男女間の賃金格差 重要な「見える化」の義務付け
日本の男女間の賃金格差は大きい。経済協力開発機構(OECD)の2020年時点の調査によると、日本の男性の賃金の中央値を100とした場合、女性は77・5にとどまる。OECD加盟国38カ国中36位という低水準の数値だ。
女性の活躍を推進するためにも、この現状を早急に変えなければならない。公明党は、参院選のマニフェストで各企業における男女間の賃金格差の実態を「見える化」し、格差の是正に取り組むとしている。
政府も「見える化」に向け、既に動き出している。
政府が6月3日に決定した「女性活躍・男女共同参画の重点方針」(女性版骨太の方針)には、企業に男女間の賃金格差の開示を義務付けることが盛り込まれた。厚生労働省は同24日、この方針の実施に向けた女性活躍推進法の省令改正案の要綱をまとめ、厚労相の諮問機関である労働政策審議会で了承された。今月に省令を改正し、施行する。
この背景には、公明党の竹内譲政調会長が1月24日の衆院予算委員会で「女性活躍推進法の枠組みを活用した男女間賃金格差の開示を検討すべきだ」と訴え、岸田文雄首相が「(開示できるよう)制度の見直しを具体的に検討し、速やかに着手していく」と答弁していたことがある。
改正された省令の施行後、従業員が300人を超える企業は、基本給や残業代、ボーナスなどを含む男女の年間平均賃金を、全従業員、正社員、非正規社員の三つの区分でそれぞれ算出し、男性の賃金に対する女性の賃金の差異の開示が義務付けられる。
この「見える化」の取り組みを、企業は男女間の賃金格差の是正につなげていくことが重要である。格差が生じる要因の一つに、日本の企業では管理職に登用される女性が少ないことが挙げられる。内閣府男女共同参画局の調査によると、21年の時点で日本の上場企業の管理職における女性の割合はわずか12・6%で、40%近い欧米諸国と比べて極めて低い。企業はこうした状況を改善すべきだ。
公明新聞2022/07/04 2面転載