北東アジア安全保障対話・協力機構の創設についてお伺いいたします。
日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、平和国家としての道筋を国際社会に示していくことが、日本の平和と安全につながっていきます。
公明党は、戦後八十年の節目となる本年、平和への潮流をつくり出すという決意で、北東アジア安全保障対話・協力機構、いわゆるアジア版OSCEの創設を中核とする平和創出ビジョンを策定いたしました。先日、斉藤鉄夫代表が石破総理大臣にお渡ししたところでございます。
現在のアジアには、欧州安全保障協力機構、OSCEのような包括的で常設の安全保障のための対話、協力機関は存在しません。対立する当事国であっても、平時から定期的に対話する枠組みが構築されていれば、万が一、緊張が高まり、一触即発の事態に陥った際にも、対話を継続できる道筋が残る可能性がございます。
北朝鮮、ロシア、中国等、緊張関係が続く北東アジアにおいて、紛争を未然に防ぐために、常設の対話、協力機構であるアジア版OSCEを設置し、対立国を含む多国間の対話による信頼醸成が何より必要であると考えます。対象国としては、二〇〇三年から二〇〇七年までの六者協議に参加した、日本、アメリカ、韓国、中国、ロシア、北朝鮮を少なくとも含めることを想定しています。
石破総理も、国会質疑の中で、設立に向けて努力をしていきたいと支持を表明され、国連の中満事務次長も、大きな意義があると評価してくださっています。
いきなり制度化するのは難しいと思いますので、まずは、第一段階として、災害対策や気候変動対策など共通課題をテーマに議論を開始し、協力を深めて信頼醸成を図っていくのが望ましいと考えています。例えば、この分野での国際会議を開催するなど、日本がリーダーシップを発揮しながら、各国との対話のチャンネルを密にし、将来的には、アジア版OSCEのような常設の国際機関への発展を目指していけばよいのではないかと思います。
以上の観点から、OSCEを参考にした北東アジア安全保障対話・協力機構の創設が大変重要と考えますが、岩屋外務大臣の御見解をお聞かせいただければと存じます。

岩屋国務大臣 公明党さんが策定された平和創出ビジョンにおきまして、様々、有益な御提案がある中で、今お話しになった北東アジア安全保障対話・協力機構、一般にアジア版OSCEと言われておりますが、こういう御提案をされていると承知をしております。
また、この御提案を参考にした安全保障対話の枠組みについては、先般、石破総理からも、この意見を承って、広い議論を経た上で、実現に向けて努力したいという国会答弁がなされたというふうに承知をしております。
委員がおっしゃるように、今、なかなか、北東アジアもまだまだ解決しなければいけない深刻な課題もある中で、まずはできるところから、災害対応でありますとか気候変動対策でありますとか、そういうところからそういう枠組みをつくっていったらどうだという御提案は非常に有益だと思います。
その御意見も踏まえまして、地域の安全保障、これからの安全保障の在り方に関する検討を更に深めていきたいと思いますし、外務省としても検討を行ってまいりたいというふうに思います。

西園委員 岩屋大臣、御答弁ありがとうございます。
唯一の戦争被爆国である我々日本には、分断から協調へ、世界の懸け橋となる使命と責務があると感じています。互いが助け合い、そして互いに繁栄していける国際社会の構築に向けて、岩屋大臣、また日本政府におかれましては、引き続きの国際社会への積極的な御貢献をお願い申し上げたいと存じます。
もう一つ質問を用意しておりましたが、時間の関係で終わらせていただきます。
ありがとうございました。

衆議院 外務委員会で質問

2025年4月23日

【内容】

・米国との交渉戦略
・国連公海等生物多様性協定
・漁船員の訓練等の国際条約

議事録

第217回国会 衆議院 外務委員会 第9号 令和7年4月23日

西園委員 公明党の西園勝秀です。
本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。
まず初めに、米国の関税措置への対応について伺います。
政府は、四月二十一日、日米関税交渉を担う内閣官房の事務局に十人規模の専従部隊を置き、本格的な交渉に臨む体制を整えました。報道によると、トランプ大統領の意図は、アメリカ車や米国産の米、肉類の輸入を増やせ、日本の防衛予算を増やせということかと思います。
それぞれの内容について専門の職員が対応を検討すると思いますが、私はここで一つの提案をさせていただきます。それは、アメリカ製の特殊車両であるトイレトレーラーを自衛隊が防衛予算で購入してはどうかということでございます。もちろん、関税措置と防衛予算の話は分けて議論する必要がありますので、あくまでも日本にとって必要な防衛予算を計上する中で、その対象にアメリカ製のトイレトレーラーを加えてはどうかという趣旨です。
能登半島地震においても、避難先に送られたトイレトレーラーが大いに活躍したことは記憶に新しいところです。スフィア基準では、避難所でのトイレは二十人に一つの割合で設置、男性と女性の割合は一対三が必要とされています。トイレトレーラー一台につき四室のトイレが設置されているケースが多いため、スフィア基準に照らせば、避難者八十人につき一台のトイレトレーラーが必要ということになります。東日本大震災では三万人を超える方が避難されましたので、トイレの清掃のための交換も考えれば、同規模の災害では約五百台のトイレトレーラーが必要ということになります。
現在、全国の地方自治体が、新たに創設された新地方創生交付金、地域防災緊急整備型を活用し、トイレトレーラーの調達を行っていますが、全国で注文が殺到し、今年度中の納品が間に合わないのではないかと危惧されています。
南海トラフ地震や首都直下地震等の災害を想定し、その際の避難所での対応を考えるとき、例えば、自衛隊が各駐屯地でトイレトレーラーを相当数確保できていれば、まさに彼らが被災現場の第一線で活動を行っていただくわけですから、被災地域の状況に応じて、的確できめ細やかな配備ができると思います。
有事の際、トイレの確保は必ずと言ってよいほど被災地での大きな課題であり、その台数を確保していくことは、トイレを我慢することでの災害関連死を減らし、女性や子供の性被害を減らし、避難所での生活を余儀なくされている被災者の皆様の心身の安全と安心を守ることに確実につながっていくと、復興の現場で仕事をさせていただいた人間として、声を大にして訴えていきたいと思います。
自衛隊にとって必要な台数をトイレトレーラーの実績が豊富なアメリカから受け入れることは、日本の防衛費について高い関心を持つアメリカに対してもよいアピールとなり、日本とアメリカがウィン・ウィンの関係を築く一助になるのではないかと思い、御提案をさせていただいた次第です。いつ起こるか分からない南海トラフ地震等の大規模災害に備える意味からも、是非とも前向きに御検討いただきたいと存じますが、政府の御見解をお聞かせ願います。

寺田政府参考人 お答え申し上げます。
自衛隊といたしましては、災害派遣などにおけるトイレの所要につきましては、必要に応じてトイレや洗面所の機能を備えた野外支援車等も活用して対応することとしております。
野外支援車につきましては、陸上自衛隊の全国の各方面隊において、現在、計十両保有しておりまして、状況に応じて被災地等に展開して活用しております。また、このほかにも、簡易トイレを自衛隊の車両や航空機等により被災地に運搬するなどして支援を行っているところでございます。
現時点で新規にトイレトレーラーを導入する計画はございませんが、自衛隊の災害派遣等の際の機能の在り方については今後とも不断に検討してまいりたいと考えております。

