子どもの声が尊重される「学校内民主主義」進めよう 生徒指導の手引、12年ぶりに新しく
学校内民主主義――子どもたちの社会参画への主体性を育むため、児童生徒、保護者、教職員が互いに話し合いながら、校則や学校行事などを決めていくことを意味し、公明党は先の参院選でその実現をめざすと公約した。そうした中、文部科学省が12年ぶりに改訂する、小中高校での生徒指導の手引書「生徒指導提要」に、学校内民主主義を進めるポイントが明記されることになり、注目を集めている。改訂版は9月中をめどに同省ホームページ(HP)に公開される予定だ。
■(校則)絶えず積極的に見直し、児童生徒の関与求める
「児童生徒が声を上げて学校が変わると思いますか?」。若者の声を政策に反映させる活動に取り組む「日本若者協議会」が2020年11月に全国の高校生や大学生らに行ったアンケート調査で、「どちらかというとそう思わない」(34%)と「そう思わない」(34%)を合わせて約7割が否定的な回答を寄せた【下のグラフ参照】。
背景には、校則を盾に自分たち(子どもたち)の声が門前払いにされていると感じる実情があるようだ。同協議会の室橋祐貴代表理事は、「理不尽な校則も、見直しに後ろ向きな学校も珍しくない。身近なコミュニティー(共同体)である学校で、子どもたちは自らの意見が尊重されていないという無力感を抱いている」と指摘する。
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教職員は児童生徒にどう関わるか。生徒指導の理論や指導方法などを網羅的に掲載し、「現場の参考」(文科省児童生徒課)として活用されてきたのが生徒指導提要だ。初めて作成・公表された2010年から10年以上が経過したため、改訂されることに。有識者でつくる同省「協力者会議」で今年8月下旬に改訂版(案)がおおむね了承され、現在は文科省がHPに載せるための最終準備段階だ。
改訂版では、学校内民主主義の実現の鍵を握る「校則の運用・見直し」に関する記述が充実する。特に注目されるのは、①絶えず積極的に見直していく重要性を強く打ち出したこと②児童生徒が校則の理解を深めることで主体的に順守する教育的な意義に触れ、見直し過程に児童生徒らが関わることを望ましいとしたこと――の2点だ。
公明新聞2022/09/23 3面掲載