あす「原爆の日」 市民社会と共に核廃絶めざす
平和の祭典・オリンピックのパリ大会が開催されている中、広島はあす6日、長崎は9日に79回目の「原爆の日」を迎える。
来年は被爆80年。被爆者の平均年齢は86歳になろうとしている。
被爆者の願いは「生きている間の核廃絶の実現」である。「核兵器のない世界」への道程は険しくなるばかりだが、私たちはこの厳しい現実の中で、一歩ずつ核廃絶への努力を続けなければならない。
厳しい現実とは何か。
確かに、核兵器の非人道性は、被爆体験の重みとともに、世界の反核NGO(非政府組織)の努力もあり広く認識され、核兵器禁止(核禁)条約も実現した。
しかし、核保有国は、「核による平和」を認める核抑止論を保持し、米国の「核の傘」に安全保障を依存する日本や韓国、北大西洋条約機構(NATO)諸国もそれを支持している。その上、核保有国のロシアが核による威嚇を続け、北朝鮮も核開発で世界を挑発する今、核抑止論はますます存在感を高めている。
人々の心には「核軍縮への願い」と「核抑止の期待」が共存しているかのようだ。これを打開するには、核の非人道性を訴え人々の心を変えてきた市民社会との連帯が重要である。
公明党は2009年12月に核廃絶推進委員会の初会合を開き、現在も続けている。公明議員だけでなく、毎回、外務省の軍縮担当者と多彩なNGOメンバーが参加している。
核禁条約加盟を求めるNGOと、条約反対の政府の立場は全く異なる。
しかし、核保有国と非保有国双方の有識者が核軍縮を議論する外務省主催の国際賢人会議のあり方や、公明党が政府に求めている核禁条約締約国会合へのオブザーバー参加などについて、NGOと政府との建設的な意見交換が実現している。状況打開への一歩を探る貴重な場となっている。
核抑止論をどう乗り越えるかは難問である。核廃絶運動を広げ、核禁条約を実現させた行動力のある市民社会と共に進みたい。
公明新聞2024/08/05 2面転載