コロナとインフル 同時流行。感染予防の徹底を
新型コロナウイルスの感染者数が高い水準で推移する中、インフルエンザとの同時流行が進んでいる。今後、各地で患者が急増して医療が逼迫する恐れもあり、感染予防の徹底を改めて心掛けたい。
厚生労働省によれば、全国に約5000ある定点医療機関から報告された新型コロナの新規感染者は、10日までの1週間で定点医療機関当たり「20・19人」と、前週から高水準で横ばいが続く。一方、同じ期間のインフルエンザ患者数は定点医療機関当たり「4・48人」で、前週の「2・56人」を大きく上回った。
今年はインフルエンザの流行が収束せずに継続した地域が散見され、既に42都道府県が流行入りの目安となる「1人」を超えている。最多は沖縄県の「13・43人」で同県は4年ぶりに夏季に注意報を発令した。警戒を強める必要がある。
新型コロナとインフルエンザは、発熱といった症状が似ていて見分けがつきにくい。いずれも感染後に重症化して命の危機に陥る場合があり、そのリスクが高いとされる高齢者や基礎疾患のある人などは注意が必要だ。乳幼児の場合は、命に関わる脳症を起こす懸念もある。
感染を防ぐには、部屋の換気や場面に応じたマスクの着用、手洗いといった基本的な対策が欠かせない。普段から留意して実践したい。症状がある場合は人混みを避けるなど、周囲に感染を広げない行動を取ることも大切だ。
重症化予防に有効とされるワクチン接種も推奨されている。生後6カ月以上の希望者を対象としたコロナワクチンの「秋接種」が、きょう20日から各自治体で順次始まり、「春接種」を受けた高齢者らも追加で打てる。インフルエンザワクチンとともに接種を検討してほしい。
同時流行により全国的に学級閉鎖が増え、東京都などでは救急患者の搬送に長時間かかる事例も生じている。一人一人の感染予防の行動が医療逼迫を防ぎ、患者の命を守ることにつながると再認識したい。
公明新聞2023/09/20 2面転載