「こども家庭庁」法案、閣議決定 子ども政策の司令塔 虐待、貧困、少子化対策担う/23年4月設置へ
政府は25日、子ども政策の司令塔となる「こども家庭庁」設置法案を閣議決定した。2023年4月に内閣府の外局として発足することとしており、施行期日は同年4月1日と明記した。今国会での成立をめざす。
新たに創設する同庁は、首相直属の機関として位置付け、内閣府や厚生労働省から、子どもや子育てに関わる主な部署を移管。虐待や貧困、少子化問題など子どもを取り巻く環境が厳しさを増す中、行政の縦割りを打破し、府省に分かれる業務を集約させ、子ども関連の政策を一元的に担うのが目的。子育てしやすい環境づくりを国を挙げて進める。
法案は、同庁の担当分野として、子どもの保育や養護、虐待の防止、子育て家庭への支援体制整備、いじめ防止に関する相談体制の整備などを列挙。同庁の長官が、関係行政機関の長に対し、資料の提出や説明、協力を求めることができると規定した。
いじめなどの重大事案に関しては、同庁と文部科学省が連携して対応。幼稚園や義務教育など主な教育分野については、引き続き文科省が担当する。
「こども」の定義について法案では、「心身の発達の過程にある者」と定めた。18歳や20歳といった特定の年齢で区切らず、切れ目ない支援をめざす。
政府は併せて、同庁設置に伴う関係法の改正案も決定。改正案には他省の閣僚に対する勧告権を持つ内閣府担当相ポストの新設を盛り込んだ。担当相は、勧告を受けた側が講じた措置について、報告を求めることができる。
同庁の設置を巡って公明党は、昨年5月末に当時の菅義偉首相に提出した「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)に関する提言の中で、省庁の縦割りをなくし、子どもと家庭を総合的に支えていくためにも司令塔の機能を担う首相直属の新たな行政組織の創設が必要だと提案。同年10月に行われた衆院選でも重点政策として掲げ、同庁設置を強く訴えてきた。
■縦割り打破し、支援の抜け落ち防ぐ意義大きい/党政務調査会長 竹内譲氏
公明党は結党以来、一貫して子育て・教育支援の充実に取り組んできた。一方で、子どもや子育て家庭を巡る環境は、時代とともに複雑化、多様化している。縦割りの行政組織の下では、必要な支援から抜け落ちる子どもが生じてしまう。これを防ぐためにも「こども家庭庁」の創設が重要だ。
例えば、子どもの貧困は内閣府、児童虐待は厚生労働省が担っている。生活に困窮し、親の仕事が忙しくなれば、子どもに食事を作る時間がなくなり、育児放棄や虐待につながるとの指摘もある。対策を練る政府の組織がバラバラでは、充実した支援策は作れない。
そうした観点から、子ども関連の政策を一体的に担うこども家庭庁を創設する意義は極めて大きい。今国会で同庁設置法案を必ず成立させたい。
公明新聞2022/02/28 1面転載