西園委員 御丁寧な説明、ありがとうございます。
自衛隊が所有している野外支援車でございますが、十台程度保有ということでございますが、その規模では大規模災害では全く足りないというふうに思います。我が国にとっても意味のある政策だと思いますので、防衛予算を活用したトイレトレーラーのアメリカからの購入を是非前向きに御検討いただければと存じます。
また、今回の関税引上げにより、特に裾野の広い日本の基幹産業である自動車関連産業を始め、多くの事業者の投資判断や賃上げの動向に深刻な影響が及ぶことが懸念されております。
こうした状況を踏まえ、政府におかれましては、日本政策金融公庫によるセーフティーネット貸付けの活用について、金融機関の窓口において積極的に制度の周知、提案を行っていただくとともに、融資決定から送金までの期間短縮を図るため、オンライン手続の活用促進と併せて広報にも一層努めていただきますよう、お願いいたします。
あわせて、サプライチェーンを支えている中小企業に対して、関税コスト等の負担が過度に転嫁されることのないよう、下請代金支払遅延等防止法の厳正な運用に加え、業界全体での自主的な取組の推進など、取引適正化の徹底をお願い申し上げます。
さらに、海外展開を進めている日本企業に対しましても、日本政策金融公庫や国際協力銀行等を活用した資金支援やリスク対応について、積極的かつ効果的な支援を講じていただきますよう、重ねて要望いたします。
防衛省の寺田審議官におかれましては、御退室いただいて結構でございます。ありがとうございました。

堀内委員長 寺田大臣官房審議官におかれましては、御退室いただいて結構です。

西園委員 次に、国連公海等生物多様性協定、いわゆるBBNJ協定について伺います。
一九二八年、青カビから発見された抗生物質ペニシリンは、人類の医療の進歩に大きく寄与し、生命の安全確保に飛躍的な前進をもたらしました。また、近年では、大村智博士らによって土壌中の放線菌からイベルメクチンが開発され、その功績によりノーベル生理学・医学賞が授与されたところです。
さらに、海洋に目を向けますと、海に生息する無脊椎動物である海綿から、水痘・帯状疱疹ウイルスの治療薬や乳がん治療薬が開発されるなど、海洋遺伝資源の持つ可能性とその重要性は国際社会においても広く認識されつつあります。
こうした背景の下、一昨年、国家管轄権外区域における海洋生物多様性の保全及び持続可能な利用を目的とするBBNJ協定が国連において採択されました。この協定は、一九九四年の深海底実施協定、一九九五年の国連公海漁業協定に続く国連海洋法条約の第三の実施協定です。
本協定には、公海等における海洋遺伝資源の利用及びその利益配分、区域に基づく管理手段の設定、能力開発及び海洋技術の移転など、国連海洋法条約がこれまで直接的には対象としてこなかった新たな課題が多数盛り込まれており、新しいタイプの国連海洋法条約とも評されております。
約二十年にわたり積み重ねてこられた国際社会での議論と交渉を経てこの度策定されたBBNJ協定について、政府はどのような意義を認識しておられるのか、また、我が国として本協定を締結することの意義をどのように捉えておられるのか、併せてお伺いいたします。

宮路副大臣 お答え申し上げます。
海洋生物多様性の保全及び持続可能な利用の確保は、国際社会全体として取り組むべき喫緊の地球環境課題です。本協定は、その確保を目的として、公海及び深海底における新たな国際ルールを整備するものになります。我が国として、このようなルール作りの進展を評価しております。
その上で、我が国による本協定の締結には、海洋の生物多様性の保全及び持続可能な利用の促進への貢献、そして、本協定の下での今後のルール作りに能動的に関与することを通じた我が国の海洋権益の維持、確保、三つ目に、法の支配に基づく海洋秩序の発展への寄与といった意義があるというふうに考えております。

西園委員 宮路副大臣、ありがとうございます。
海洋国家である日本がこの協定を締結する意義は非常に大きいと考えておりますので、是非よろしくお願い申し上げます。
次に、BBNJ協定の発効に伴う海洋遺伝資源の取扱いについて伺います。
これまで、公海における海洋の動植物や微生物といった遺伝資源を採取し、医薬品や化粧品などの製品開発に関する研究開発活動については、公海の自由に基づき、実施されてまいりました。
しかし、交渉の過程では、こうした活動を引き続き公海の自由の範疇に含まれるとする立場と、海洋遺伝資源を人類の共同の財産と捉え、その開発に伴う利益配分の衡平性を確保すべきとする立場との間で見解が対立してきたと承知しております。
特に、前者の立場を取る先進国と、後者の立場を主張する開発途上国の間では、金銭的利益を含む利益の公正かつ衡平な配分の仕組みの導入が最大の論点となりましたが、最終的には、先進国側がその導入を受け入れる形で合意に至ったものと理解しております。
また、本協定第十一条第一項において、公海等における海洋遺伝資源等に関する活動は、締約国及び締約国の管轄下にある自然人及び法人が行うことができると明記されたことで、これまでと異なり、自由なアクセス、利用が制限される可能性があるとの指摘もございます。
そこで、伺います。本協定が発効した場合、公海等における海洋遺伝資源に関する研究や開発といった活動は、協定の締約国以外の国に属するものは実施できなくなるのでしょうか。政府の御見解をお聞かせ願います。

濱本政府参考人 お答え申し上げます。
この協定は、全ての締約国が公海及び深海底の海洋遺伝資源に関する活動を本協定に従って行うという具合に規定しているところでございます。
同時に、一般に、公海におきましては、全ての国に公海自由の原則が認められているということでございます。したがいまして、本協定を締結していない国であっても、本協定発効後も、公海等において海洋遺伝資源に関する活動を行うことができるということでございます。
同時に、海洋における人間の活動及びその影響が広範囲に拡大した結果、公海、深海底にも生物多様性に関するルールが必要だというのがこの協定ができた背景でございます。本協定の効果的な実施のためには幅広い国の参加が重要であると考えており、我が国としましては、様々な協議の場で、本協定の締結を引き続き呼びかけていきたいと思っております。

西園委員 ありがとうございます。
人類共同の財産である海洋遺伝資源を守り、世界がその価値を共有することは大変重要な意義があると考えます。非締約国が本協定を締結できるよう、政府には引き続き働きかけをよろしくお願い申し上げます。
次に、千九百九十五年の漁船員の訓練及び資格証明並びに当直の基準に関する国際条約、いわゆるSTCW―F条約についてお伺いします。
近年、国際社会での海上輸送や漁業の安全確保を目的とした船員教育や労働環境の改善を図るため、安全基準の強化が進められております。我が国においても、漁業は地域経済や食料供給を支える重要な産業である一方で、長時間労働や安全教育の不十分さが課題として指摘されたところです。
こうした中で、STCW―F条約の締結は、国際的な基準にのっとった漁船員の訓練と資格証明を義務づけ、漁船の安全運航を確保するという重要な意義を有しているものと認識しています。
また、この条約の締結を前提として、今国会では、船員法等の一部を改正する法律案が衆議院で可決され、現在、参議院において審議が進められております。本法案により、国内法上も漁船員に対する基本訓練が義務づけられることとなり、海上労働の現場における安全性の向上、さらには若者や転職希望者が安心して漁業で働くことができる環境整備に資するものと期待しています。
なお、本条約案については、本年三月二十八日に、政府において閣議決定の上、今国会に承認案件として提出されました。しかしながら、そこで提出された承認案件は、附属書が改正された後の条約の締結を前提としたものであり、提出時点では附属書改正の受諾が確定しておりませんでした。この点について、政府は、附属書改正の受諾が確実であるとの見通しを持って、改正後の条約内容を前提とする承認案件を提出されたのでしょうか。また、もし、本年七月一日までに、附属書の改正に対する異議通告が締約国の三分の一を上回り、改正が受諾されなかった場合、政府はどのような対応を取るつもりなのでしょうか。政府の御見解をお聞かせ願います。

中村政府参考人 お答え申し上げます。
昨年五月に国際海事機関において採択をされました本条約の附属書の改正につきましては、本年七月一日までに、三分の一を超える締約国から改正に反対する旨の通告、いわゆる異議通告が行われない限り、二〇二六年一月一日、来年の一月一日に発効することとなります。
当該改正は全会一致で採択されているということからも、政府といたしましては、来年一月一日に発効するとの見通しの下、今次国会に提出をさせていただきました次第でございます。
なお、今般の改正について、いずれかの締約国から反対する旨の通告があったとの情報には現時点では接しておりません。
その上ででございますけれども、万が一異議通告を行うような締約国がある場合は、関係国に働きかけを行うということを通じて、同日時に問題なく発効するように全力を尽くしてまいります。
以上でございます。

