フェーズフリー防災 日常生活に「備え」取り込もう

災害への備えを特別な対応と捉えるのではなく、日常の延長として自然に実践できるような機運を、官民で育んでいきたい。
災害時に役立つモノや行動を普段の生活に取り込む「フェーズフリー」という防災の考え方がある。その促進に向け内閣府が3日、有識者による検討会をスタートさせた。
今秋の発足をめざす「防災庁」の基本政策や事前防災の加速化を見据え、検討会は提言内容を議論する。政府が一丸となって初めてフェーズフリーの普及に乗り出す意義は大きい。
背景には、国民の自助の取り組みが頭打ちになっている現状がある。内閣府が昨年実施した世論調査によれば、防災対策を「やろうと思っているが、先延ばしにしてしまっている」との回答が約4割に上った。
こうした中で「備えない防災」とも呼ばれるフェーズフリーは「面倒くさい」「特別な出費は避けたい」といった備えをためらう要因を打破する鍵となろう。
代表的な取り組みに「ローリングストック」がある。普段から食料などを少し多めに買い置きし、古いものから消費して買い足すことで、いざという時には備蓄として活用する手法だ。
ほかにも内閣府は、近所の散歩が街の危険な場所を知ることや、自分の足で避難するための体力作りにもつながり、防災上有効だとしている。負担感を少しでも減らし、備えを日常生活に溶け込ませていく多様なアプローチが重要だ。
防災を日常化する社会づくりも欠かせない。防災機能を備えた公園の整備や、地域を回る保健師が高齢者への健康相談の際に災害時の備えを促す活動などが各地で進んでいる。
一方で、スポーツ用品メーカーが災害時に役立つ服や靴などを開発したり、不動産会社が家具の固定方法をホームページやSNSで呼び掛けるなど、民間の動きも広がりを見せている。
検討会ではこうした取り組みを共有し、今後の各省庁での具体的な施策や国民への意識啓発の手法などに結び付けてほしい。
公明新聞2026/06/12 2面転載
