夏休み明けと子ども 小さな変化を見逃さぬように
夏休み明けは、子どもの心が不安定になりやすい。自らの命を絶つような事態を防ぐため、子どもの小さな異変を見逃さないようにしたい。
政府の自殺対策白書によると、1年のうち8月と9月に小中高生の自殺者が多く、特に9月1日が突出している。
「友達とうまくいかない」「授業についていけない」といった理由から、新学期を前に学校生活に不安を感じる子どもがいる。また、長引くコロナ禍によるストレスの蓄積が精神状態に影響を与えていることも考えられる。
では、保護者や教師など周囲の大人は子どもの異変をどうキャッチすればいいのか。不登校の当事者を取材するNPO法人「全国不登校新聞社」が昨年8月に行った緊急アピールを改めて確認したい。
同新聞社の石井志昂編集長は、子どもの「学校へ行きたくない」という訴えは命に関わるSOSであると警鐘を鳴らす。さらに、体調不良や情緒不安定など普段と違う様子があれば注意が必要だと指摘。その上で、「学校に行きたくない」と子どもが伝えてきた場合、まずはその気持ちを受け止めることが大切と強調している。
子どもに対し、周囲に相談するよう促すことも重要だ。
永岡桂子文部科学相は今月22日、「不安や悩みがあったら話してみよう」との子ども向けのメッセージを同省のホームページに掲載した。
この中では、不安や悩みを1人で抱え込まず、家族や教師、スクールカウンセラー、友人などに話すよう呼び掛け、身近な人に話せない子どもには、メールやネットで相談できる窓口を紹介している。併せて保護者や学校関係者に対しても、注意すべき子どもの変化や相談窓口を記したメッセージを掲載している。
不安や悩みを持つ子どもに対しては、「あなたは1人ではない」「いつも味方でいる」といった寄り添う姿勢が大切であることを、重ねて強調しておきたい。
公明新聞2022/08/30 2面転載