防ごう子どもの転落事故
■(原因)手すりを乗り越える/網戸に寄り掛かる
子どもの転落事故は、一人で歩けるようになる1歳頃から増え始めます。消費者庁によれば、転落事故の約6割が5~9月に集中しています。
年齢別に見ると、事故に遭うのは、3~4歳が多数を占めています。好奇心や自我が芽生え、活発に動き回るようになりますが、何が危険な行為かの判断はできません。また、2階からの転落でも、入院が必要な「中等症」と診断されるケースが多くなっています。
主な事故事例から原因を探ってみましょう。
■事例1
外出する家族を見送るため、ベランダに出た子どもが鉄棒の前回りをするときのように、手すりにつかまって身を乗り出しました。そのまま体が前のめりになり、地上に転落しました。
■事例2
子ども部屋の窓を開けていたところ、子どもが網戸に寄り掛かり、そのまま5メートル下のコンクリートに転落。全身打撲で約2日間の入院となりました。このとき、保護者は別の部屋にいて、すぐに異変に気付きませんでした。
■事例3
2階リビングに置いてあった箱を、子どもが踏み台にしてよじ登り、開いていた窓から、そのまま3メートル下にある庭の芝生に転落しました。目立った外傷はありませんでしたが、経過観察のため入院しました。
■足場は作らず、窓には補助錠
このように原因は、窓やベランダ周辺の環境や子どもの見守りに問題があるケースがほとんどです。転落事故を防ぐため、消費者庁では、次の点に注意するよう呼び掛けています。
まずは、子どもが勝手に窓や網戸を開けて外に出ないようにすることが重要です。施錠を徹底することはもちろん、子どもの手が届かない位置に補助錠を付けると安心です。網戸の劣化状況も点検しましょう。古くなった網戸は、1歳児の体重でも寄り掛かると簡単に外れてしまう恐れがあります。
■レイアウトを工夫、ベランダは整理
ソファやベッドなど、窓の近くには、子どもの足場となる家具を置くのは避けてください。できるだけ物を置かないようにレイアウトを工夫しましょう。
その上で、ベランダに物は置かず、整理しましょう。使わなくなった玩具やプランター、新聞の束、段ボール、椅子といった足場になるような物は撤去してください。また、エアコンの室外機によじ登るケースもあります。室外機は手すりから最低60センチ以上離して設置しましょう。
■目を離さない
日頃から子どもの行動には十分に目を配っておきましょう。子どもだけでベランダで遊ばせるのはやめてください。車や電車の音、犬の鳴き声、話し声などに反応し、ベランダから身を乗り出してしまう可能性があるからです。
また、短時間であっても、子どもを残して外出しないようにしましょう。保護者がいないことに気付き、不安になって窓を開けたり、ベランダに出て探そうとしてしまいます。
公明新聞2024/05/30 4面転載