街のバリアフリー 共生社会へ対策の加速さらに

日本は前回大会の開催地である東京を中心に対策が全国に広がっている。「交通バリアフリー法」や「新バリアフリー法」の制定・改正などを主導してきた公明党の一貫した取り組みがあるからだ。
障がいの有無にかかわらず誰もが安心して暮らせる共生社会の実現へ、ハード・ソフト両面から取り組みを一段と加速させたい。
先月には国が建築物のバリアフリー基準を見直し、競技場や劇場など客席を備えた施設を対象に、車いす使用者のための客席を一定数以上設置することが義務付けられた。新基準は来年6月1日以降に着工する延べ床面積2000平方メートル以上の施設に適用される。
車いす使用者用の客席は施設の総客席数が400席を超える場合だと、その0・5%以上、400席以下では2席以上の設置が義務化された。当事者の声を踏まえた公明党の提言が実現したもので、評価したい。
車いす使用者がスポーツ観戦や観劇を楽しむ際、専用客席の前席の人が立ち上がって視界が遮られてしまうケースが少なくない。客席の設置には、視界の十分な確保といった細やかな配慮も重要になろう。
公共交通機関では、駅や空港などにおける段差の解消や点字ブロックの設置のほか、鉄道・バス車両のバリアフリー化が着実に前進している。パリでも車いす利用者に配慮したバス車両が増えているという。誰もが安心して外出できる環境整備を引き続き進めたい。
共生社会の実現には、こうしたハード面の対策だけでなく、互いの個性を尊重し支え合う「心のバリアフリー」を一人一人に広げていくことが欠かせない。来月28日からはパラリンピックも控えている。高まる機運を対策の一層の加速につなげていくことが大切だ。