コロナ「5類」引き下げ 公明、公費負担の当面継続を提言
公明党の新型コロナウイルス感染症対策本部長の石井啓一幹事長らは24日、新型コロナの感染症法上の位置付けの見直しに関する提言を松野博一官房長官に手渡した。提言は、結核などと同様に厳重な対応を取る現在の「2類相当」から、季節性インフルエンザなどと同じ「5類」への引き下げを政府が検討していることを踏まえ、公明党の考えをまとめたものだ。政府はしっかり対応してもらいたい。
政府が新型コロナの法的位置付けを見直す背景には、オミクロン株の致死率が季節性インフルエンザ並みに低いことや、5類に引き下げれば一般の医療機関でも入院患者の受け入れが可能になるといったことがある。政府は今春の引き下げをめざす方針だ。
法的位置付けの見直しは、当然のことながら現在の感染「第8波」の動向を注視すべきだ。その上で提言では、オミクロン株は感染力が強く現段階では季節性インフルエンザと全く同様の対応は困難であるとして「段階的な移行」を訴えた。
また、5類になると医療費に対する公費負担の法的根拠がなくなる。しかし、自己負担が発生すればワクチンの接種率低下や感染者が検査・受診を控えるといったことが懸念される。提言で要望したように、接種や検査、治療、入院の費用は当面の間、公費で負担すべきである。
さらに提言は、5類に引き下げただけで、おのずと新型コロナに対応する医療機関が増えるわけではないと指摘。むしろ、入院調整や病床確保に対する費用補助、診療報酬加算が直ちになくなれば医療の逼迫を招く可能性があるとして、特例的な予算措置の縮小も段階的に行うよう求めた。
松野官房長官は公費支援や医療提供体制について「段階的なものを考えないといけない」と応じた。
このほか提言では、重篤性の高い新たな変異株が出現した際、特性に応じて改めて法的位置付けを柔軟・迅速に検討することなどを要請した。国民の不安を招かぬ取り組みが重要だ。
公明新聞2023/01/27 2面転載