中堅企業の支援 地域経済の成長、賃上げを促進
政府は大企業と中小企業の間に、新たに「中堅企業」の枠を設置し、重点的に支援する。16日に閣議決定した産業競争力強化法などの改正案に盛り込み、今国会での成立をめざす。
改正案では、中小企業を除く従業員数2000人以下の企業を中堅企業と位置付ける。
中堅企業の多くは、地方に本社や工場を構えているケースが多い。経済産業省によると、過去10年の従業員数や国内における設備投資額の伸び率は、大企業に比べて中堅企業の方が上回っている。
地域に根差した企業が発展すれば、地方での雇用や投資の活性化にもつながる。経済成長や賃上げの動きを地方に広げる役割を担う点で、今回の改正案の意義は大きい。企業の成長を促す改革とも言えよう。
わが国では、中小企業に対して資金繰りや税制面で多くの優遇措置を実施する一方、大企業への支援策は少ない。このため、事業拡大による成長をあえて志向せず、中小企業にとどまるケースが見られる。
改正案では、賃金水準が高く、国内の設備投資などに積極的な企業を「特定中堅企業」に位置付け、税制面で優遇するほか、日本政策金融公庫による大規模で長期の金融支援を行う。
設備投資への支援は、公明党の中小企業活性化対策本部が昨年10月に政府へ行った提言でも求めており、評価したい。中小企業が中堅企業をめざすインセンティブ(誘因)にもなるのではないか。
また、企業の合併・買収(M&A)を行った際の税優遇も実施する。後継者難に直面している中小企業にとっては、中堅企業を受け皿とするM&Aが広がることで、事業承継の促進に役立つことが期待できる。
中堅企業の対象は、全国で約9800社、従業員は約490万人に上る。企業の成長意欲を後押しする環境整備を着実に進めていきたい。