西園委員 御説明ありがとうございます。
条約の改正案については、IMOが全会一致で採択されているということですので、改正が受諾されない可能性はほとんどないということで理解をいたしました。
以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

衆議院 外務委員会で質問

2025年4月16日

【内容】
・米国関税引き上げへの対応
・WTOを機能させる日本の取組み
・日本ASEANセンターの活動評価
・日・ルクセンブルク航空協定の意義

議事録

第217回国会 衆議院 外務委員会 第7号 令和7年4月16日

西園委員 公明党の西園勝秀です。
本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。
これまで多くの議論が行われてきましたので、一部質問が重なるかもしれませんが、大変重要な内容ですので、確認の意味も込め、深掘りの質問をさせていただければと存じます。
アメリカの自国第一主義に基づくこの度の関税引上げは、国際的な自由貿易の原則そのものを根底から揺るがしかねない危険な措置です。かつて、保護主義が台頭した結果、世界が経済的に分断され、ひいては第二次世界大戦という未曽有の惨禍を招いたという苦い歴史的教訓を私たちは忘れてはなりません。
そうした反省の上に築かれたのが今の自由貿易体制であり、その象徴が百六十六か国・地域が加盟するWTOの枠組みです。この国際ルールを維持し、より一層強化していくことがこれからの世界経済の安定と発展、そして世界の平和にも不可欠な要素であると確信いたします。
さらに、アメリカ国内においても、今回の関税引上げによって輸入品の価格が上昇し、アメリカ国民、とりわけ低所得層の生活を圧迫することになります。消費が冷え込み、アメリカ経済全体に悪影響を及ぼすのは避けられず、世界一の経済大国であるアメリカ経済の失速は世界経済の停滞、さらには大恐慌を引き起こすリスクもはらんでいます。
トランプ大統領そしてアメリカ政府が冷静かつ責任ある対応を取るよう、国際社会としても働きかけていくことが極めて重要です。日本としても、自由貿易を守る立場から、毅然とした姿勢でアメリカに対してしっかりと意見を伝え、建設的な議論を促していく必要があると考えますが、岩屋大臣の御見解を是非お聞かせいただければと存じます。

岩屋国務大臣 今委員がおっしゃったことに全く同感でございます。
やはり今回の措置は、ルールに基づく自由貿易体制を揺るがしかねない、そこに大きな影響を及ぼしかねない措置だというふうに思っておりまして、交渉によって是非措置を見直してもらうということを追求していきたいというふうに考えております。
日米双方にとってもよいというだけではなくて、やはり世界全体にとってよいという結論を導くことが大事だと思っておりまして、よく、関税戦争、貿易戦争に勝者はいないという言われ方がされますが、やはりそうだと私も考えております。そういう基本的な考え方に立って、もう交渉担当の大臣もお互いに決まって、明日にでも議論が開始されると思いますので、よりよき結論を導くことができるように、外務省としてもこの交渉を全力で支えていきたいというふうに考えております。

西園委員 大臣、ありがとうございます。
まさに貿易戦争に勝者はないということで、自由貿易体制を維持することが本当に極めて重要だというふうに考えます。
しかし、残念ながら、アメリカの今回の相互関税は、WTOの基本原則に明らかに反しております。そもそもWTO加盟国は、最恵国待遇の原則の下、全ての貿易相手に対して平等に関税を適用することを約束としています。にもかかわらず、特定の国ごとに関税率を変えるやり方は、国際ルールの根幹を揺るがす明白な違反行為です。さらに、WTOでは、各国が交渉を通じて関税の上限を定め、その範囲内で政策を運用することが取り決められています。今回の措置が仮にその上限を超える形となれば、これは二重の意味で協定違反ということになります。
アメリカ側は、ガット第二十一条、安全保障例外を持ち出して正当化しようとしていますが、日本や欧州など、同盟国に対する関税引上げを安全保障上の脅威を理由に正当化するのは、条文の趣旨を逸脱した明らかな濫用です。思い起こせば、トランプ前政権の第一期でも、鉄鋼製品への高関税が国家安全保障を名目に実施されました。しかし、この件についてはWTOでも正当とは認められず、国際社会から強い批判を浴びました。
大国がこうした論理を振りかざし、自国本位の政策を次々と押し通すならば、他の国々もそれに倣って報復の応酬となり、これまで築いてきた多角的な自由貿易の秩序そのものが崩壊しかねません。日本としては、自由で公正な貿易体制を守り抜くため、必要であれば、WTOへの提訴も含め、アメリカに対し断固たる行動を取るべきだと考えますが、この点について、岩屋大臣の御見解をお聞かせいただければと存じます。

岩屋国務大臣 ただいま委員が御指摘されましたように、今般の米国の関税措置は、例えば、米国がWTO協定上約束している譲許税率を超える税率の関税を賦課するものであって、関税及び貿易に関する一般協定、ガット第二条との整合性に深刻な懸念があると考えておりますし、米国による一連の関税措置が今安全保障上の理由によって正当化されるかというと、そこにも大いに疑念があるところでございます。
したがって、WTO協定上の整合性に深刻な懸念と疑念を我々は持っているわけですが、提訴をするか否かということについては、選択肢として全く排除しているわけではありませんが、いよいよこれから交渉が始まるというところでございますので、まずはこの交渉を通じて見直しを求めてまいりたいというふうに考えております。

西園委員 大臣、御説明ありがとうございます。
本当に難しいかじ取りだと思いますが、ASEANを始めとする世界各国が日本の対応を注視しておりますので、アメリカがつくり出した自由貿易体制の価値を、いま一度アメリカに強く訴えていただければというふうに存じます。よろしくお願い申し上げます。
一昨日行われた衆議院予算委員会にて、公明党の岡本三成政調会長は、日本とアメリカが経済面において、単なる貿易相手を超えた同盟国であるという点を改めて確認されました。その上で、アメリカが新たに設置を検討している政府系ファンド、いわば経済安全保障や戦略的投資を担う枠組みに、日本も共同出資という形で参画し、これを日米共同の政府系ファンドとして発展させてはどうかという具体的な提案をされました。この提案は、日米の経済的なきずなを更に強固にし、戦略的な連携を深める上で極めて意義ある提案だと私も思います。
また、岡本政調会長は、自由で開かれた経済圏の拡大を見据え、CPTPPの加盟国拡大、さらには、その事務局を日本に設置することも提案されました。
アメリカがTPPを離脱した後、十一か国によってCPTPPが発足し、昨年にはイギリスも正式加盟、現在は十二か国体制となっています。そして、今回、アメリカの関税措置が世界経済に大きな波紋を広げる中、自由貿易を志向する国々がより安定した経済枠組みを求めて、CPTPPへの参加を希望する動きが今後更に加速することも十分に考えられます。特に、イギリスの参加の影響もあり、ヨーロッパ諸国がこの枠組みに関心を示し始めた場合、日本こそが先頭に立ち、EUとの連携強化を主導し、CPTPPをグローバルな経済秩序の中核的存在へと成長させていくべきと考えます。
自由貿易の拡大は、単に経済的な利益にとどまらず、国際社会に安定と平和をもたらす土台です。そのためにも、CPTPP加盟国の拡大、そして、その価値と意義を日本が積極的に世界へ発信していくことが極めて重要だと考えますが、この点について、岩屋大臣の御見解をお聞かせいただければと存じます。

