航空燃料の脱炭素化 国産SAFの供給拡大進めよ

廃食油などを原料とするSAF(持続可能な航空燃料)。今月1日、国産のSAFを使用した初の旅客便が関西国際空港から飛び立った。航空分野における脱炭素化の鍵として期待されるSAFの普及を後押ししたい。
航空機は、鉄道など他の輸送機関よりも二酸化炭素(CO2)排出量が多く、脱炭素化の取り組みが急務となっている。
こうした中、植物由来の廃食油などを再利用して作られるSAFは、従来の燃料に比べてCO2を約8割削減できる点が大きな注目を集めている。
今回供給されたSAFは、3月に完成した堺市にある国内初の生産工場で作られた。この工場では年間約3万キロリットルのSAFを生産する計画で、今後は各地の空港などへの供給をめざす。
世界各国ではSAFに切り替える動きが進んでおり、日本も2030年までに国内の航空会社が使う燃料の1割をSAFにする目標を掲げる。国産燃料の確保はエネルギー安全保障の観点からも重要である。
SAFの生産・供給量の拡大に向けた取り組みの強化が急がれる中、最大の課題は原料の確保だ。
国内の飲食店などから集められる廃食油は年間約40万トンに上るものの、約3割は輸出され、海外で製造されるSAFの原料となっている。この輸出分を国内でのSAF製造に回すことが大切だ。
また、国内の家庭から出る廃食油の回収も欠かせない。既に回収を進める自治体もあるが、その9割が回収されていない。政府は回収の仕組みを広げるとともに、国民の関心を高めることにも努めてもらいたい。
公明党は政府への提言や国会質問などを通して、廃食油の回収促進や、SAFの生産・供給を進める取り組みを後押ししてきた。堺市では、公明党の推進によって官民連携で回収する仕組みが構築され、関空への供給につなげている。
SAFの普及に向け、こうした取り組みを広げていきたい。
公明新聞2025/05/08 2面転載