公明推進の中小企業支援策
新型コロナウイルスの感染拡大、ロシアのウクライナ侵略による物価高騰などを受け、公明党は、税制・予算を通して、中小企業を支える支援策を強力に推進しています。ガソリン補助金、事業復活支援金、賃上げや資金繰り支援など、公明党の推進で実現した主な施策を紹介します。
■(燃油高騰対策)41.4円補助し生活守る
ガソリンなど燃油価格の高騰を抑えるため、政府は1月から、石油元売り会社に補助金を支給しています。
4月からは、1リットル当たりの補助金の上限を25円から35円に引き上げ、ガソリンの全国平均価格の抑制目標を172円から168円に下げました。補助金の支給は、当面9月末まで延長しています。
その上で、国際原油市場価格が前例のない水準まで高騰し、補助上限の35円を超えて補塡が必要になった場合に備え、国が価格上昇分の半分の額を支援する制度を設けました。この結果、6月16日から22日の間では、石油元売り会社に41・4円を支給。経済産業省は、価格抑制効果を確認できているとし、「事業の目的は一定程度達成できている」と語っています。
補助対象については、軽油、灯油、重油も上限35円まで補助。新たに航空機燃料も対象に追加したほか、LPガスを使用するタクシー事業者に対する支援事業も実施しています。
原油高騰対策を含む総合緊急対策の財源では、公明党の強い主張により今年度予算の予備費に加え、補正予算を充てて、万全な備えを確保しました。
■(賃金アップ促進)法人税から最大40%を控除
賃上げの環境整備に向けて、従業員の賃金を増加した企業に、法人税から増加分の一定割合を控除する税制を抜本強化。公明党の主張を踏まえ、控除率を通常の15%から上乗せし、大企業で最大30%、中小企業で同40%に引き上げました。
この中小企業への支援では、雇用者全体の給与総額を2・5%増やした場合、控除率を30%とし、従業員の教育訓練費を1割以上増やした場合には控除率をさらに10%上乗せします。教育訓練費を巡っては、公明党の指摘を受け「異動・配置転換先の職務上必要になることが見込まれる技術・知識も含まれます」と内容を明確化しました。
ただ、賃上げ促進税制には法人税を納めていない赤字企業には利点がありません。そこで、赤字企業が賃上げする場合、ものづくり補助金の補助率を引き上げるなど優遇策を盛り込みました。また、賃上げと設備投資を行う中小企業を支援する「業務改善助成金」の要件緩和も実現。自動車やパソコンなどの設備投資も対象になりました。
継続した賃上げ促進策もあり、昨年度の最低賃金(全国平均)は時給930円に。前年からの引き上げ額は28円と過去最大です。
■(事業復活支援金)売上減、最大250万円を支給
新型コロナウイルスの感染拡大で売り上げが減少した事業者に最大250万円を支給する「事業復活支援金」。中小企業庁が1月末に申請受け付けを開始して以来、約196万件に約1兆4514億円を届け、事業者を下支えしてきました(13日時点)。
事業復活支援金は、公明党の主張を受け、売り上げ減少率「50%以上」に加え、「30%以上」の基準を設けるなど使い勝手がよくなりました。同支援金を受け取った事業者からは「本当に助かった」との声が数多く寄せられています。
また、中小企業の事業転換を支援する「事業再構築補助金」も対象が拡大されました。同補助金は、コロナ禍の影響を踏まえたものでしたが、ロシアのウクライナ侵略による物価高騰を受けて、公明党が拡充を訴えた結果、「原油価格・物価高騰等緊急対策枠」が新設されました。
このほか、収入減の事業者に給付する「持続化給付金」、設備投資などを支援する「ものづくり補助金」、企業が支払う休業手当の一部を支給する「雇用調整助成金」、休業手当を受け取れない場合に労働者本人が申請できる「休業支援金」などについても公明党が強力に創設・拡充を推進してきました。
■(資金繰り)無利子・無担保は12月末まで延長
コロナ禍や物価高騰などで債務が積み上がり経営が苦しい中小企業に対して資金繰り支援は重要です。
政府の支援策では、公明党の主張を踏まえ、債務の条件変更や実質無利子・無担保融資の申請期限の延長などを講じ、万全を期しています。
既往債務の条件変更や借り換えなどについて、政府は5月、官民の金融機関に対して、返済期間や据え置き期間の長期延長など事業者の実情に応じた対応を要望しました。
その上で、制度上の返済期間や据え置き期間を超えた延長についても個別の事情に応じて柔軟に相談に応じるよう求めています。
コロナ禍で業況が悪化している企業向けに政府系金融機関が実施する実質無利子・無担保融資では、申請期限を6月末から12月末までに延長しました。運転資金についての融資期間も、15年以内から20年以内に延長しました。
自己資本と見なすことができる日本政策金融公庫の「新型コロナ対策資本性劣後ローン」は、2022年度末まで継続します。
資金繰り支援を充実させたこともあって、東京商工リサーチが6月8日に発表した5月の全国企業倒産件数は524件で、低水準にとどまっています。
■(債務の返済)指針で猶予・減免を柔軟に
長引くコロナ禍、物価高騰を受け、中小企業の債務返済が困難になるケースが増えています。
そこで、過剰債務問題に対処し、事業再生を促すため、「中小企業の事業再生等に関するガイドライン(指針)」の運用が始まっています。これにより返済猶予や債務減免を柔軟に進めることができます。
指針では、裁判所を介して債務返済をする「法的整理」によらず、企業や銀行を含めた関係者の話し合いで債務の返済猶予や減免などを柔軟に行える「私的整理」のルールを提示しています。
2001年策定の指針は大企業向けに作られ、経営責任としてトップ退任を求める厳しい条件がありました。ただ、現在の債務はコロナ禍など外的要因を受けたもので「中小企業者においてその影響は大きい」(指針)ことから、今回は必ずしも経営者の退任を求めていません。また、私的整理を活用する企業が債務超過を解消するまでの期間も、3年以内から5年以内に延長しました。
このほか、中小企業の収益力改善を後押しする中小企業活性化協議会は、指針に基づいて私的整理を進める企業に対し、経営・財務など調査費用について最大700万円支援します。
公明新聞2022/06/20 6面転載