岩屋国務大臣 委員御指摘のあったように、CPTPPは、こういう状況であるだけに、いよいよ、なおさら極めて大きな意義を有しているというふうに考えております。我が国がこれまで進めてきた、自由で公正な経済秩序の推進に資する枠組みであるというふうに改めて思います。その観点から、新規加入や協定の一般的な見直しを始めとして、引き続き、この枠組みの発展に向けた議論に積極的に貢献していきたいと考えております。
その上で、新規加入につきましては、もう委員御案内のとおり、締約国間で一致した新規加入対応に係る原則に基づいて対応することとなっております。例えば、EUなどは現時点において加入申請をしていませんが、我が国としては、他の締約国ともよく相談をしながら、戦略的観点も踏まえて、そして国民の理解も踏まえて、適切に対応していきたいと考えております。

西園委員 大臣、丁寧な御説明ありがとうございます。
CPTPPに関しましては中国も関心を示しており、将来的には、アメリカや中国といった主要国も含めた経済連携協定が実現すれば、世界経済の安定と発展に大きく寄与するものと考えております。日本には、是非、国際社会をリードする形で、世界共通の貿易ルールの整備に積極的に取り組んでいただきたいと思います。
これまで、WTOでは、全ての加盟国が参加する多国間交渉を基本として、世界共通の貿易ルールの整備が進められてきました。しかし、現実には、加盟国が百六十を超える中で、全会一致の合意形成が時間的、物理的に非常に難しくなったため、有志国が集まって行うプルリ交渉によって多国間交渉の成果へと結びつけていく流れができました。まさに、多国間主義の限界を補完する重要な取組であると評価しております。
しかし、真に国際ルールとして機能させるためには、有志国だけで議論を終わらせるのではなく、非参加国も含めた幅広い国々がそのルールに参加し、受け入れていく環境づくりが不可欠です。特に、途上国にとっては、交渉の専門的知識や体制が整わず、参加へのハードルが高いのが現状です。だからこそ、日本は、制度整備支援や人材育成といった能力構築支援を積極的に行い、途上国を含めた幅広い国々が交渉に参加できるよう後押しすべきだと考えます。そのことが自由で公正な国際貿易の枠組みを広げ、結果として我が国の国益にもつながっていくものであると確信いたします。
この点について、政府の御見解をお聞かせ願います。

林政府参考人 お答えいたします。
委員から御指摘がありましたとおり、有志国による複数国間でのいわゆるプルリ交渉で作成されたルールが真に国際的なルールとして機能することを後押しするために、また、交渉プロセスに途上国の参加を得ていくためにも、我が国としても、必要な制度整備や能力構築を支援する取組を行っていくことが重要と考えてございます。
具体的には、一例でございますけれども、我が国は、WTOにおける有志国の取組である電子商取引に関するルール作成に関連しまして、途上国によるデジタル貿易関連のルール履行や電子商取引の利用機会の拡大のために支援を行っているところでございます。
今後とも、こうした支援を通じまして、プルリ交渉への参加国の拡大を図っていきたいと考えております。

西園委員 御説明ありがとうございます。
次に、ASEANセンターについて伺います。
日本ASEANセンターは、一九八一年の設立以来四十年以上にわたり、日本とASEAN諸国をつなぐ懸け橋として、貿易、投資、観光、人物交流の促進をミッションに様々な活動を行っております。一方、その活動の成果が国民の皆様には分かりづらい部分があるのではないかというふうに思います。
二〇二四年度の我が国のセンターへの拠出金は約四億二千万円ですが、国民の税金を用いる以上、拠出額に見合った成果が上がっているかの検証が重要です。日本ASEANセンターの活動が具体的に日本とASEANの経済関係強化にどう結びついているのか、政府の御評価を伺います。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。
ASEAN貿易投資観光促進センターは、職員数が二十四名という比較的小規模な国際機関でございます。他方、貿易、投資、観光に関するセミナーなどの開催そして人材育成事業等、様々な活動を通じまして、日本とASEAN諸国の間の経済関係強化に貢献してきた、このように評価しております。
幾つか具体例を挙げて御説明申し上げたいと思いますけれども、例えば、二〇二四年度で申し上げますと、貿易促進に関しまして、十二回のASEAN産品の紹介等を含む輸出入促進事業のほか、五回のワークショップ、四回のウェビナーを開催しております。また、投資促進に関しまして、首脳級の参加する投資対話を含めまして、十回の投資促進事業を実施し、延べ約千名が参加してございます。また、サミット関連行事であるASEAN投資フォーラム及びASEANビジネス投資サミットの開催への協力、そして観光に関する人材育成事業など、こういった事業を展開しておりまして、有意義な活動であるというふうに評価しております。
こうした点はASEAN側からも高く評価されておりまして、日・ASEAN首脳会議の議長声明などにおいても言及されているとおりでございます。外交上の意義も大きいというふうに外交当局としても評価しております。

西園委員 ありがとうございます。
ルクセンブルクとの航空協定もちょっと質問を用意しておりましたが、時間となりましたので、これで終わらせていただきます。御準備、いろいろありがとうございました。

衆議院 安全保障委員会で質問

2025年4月10日

質疑内容

・自衛隊海上輸送群の創設意義について
・特定利用空港・港湾の制度拡充について
・特定利用空港・港湾の予算拡充について
・退職自衛官の再就職支援について

議事録

第217回国会 衆議院 安全保障委員会 第6号 令和7年4月10日

西園委員 公明党の西園勝秀です。本日は質問の機会をいただき、ありがとうございます。
早速質問に入らせていただきます。
四月六日、海上自衛隊呉基地で自衛隊海上輸送群の発足式が行われました。現下の厳しい安全保障環境において、陸海空自衛隊の共同部隊として海上輸送群を創設した意義は何でしょうか。また、海上防衛の中枢として歴史ある呉市において、新部隊の創設が、地域経済や雇用、防災機能の強化など、住民生活に与える影響は大きいと考えます。
海上輸送群の創設の意義と地域への影響について中谷防衛大臣の御見解をお聞かせいただけますでしょうか。

中谷国務大臣 自衛隊は全国で活動しておりますけれども、何かあったときにすぐに現場に行くことを実現するためには、何といっても海上機動力の強化が必要でございまして、海上輸送群は自衛隊の機動展開能力を大きく向上させるものであります。
先ほど申し上げましたけれども、海上自衛隊の要員が少なくなってきたということで、船の運用等につきましては海上幕僚監部だけではなかなか管理できないということもありまして、この度、海上輸送群をつくりまして、陸上自衛隊と海上自衛隊が協力して運用に当たるという形を取りましたので、共同の部隊として編成いたしております。
まさにこれは統合運用の象徴というべきものでございまして、特に、呉は、海上自衛隊の艦艇部隊が配置される場所でございますけれども、地元の皆さんとともに協力関係を築かせていただきまして、海上輸送群におきましても地元に貢献できるように、是非御支援のほどよろしくお願いしたいと思います。

西園委員 丁寧な御説明をありがとうございます。
中谷大臣におかれましては、現在の緊迫した世界情勢の中、また、トランプ政権との関係も大変御苦労の多いことと存じます。日本の防衛政策は重要な局面にあると思いますので、是非お体に留意しつつ、国益に資するかじ取りをどうぞよろしくお願い申し上げます。
次に、特定利用空港・港湾について伺います。
この制度は、自衛隊や海上保安庁が平時及び有事において空港や港湾を円滑に利用できるよう政府が必要な環境整備を行うことを目的とした、我が国の安全を確保するために重要な意義を持つものでございます。
しかしながら、現状では、自衛隊や海上保安庁が日常的に利用している全ての空港、港湾が特定利用空港・港湾に位置づけられているわけではなく、制度の対象は限定的であり、必要な整備が十分に行き届いていないケースも見受けられます。その代表的な例が名古屋港です。
名古屋港は日本一の輸出額を誇る経済の要衝であり、海上保安庁や自衛隊にとっても極めて重要な港湾です。しかし、二〇二三年七月四日にサイバー攻撃を受け、港の機能が一時停止し、三日間にわたり荷役ができないという深刻な事態が発生し、日本経済にも多大な悪影響を及ぼしました。この教訓を踏まえ、現在、国会では能動的サイバー防御に関する法案が審議されており、その中で空港や港湾がサイバー攻撃からの防御が不可欠な重要インフラとして明確に位置づけられています。
であるならば、自衛隊や海上保安庁が日常的に使用する空港、港湾についても、平時からのサイバー防御体制を含め、安全保障に直結する施設として、より積極的な整備と運用を図っていくべきではないでしょうか。さきに述べた名古屋港やその他の空港、港湾についても特定利用空港・港湾の対象として拡充し、国としての関与を強化することは、平時の利便性の確保に資するだけでなく、有事における迅速な部隊展開や国民保護の観点からも極めて重要な取組であると考えます。
以上の点を踏まえ、特定利用空港・港湾の拡充と必要な整備に関する政府の御見解をお聞かせ願います。

