ボランティアポイント 参加者の介護予防と地域貢献に
高齢化の進展に伴う介護需要の増大は、日本が直面する重要課題の一つだ。介護予防の取り組みとともに、介護サービスの支え手の裾野を広げる手だてが必要である。
この点で注目したいのが、介護支援のボランティア活動を通じて地域で交流し、支え合いの関係の構築を促す「ボランティアポイント制度」だ。
公明党は、4月の統一地方選挙に臨む重点政策の中で、同制度の普及促進を掲げている。全国の地方議会で制度の導入や取り組み強化を訴えたい。
2007年に導入された同制度は、散歩補助や行事の手伝いといった介護ボランティアなどに参加するとポイントがたまり、商品券などと交換できる仕組み。参加者本人の介護予防や介護給付費増大の抑制になるだけでなく、ポイント利用が地域活性化にもつながるとして実施する自治体が増え、20年度までに599市区町村に拡大している。
全国で初めて導入した東京都稲城市では、65歳以上の住民を対象に介護施設などで活動してもらい、給付ポイントに応じて年間最大5000円が支給される。
ほかの自治体では、40歳以上を対象に高齢者施設で入所者の話し相手や行事の手伝いをした際にポイントを付与し、ギフトカタログの商品と交換できるなど、各地が地域の実情に応じて工夫を凝らしている。
日本福祉大学がボランティアポイント制度の効果を検証したところ、調査した自治体では介護予防と地域活動の参加促進の両面で効果が確認されたという。
また、22年版高齢社会白書によると、社会活動に参加した人の方が、参加していない人よりも生きがいを感じている割合が高い。介護ボランティアへの参加には、生きがいづくりの意義もある。
厚生労働省は21年3月に同制度の導入を検討する自治体向けの「制度導入・運用の手引き」を作成し、取り組みを促している。今後も最新の事例紹介や具体的な効果などについて、情報発信に努めてもらいたい。
公明新聞2023/02/07 2面転載