学校のバリアフリー化 教育、防災の両面で加速必要
教育現場では、障がい者と健常者が共に学ぶ「インクルーシブ(包容する)教育」が注目を集める。子どもたちが障がいのある人と一緒に過ごすことで、お互いを尊重し、思いやる心を育むことができるとされる。
だが、学校がバリアフリーでないことを理由に、親や障がいのある本人が希望しても、入学を断られるケースがある。こうした状況は早急に改善しなければならない。
公明党は22日、障がい者団体と共に、インクルーシブ教育の推進に関する要望を政府に届けた。障がい児が安心して通えるよう、自治体への働き掛けや補助の拡充など具体策の促進を求めている。
2020年のバリアフリー法改正で、公立小中学校を新築・増改築する際には多目的トイレなどの整備が義務付けられた。既存の施設に対しては、文部科学省が21年度から費用の補助率を従来の3分の1から2分の1に引き上げ、後押ししている。
しかし、校舎の多目的トイレの整備率は約7割にとどまり、障がい児らが在籍する全ての学校(全校の約41%)への整備を目標とするエレベーターの設置も3割に満たない(昨年9月時点)。地域によって進捗のばらつきも大きい。
政府は自治体の状況を丁寧に聞き取り、利用できる支援策の周知徹底に努め、着実な整備を促すべきだ。 学校のバリアフリー化は防災面からも重要である。
公立小中学校は9割以上が災害時の避難所に指定されている。東日本大震災や熊本地震では、段差の存在やトイレの使いにくさが、高齢者や障がい者にとって負担になった。
災害が頻発化する中、高齢者や障がい者がためらいなく避難できる避難所の整備は喫緊の課題である。
政府は現場の声を真摯に受け止め、取り組みを加速させてもらいたい。