室田政府参考人 お答え申し上げます。
先生御指摘のとおり、特定利用空港・港湾は、民生利用を主としつつも、自衛隊、海上保安庁の平素における利用をより円滑にしていくという観点から、それぞれの施設の整備あるいは既存事業の促進をやっていくことによって、空港、港湾の利便性を確保し、機能を強化することを目的にしたものでございます。政府としては、これまで十一空港、二十五港湾を特定利用空港・港湾としておりまして、今後も更なる充実化を図っていく考えでございます。
具体的にどの空港、港湾をこの取組の対象にしていくのかにつきましては、自衛隊、海上保安庁のニーズ等を踏まえまして判断してまいりますけれども、引き続き、インフラ管理者たる自治体等との調整を丁寧に行いまして、公共インフラ整備の取組を推進してまいりたいと考えております。

西園委員 ありがとうございます。国の安全を守る重要インフラについては特定利用空港・港湾に位置づけていただくよう、是非よろしくお願いいたします。
次に、特定利用空港・港湾の整備に必要な予算について伺います。
トランプ政権が日本に対し、防衛費を対GDP比三%まで増額するよう求めているとの報道がございます。我が国は、昨年策定した国家安全保障戦略において、安全保障関係費を対GDP比二%に達するよう、必要な予算を積み上げていく方針を示しました。この中には防衛関連の公共インフラに関する経費も含まれていますが、必ずしも十分な予算が確保されているわけではございません。
一方、我が国では、上下水道の老朽化対策や防災・減災対応など、公共インフラへの投資需要が急増しており、限られた公共事業費の中で防衛インフラの整備に十分な予算を確保することが難しくなりつつあります。特に、空港や港湾においては民間と共用するインフラが数多く存在し、自衛隊や海上保安庁が日常的に利用しているにもかかわらず、必要な整備が後回しにされているのが現状です。こうした状況を踏まえると、特定利用空港・港湾制度の活用をより一層積極的に推進すべきであると考えます。
防衛省と国土交通省が連携し、必要なインフラ整備を戦略的に進めていくことは、自衛隊や海上保安庁の活動を円滑に行えるようにするだけでなく、民間の航空機や船舶の利便性を向上させる上でも極めて重要です。特定利用空港・港湾に関する整備予算を政府全体として拡充すべきと考えますが、この点に関し、中谷防衛大臣の御見解をお聞かせください。

中谷国務大臣 特定利用空港・港湾につきましては、民生利用を主としつつ、自衛隊と海上保安庁のニーズも考慮することで、安全保障の重要性も加味しながら、必要な整備、既存事業の促進を図るということでございますので、早期にこれを実現していかなければなりません。そのためには予算が必要でございまして、特に道路も含めて公共インフラの整備の取組を更に充実させてまいります。
この前の能登半島の地震の例ではありませんけれども、いざ起こってからインフラの整備をしても遅いわけでありますので、特に港湾とか道路とか、緊急に対応する必要がある事業につきましては、早期に予算を獲得して、整備ができるように努力してまいりたいと思っております。

西園委員 中谷大臣、大変力強いお言葉、ありがとうございます。平時、有事においても日本の安全保障に資する特定利用空港・港湾の整備予算の確保を何とぞよろしくお願い申し上げます。
次に、退職自衛官の再就職についてお伺いします。
自衛官については、長年にわたり我が国の安全保障の最前線で任務を遂行されてきた方々であり、その豊富な経験や規律、組織的な行動力は退職後においても社会の様々な分野で大いに活用されるべきと考えます。しかし、一方で、定年退職後に再就職された方の中には、一年以内に離職するケースも一定程度存在するとの指摘がございます。これは、再就職先における職務内容や職場環境が自衛隊での経験と大きく異なることが一因であると推察されます。
こうした状況を踏まえ、自衛官が定年後、民間の異なる分野で再チャレンジする際の不安を軽減し、円滑な移行を支援するために、公務員としての身分を一定期間維持したまま民間での勤務に従事できる、いわば官民交流制度のような仕組みを設けてはいかがでしょうか。その上で、当該勤務先で継続的な雇用が可能と判断された場合に初めて正式に退職する形を取ることで、民間就労への移行のミスマッチを防ぎ、本人の能力や経験がより適切に生かされるようになるのではないかと考えます。
防衛省として、自衛官の再就職支援の実態をどのように認識しているのか、また、こうした身分移行の緩やかな制度設計についての御見解を伺います。

青木政府参考人 お答え申し上げます。
防衛省では、退職自衛官に対して様々な再就職の支援を行っております。
その一つといたしまして、自衛官が退職する前に、自衛官の身分を持ったまま、自衛隊に所属したまま、再就職先を検討している企業にインターンシップとして、お試しというか、実際に勤務してみたり業務を経験したり、職業体験を行うようなことをしています。これは、自衛官の身分を持ったまま、自衛隊の組織にいる間にやるものですので、そういったことで、委員が御指摘のようなミスマッチをなるべく避けるようにしております。本人も勤務の実態を具体的に体験できることから、定着に有効ではないかと考えております。
また、定年退職後に民間企業に再就職して一旦離れた者についても、これを改めて自衛隊で再任用するための法案をまさに今国会に提出しているところでございます。
さらに、再就職後やむを得ず退職した自衛官に、一旦辞めた者に対しても再度就職支援を行うための制度の整備も検討しております。
こういった施策を組み合わせながら、再就職支援、早期離職防止に努めてまいりたいと思います。

西園委員 以上です。ありがとうございます。

衆議院 東日本大震災復興・防災・災害対策に関する特別委員会で質問

2025年4月9日

質疑内容

・ドクターヘリの一般的な耐用年数と、耐用年数を超えた機体更新の補助制度のあり方は
・大船渡市、今治市、岡山市の山林火災の失火原因は
・林野火災の消防体制強化に向けた検討状況
・被害者救済の観点からも時代にそぐわない失火責任法は改訂が必要ではないか
・東日本大震災の災害援護資金の貸付と滞納の状況は
・東日本大震災の災害援護資金を滞納する方への柔軟な対応が必要ではないか
・東日本大震災の災害公営住宅の遺品など残置物の処理の取り組みは
・エンディングノートの活用は空き家対策に限らず、高齢化社会の様々な問題解決の糸口になる
・中間貯蔵施設の除去土壌の復興再生利用する自治体には協力支援金などのインセンティブを
・浜田昌良元参議院議員のような移住者を増やす、福島県浜通り地区の活性化に向けた取り組み
・南海トラフ巨大地震発生時の災害発生瓦礫の推計量と仮置き場確保の状況は
・他の自治体の災害廃棄物を受け入れる地域ブロック協議会での連携強化と、被災自治体の支援体制に向けた取り組み

