被災者を税制面で支援 所得税など減免措置、1年前倒し/特例法が成立
能登半島地震は1月1日に発生したため、減免措置は本来24年分の所得に適用される。減免を受けるには25年の確定申告後まで待たなければいけなかった。特例法は減免措置を1年前倒しし、16日から始まった23年分所得の確定申告から適用できるようにして被災者の税負担を軽減する。
住宅や家財の損害に応じて減税する「雑損控除」や、雑損控除を受けない人の災害減免法に基づく減免措置が対象。個人事業主の事業用資産で生じた損失の経費算入にも適用する。こうした前倒し措置は阪神・淡路大震災や東日本大震災でも実施していた。
雑損控除は、災害などにより資産が損害を受けた際に損失額の一部を所得から差し引ける制度。損失が大きく、その年分で控除しきれない場合は、翌年分以降に繰り越せる。繰越期間は通常3年だが、「特定非常災害」の場合は5年に延長される。能登半島地震は特定非常災害に指定されているため、23年分で控除しきれない場合、24年分以降5年間繰り越せる。
一方、雑損控除との選択適用となる災害減免法に基づく減免措置は、災害で住宅や家財が損害(時価の2分の1以上)を受けたときに所得税を減免できる制度。合計所得金額が500万円以下だと所得税が全額免除され、750万円以下は2分の1、1000万円以下は4分の1の軽減措置が適用される。災害減免法に関連した住民税の減免は自治体が条例で柔軟に対応できる。
■公明が推進
今回の特例措置を巡って公明党は、1月30日に税制調査会が被災者を税制面から支援する方針を確認。与党税調の方針決定を踏まえ政府が国会提出した特例法案などの審議では、被災者に対する丁寧な周知や寄り添った相談対応を訴えた。
また雑損控除については、公明党の推進によって23年度税制改正で特定非常災害の場合に繰り越し控除できる期間を3年から5年に延長していた。
本会議に先立ち、21日に国会内で開かれた党参院議員総会で山口那津男代表は、今回の特例措置について「現場で使えるように、しっかり地方議員の皆さんにも説明して被災者に行き届くようにしたい」と呼び掛けた。
■確定申告、石川、富山は既に延長
国税庁は能登半島地震の被災者に向け、さまざまな税制上の措置を講じている。
23年分の所得税などの確定申告に関しては、既に石川、富山両県で国税の申告・納付期限を延長している。両県以外でも、被災して国税の申告・納付ができない場合は、所轄の税務署に申請することで期限の延長を受けることができる。
車が廃車になった場合は自動車重量税の還付措置があるほか、相続や贈与を受けた財産に被害が出た際の相続税・贈与税の減免などもある。
これらの措置は同庁のホームページで公開している。
公明新聞2024/02/22 1面転載