議事録

第217回国会 衆議院 東日本大震災復興・防災・災害対策に関する特別委員会 第4号 令和7年4月9日

西園委員 公明党の西園勝秀です。
本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。
早速質問に入らせていただきます。
四月の六日、長崎県壱岐沖で医療搬送用のヘリコプターが不時着水し、乗っていた六人のうち三人が亡くなるという痛ましい事故が発生しました。亡くなられた方々に心から哀悼の意を表するとともに、御遺族や被害に遭われた皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
事故の原因は現時点では明らかになっておりませんが、全国で運用されているドクターヘリの多くが老朽化しているという指摘がございます。
今回の事故を受けて質問させていただきますが、ドクターヘリの一般的な耐用年数は何年とされているのでしょうか。また、耐用年数を超えた機体を更新していくための補助制度はどのような形で設けられているのか、教えていただければと存じます。

森政府参考人 ドクターヘリの関係でございます。
ドクターヘリについては、厚労省が実施する補助事業において、基本的には二十年程度運用することを見込んだものというふうになっております。予算措置を行う際にも、運航時間、燃料費、人件費等の最新の状況を勘案して補助基準額を設定しておりまして、機体の更新費についても、二十年間程度運用することを見込んだ償還費というものを計上させていただいているところでございます。
なお、今回の事故のありましたホワイトバードにつきましては、ドクターヘリの補助事業の枠組みとは別に、民間が独自に運用しているものでございますが、このホワイトバードの運用期間は今のところ約十二年というふうに承知しております。

西園委員 御説明ありがとうございます。
今回事故を起こしたホワイトバードは、民間医療機関が独自に医療搬送のために用いられてきた機体ということでした。つまり、通常、国の補助を受けて運航されているドクターヘリとは異なる性質のものです。民間医療機関が運用している機体等については、厚生労働委員会等で適宜質疑が行われると思いますので、この件に関して、私からの質問は終わらせていただきます。
次に、岩手県大船渡市、愛媛県今治市、岡山県岡山市で発生した山林火災について伺います。
まず初めに、今回の火災で犠牲になられた方の御冥福をお祈りいたしますとともに、住宅の延焼など被害に遭われた皆様に心よりお見舞いを申し上げたいと存じます。
この冬に起きたこれらの山林火災では甚大な被害が生じ、ニュースでも連日取り上げられ、国民の皆様にとっても大きな関心事かと思います。それぞれの火災について、出火原因は明らかになったのでしょうか。まずお伺いいたします。
〔土屋委員長代理退席、委員長着席〕

小谷政府参考人 お答えいたします。
御質問の大船渡市、今治市、岡山市で本年二月以降に発生した林野火災の出火原因については、いずれも現在調査中と承知しております。

西園委員 ありがとうございます。
調査中とのことでしたが、今後の防災への取組という観点からも、是非とも引き続きの原因究明をお願いいたします。
頻発する林野火災から国民を守るため、地上と空中からの消火能力、消防力を上げていく必要があると存じます。政府としまして、どのような方法を検討しているのかについてお聞かせいただければと存じます。

小谷政府参考人 委員御指摘のとおり、大船渡市などで今般発生した林野火災では、山林の焼損が広範に及ぶなど、住民生活に大きな影響を及ぼしたところです。
消防としましては、これらの林野火災に対し、地元の消防本部や消防団、県内応援部隊、そして大船渡市と今治市で発生した林野火災では緊急消防援助隊も加わって全力で対応し、自衛隊と連携したヘリによる空中消火や、市街地延焼を阻止するための地上からの消火活動等に昼夜を分かたず従事いたしました。
現場の消火活動に当たりましては、市街地延焼を防ぐという共通認識の下、二十四時間体制で活動できるようローテーションを組んで対応したこと、ドローンを用いて延焼状態を把握したり、海水を利用できる特殊車両を活用したりするなど保有する車両、資機材を有効に活用したこと、空中からの消火については自衛隊と担当エリアを分けて活動したことなど、効果的な消火活動に全力を挙げたところでございます。
このように災害態様を踏まえた対応を行ったところではございますが、今後、消防庁としては、林野庁と共同で、大船渡市林野火災を踏まえた消防防災対策のあり方に関する検討会を開催することとしており、この場において、今般の消防活動等を検証し、今後取り組むべき火災予防、消防活動、装備、技術等の充実強化の在り方について検討を行ってまいります。

西園委員 ありがとうございます。
今回、各地で起こった林野火災の現場において、極めて厳しい状況の中、昼夜を分かたず、命懸けで任務をしてくださった全ての関係者の方々に対し、心から敬意と感謝を申し上げたいと存じます。
続いて、失火責任法についてお伺いいたします。
山林火災において、失火者に対する責任が限定的である現状は大きな問題があると考えます。特に、失火責任法では、重大な過失がない限り失火者は損害賠償責任を負わないとされています。これは、失火責任法が制定された明治三十二年、その当時、木造の住宅密集地で火災が拡大しやすかったという時代背景もあり、火元の特定や賠償の公平性に配慮したものでした。
しかし、現在の山林火災においては事情が異なります。山林火災は、一度発生すれば被害が広範囲かつ深刻であり、住民の生命や財産、自然環境にも甚大な影響を及ぼします。
また、住宅火災においても、隣家からの延焼で自宅が火事に巻き込まれた被害者の方が、自分には何ら落ち度がないにもかかわらず損害賠償請求が制限される事態や、失火した加害者に責任を追及できない可能性が高いという点では現行法は不合理であり、被害者救済の観点からも時代にそぐわないと言えると思います。
さらには、現代の地球環境の変化も踏まえ、今後の火災の性質や被害の広がり方を考える上でも、失火責任の在り方を見直す必要があると考えますが、失火責任法改定についての是非も含め、法務省にお伺いしたいと存じます。

竹内政府参考人 お答えいたします。
失火責任法の立法趣旨でございますが、一般に、失火により自分の財産を焼失させるような場合には過失に宥恕すべき事情のあることが少なくないこと、木造家屋が多く、立て込んだ住宅環境の下で、一旦火災が発生すると損害を想定外に拡大させる危険性があることなどによるとされております。
もっとも、現代においては、立法当時より木造住宅が減少するなど、立法当時の状況からは変化が生じているとの指摘があることは承知をしております。
民法の不法行為関係の規定の見直しは、法務省としても検討課題であると認識をしておりますが、今後、その検討を行う際には、その特則である失火責任法についても検討が必要となり得るものと考えております。

西園委員 失火責任法改定に向けた前向きな御答弁、ありがとうございます。
林野火災についてはもちろん、住宅火災の延焼被害に遭われた方々がどれほど無念な思いをされているか、その悲痛なお声を聞くにつけ、失火責任法改定の必要性をひしひしと感じております。改定の早期実現に向けた御検討を何とぞよろしくお願い申し上げます。
続いて、東日本大震災の被災者に対する災害援護資金の貸付けについてお伺いいたします。
この災害援護資金の貸付けを受けられた方はどれくらいおられるのでしょうか。また、そのうち、返済が滞っているのはどの程度か、教えてください。

高橋政府参考人 お答えをいたします。
東日本大震災に係る災害援護資金の償還状況につきまして、内閣府において、被災自治体の協力を得て調査を行い、その結果を公表しているところでございます。
直近の調査結果でございます令和五年九月時点における償還状況でございますが、貸付総件数が二万九千七百二十五件、貸付総金額五百二十五億三千百八十九万円に対しまして、滞納件数が九千九百十二件、貸付総数の三五・九%に当たります。滞納金額が六十五億八千五百九十五万円、貸付総金額の一二・五%に当たります。といった状況でございます。

西園委員 ありがとうございます。
この災害援護資金の返済が遅れている、又はできないという方というのは、御高齢であったり、体調の面で働けなかったり、返済したくてもできないという物理的な理由がある方が多くおられ、その返済の督促が心身に大きな負担を強いているという厳しい現状があると伺っております。
このような方々に対しては、状況に応じて支払いの猶予や免除など、国が自治体に対して柔軟に対応する必要があるのではないかと感じておりますが、政府の見解をお聞かせいただきたいと存じます。

高橋政府参考人 お答えをいたします。
東日本大震災で被災され、災害援護資金を借りた方の中には、計画どおり返済されている方がいらっしゃる一方で、経済的に厳しいなどの理由により滞納されておられる方もいらっしゃるものと承知をしております。
こうした方への対応といたしまして、災害、疾病、負傷、経済的困窮など、市町村がやむを得ないと認める事情がある場合には償還金の支払い猶予が可能となっております。また、精神若しくは身体に著しい障害を受けたため災害援護資金を償還することができなくなったと認められるときや、破産手続あるいは再生手続開始の決定を受けたときは、償還の免除をすることが可能となっております。
また、こうした措置に加えまして、東日本大震災につきましては、通常の免除事由のほかに、貸付けを受けた方が一定の無資力要件を満たす場合にも特例的に免除が可能といった制度になってございます。
さらに、関係自治体からの御要望を踏まえ、市町村が支払いを猶予した場合に、国及び都県が有する貸付債権、これは市町村に対する貸付債権でございますけれども、同様に履行期限を延長できるよう、現在、政令改正に向けた準備を進めているところでございます。
引き続き、被災された方に寄り添った対応がなされるよう、関係機関と連携の上、適切に対応してまいりたいと考えております。

西園委員 前向きな御答弁、誠にありがとうございます。
御検討くださっていると伺い、安心いたしました。是非とも、苦しい思いをされている被災者の皆様に寄り添う御対応を何とぞよろしくお願い申し上げます。
次に、東日本大震災の災害公営住宅における残置物の処理について伺います。
災害公営住宅に入居された方が孤独死された場合、遺品の引取りに際して、親族を探すことが困難であったり、親族が見つかっても受取を拒否されることがございます。遺品の処理が進まなければ、その部屋を次の入居者に貸し出すことができず、結果として空き部屋の増加につながります。
こうした問題は、災害公営住宅に限らず、一般の公営住宅でも見られる現象であり、全国的な課題となっています。今後、単身世帯の増加に伴い、孤独死の件数や空き部屋の発生が更に増加すると見込まれます。
こうした状況を踏まえ、単身高齢者が亡くなられた際の遺品など、いわゆる残置物の処理に関して、国土交通省としてどのような取組を行っているのか、御教示いただければと存じます。

横山政府参考人 お答えいたします。
御指摘の、災害公営住宅において単身高齢者が死亡した場合の残置物の処理の問題でございますけれども、委員からも御指摘があったように、災害公営住宅だけでなく、それ以外の公営住宅においても、入居者の単身高齢化が進む中で課題となっているものと認識してございます。
残置物の取扱いについては、相続人等の思いや財産権についても配慮が必要でございます。一方で、御指摘のとおり、いたずらに空き家、空き室を増やすことは望ましくなく、有効に活用すべきという問題意識もございます。
国土交通省においては、平成二十九年に地方公共団体に通知を発出し、価値のある残置物については相続人の承諾なく地方公共団体が処分はできないこと等を踏まえつつも、残置物の分別や移動、保管等を行う場合の対応方針を示すとともに、他の地方自治体において実施されている対応事例の周知を行ったところでございます。
引き続き、公営住宅管理の現場の実態や取組状況等を把握しながら、残置物の円滑な処理の取組が進むよう、地方公共団体を支援してまいります。

西園委員 御説明ありがとうございます。
孤独死に伴う遺品の引取りや残置物の整理が社会的課題となる中、本人の意思をあらかじめ記しておくエンディングノートの重要性が高まっており、それに取り組む自治体も増えつつあります。家族や関係者への負担を軽減し、円滑な対応を可能とするためにも、自身の希望や財産、連絡先などを整理し、記録しておくことは、単身高齢者に限らず、全ての人にとって必要な措置と言えます。
エンディングノートの活用は、今後の高齢化社会を見据えたとき、さきに述べた空き家対策だけに限らず、様々な問題解決の糸口になっていくと感じております。是非、この流れが定着するような仕組みづくりを政府にもお願いできたらと存じます。
エンディングノートにつきましては、私もアイデアがございますので、また機会がございましたら御提案をさせていただきたいと存じます。
次に、福島県大熊町、双葉町に設置された中間貯蔵施設で保管されている放射性物質を除去した土壌の再生利用について伺います。
私は、本年二月、この中間貯蔵施設を訪問いたしました。この施設は、福島県の復興と再生を願う大熊町、双葉町の地権者の皆様の御理解と御協力により、約千六百ヘクタールという広大な用地の確保が可能となったものです。日本の全国民は、原発事故による被害と向き合い続けてこられた両町の皆様に対し、深い敬意と感謝の念を持ち続けなければならないと強く感じました。
この除去土壌については、二〇四五年三月までに県外で再生利用し、最終処分を完了することとされています。県内での再生利用に関する実証事業において一定の成果が確認されたことを踏まえ、今年度から除去土壌の再生利用に関する基準を定めた省令が施行され、再生利用先の創出に向けた動きが本格化すると期待されています。
こうした流れを一層加速させるためにも、再生利用を受け入れる自治体に対しては協力支援金などのインセンティブ措置を講じてはどうかと考えますが、政府の御見解をお聞かせください。

白石政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、二〇四五年三月までの県外最終処分の実現に向けましては、最終処分量の低減が鍵でございますので、復興再生利用を進めることが重要だというふうに考えてございます。
御指摘のとおり、除去土壌の復興再生利用につきまして、今まで県内で再生利用の実証事業の成果がございました。こういったものを踏まえて、復興再生利用の基準等の策定を先般行ったところでございます。
復興再生利用の推進につきましては、昨年十二月に設置されました閣僚級の会議の下で、二〇四五年三月までのお約束を果たせるよう、政府一体となって、復興再生利用の案件の創出に向けて取組を進めてまいりたいというふうに考えてございます。
その実施に向けては、受け入れていただく自治体や地域の皆様の御理解が重要だということでございます。まず、復興再生利用の必要性、安全性について丁寧に御説明することが重要でございますけれども、その上で、どのように関係者の御理解を得ていくのか、支援金というお話もございましたけれども、こういったことも含めて、引き続き検討を進めてまいりたいというふうに考えてございます。

西園委員 御説明ありがとうございます。
環境省の皆様には大変な御苦労をおかけしますが、県外の受入先の確保について、引き続きの御努力をお願いいたします。
福島県双葉町の公営住宅には、帰還された町民の方や新たに移住された方、約百名が入居されています。その中のお一人に、公明党の元参議院議員、元復興副大臣である浜田昌良さんがおられます。浜田さんは、最も苦労されている双葉町の住民の皆様に寄り添い、復興アドバイザーとして、御自身の人生を懸けて町の復興に取り組んでおられます。その浜田さんをモデルとしたテレビドラマ「風のふく島」が先月テレビ東京系列で放映され、大反響を呼びました。
私は過日、その浜田さんにお会いし、大衆とともに語り、大衆とともに戦い、大衆の中に死んでいくとの公明党の立党精神を体現されているそのお姿に感動し、自分自身もかくあらねばならないと深く決意したところです。
双葉町を始めとする福島県浜通り地区の活性化は、一筋縄ではいきません。浜田さんのような移住者を増やしていくためには、まずは、東京を始め首都圏で勤務される方が豊かな自然を満喫できる浜通り地区で週末を過ごすような二地域居住を促進することが第一歩になると思います。浜通り地区の人を増やすことによる活性化についてどのようなことを考えておられるのか、復興副大臣である、浜田さんのバトンを受け継がれている輿水副大臣にその思いをお聞かせいただければと存じます。

輿水副大臣 西園委員の浜通り地区の活性化についての御質問にお答え申し上げます。
初めに、復興副大臣を務められた浜田昌良元参議院議員が、議員を勇退された後に福島県の浜通り地区の双葉町に移住し、復興アドバイザーとして現場に寄り添い続ける姿に心から敬意を表するとともに、感謝を申し上げる次第でございます。
委員御指摘の、仕事を替えずに、主な生活拠点とは別の特定の地域に新たな生活拠点を設ける暮らし方である二地域居住の促進は、移住者の拡大にもつながる重要な施策であると認識をしているところでございます。
復興庁では、浜通り地域の移住、定住促進のために、福島県及び十二市町村の自主性に基づく取組に対して支援を行っているところであり、二地域居住の促進に関する取組も支援の対象となっているところでございます。
引き続き、復興庁といたしましては、様々なインフラ整備と併せて、産業やなりわいの再生、町のにぎわいの創出を通して、交流人口や関係人口、さらに移住、定住人口の創出、拡大に向けた総合的な支援を進めることで、浜通り地域の活性化に取り組んでまいります。
以上でございます。

西園委員 輿水副大臣、力強いお言葉、誠にありがとうございます。
浜通り地区の交流人口、関係人口が増えていけば、JR常磐線の利用客も増え、いずれ、特急の増便が図られ、東京、首都圏を勤務先とする移住者が増えてくると思います。復興庁におかれましては、引き続き浜通り地区の活性化に御尽力いただければと存じます。
次に、南海トラフ巨大地震の発生瓦れきの仮置場の確保について伺います。この件に関しましては、二月二十八日に行われた予算委員会第一分科会でも触れさせていただきましたが、一歩踏み込んだ質問をさせていただきます。
私は、国土交通省からの出向で復興庁に勤務していたとき、「東日本大震災 復興政策十年間の振り返り」、いわゆる復興政策十年誌の編さんに携わってまいりました。私がこの中で最も肝要だと感じたのが、災害発生瓦れきの仮置場の確保です。
東日本大震災の復興が大幅に遅れた原因として、災害発生瓦れきの仮置場が不足していたことが挙げられています。災害が起きた場合、発生する瓦れきを仮置きし処理するのは、原則として被災したその自治体になります。しかし、被災自治体が単独でその瓦れきを処理するのは不可能です。
私の地元静岡市に確認したところ、南海トラフ巨大地震で発生する瓦れきの量に対し、確保できている仮置場の量は約十分の一とのことです。他の自治体も同じような状況だと思います。つまり、もし今この瞬間に南海トラフ巨大地震が発生すれば、瓦れきを仮置きする場所がなく、町の復興が全く進まない状況に追い込まれます。
そこで、環境省にお伺いします。南海トラフ巨大地震で静岡県内で生じる災害発生瓦れきの量はどれくらいを想定しているのでしょうか。また、環境省は仮置場の確保のためにどのような取組を行っているのでしょうか。

角倉政府参考人 お答え申し上げます。
南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループにおきまして令和七年三月に報告書が取りまとめられており、この報告書では、災害廃棄物の被害想定についてもまとめております。静岡県につきましては、災害廃棄物の発生量は津波堆積物を含み約五千五百万トンと推計されているところでございます。
こうした膨大な量の災害廃棄物の処理を適正かつ円滑、迅速に行うためには、ただいま御指摘いただきましたとおり、平時から、仮置場の候補地を事前に選定をし、市町村が策定する災害廃棄物処理計画に位置づけていくことが大変重要であると考えております。
こうした考えの下、環境省におきましては、これまで、災害廃棄物処理計画の作成支援のためのモデル事業を実施するとともに、地域ブロック協議会における自治体向けセミナーの中で、仮置場候補地の検討や管理運営の演習を行うことを通じ、自治体による仮置場候補地の選定を支援しているところでございます。
また、令和五年には、災害廃棄物対策グッドプラクティス集や災害廃棄物処理計画策定・点検ガイドラインを策定し、自治体へ周知しております。グッドプラクティス集では、災害廃棄物処理計画に基づいて選定した候補地に速やかに仮置場が設置された事例をその要因などとともに紹介させていただいております。
今後とも、こうした取組を通じて、また本日いただきました御指摘も踏まえまして、自治体による災害廃棄物処理計画策定と仮置場候補地の選定を更に後押ししてまいりたいと考えております。

西園委員 御説明ありがとうございます。
実際に仮置場を確保しようとすると、地権者の同意が必要となるため、総論賛成、各論反対という構図に陥ってうまくいかないことが想定されます。環境省におかれましては、仮置場を確保できた優良事例を全国に展開し、各自治体の取組を支援していただければと存じます。
選挙で選ばれる首長が他の自治体の災害廃棄物を受け入れる決断を下すことは、非常に大きな覚悟を伴うものです。だからこそ、災害廃棄物の受入れについては、発災前から地元住民に対して丁寧な説明を行い、あらかじめ同意を得ていくことが不可欠です。
その意味で、自治体が連携して災害廃棄物の処理を担う地域ブロック協議会の役割が大切であり、この協議会の枠組みの中で災害時に発生する瓦れきの受入れについてあらかじめ取決めを行っていくことが極めて重要であると、繰り返しになりますが、強く訴えさせていただきたいと存じます。
そして、更に言えば、そのための土壌づくりとして、災害が多い日本に住む我々国民全体に、困ったときにお互いを支え合う自他共栄の復興精神が今以上に芽生えるような取組を図ることによって、さきに述べたような地域間の連携がより円滑に行えるのではないかと思いますので、政府におかれましては、その点についても協議をお願いできればと存じます。
そして、実際に災害が発生した際には、防災庁が政府の司令塔として、首長と連携を図りながら、環境省による広域的な瓦れき処理を補完、支援し、被災自治体を後押しする体制を整えていくことが重要です。この点につきまして、赤澤大臣の御見解をお伺いいたします。

赤澤国務大臣 もちろん災害の規模にもよりますが、復旧段階に入って、瓦れきの仮置場の確保というのは、委員御指摘のとおり、極めて重要な課題でございます。
南海トラフ巨大地震などの大規模災害が懸念される中で、瓦れき等の災害廃棄物の広域処理について、あらかじめ国や自治体において連携体制を構築するとともに、大規模災害の発災後にはその体制に基づき迅速に処理していくことは極めて重要であると考えております。
環境省においては、既に委員、今日のやり取りの中で御紹介いただいていますけれども、自治体の災害廃棄物処理に関し、仮置場の候補地の選定などの事前の計画策定、発災後の現地の処理業務の支援や広域処理の調整等を実施しているものと承知をしております。
令和八年度中の設置に向けて今現在まさに準備を進めております防災庁では、平時から、都道府県のカウンターパートである地域防災力強化担当を都道府県ごとに決めて、地域の自治体等との緊密な連携体制を構築するとともに、発災時の司令塔機能として、政府全体の窓口として被災自治体等の要望をワンストップで受け止め、関係省庁の対応を加速させるとともに、被災自治体の災害対応や首長の指揮を適切にサポートすることも重要であると考えています。
防災庁を中核に、災害廃棄物処理を含め個別の施策を実施している各省庁、関係機関が一体となった災害対策を一層効果的、効率的に実施できるよう、現在開催している防災庁設置準備アドバイザー会議において様々な御意見をいただきながら、また今日の委員の御指摘もいただきながら、必要な組織の在り方について検討してまいります。

西園委員 赤澤大臣、丁寧な御説明、誠にありがとうございます。
広域的な瓦れきの受入れ体制の構築こそ、事前防災の本丸と思います。防災庁設置準備室におかれましては、是非、環境省と連携の上、この取組を進めていただければと存じます。
また、赤澤大臣におかれましては、防災庁の設置と同時に、トランプ政権との交渉という大変重責を担われ、本当に心労もいかばかりかとお察し申し上げます。くれぐれもお体を大切になさっていただければと存じます。
質問はあとちょっと、二問ほどあるんです。多分、時間が来てしまいますので、以上で終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。

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