ペットの犬猫 虐待防止にチップ装着は重要
2019年6月に成立した改正動物愛護管理法に基づき、来年6月1日から販売される犬や猫には、所有者(飼い主)の特定につながる識別番号を記録したマイクロチップの装着と、環境省への所有者情報の登録が義務付けられる。
チップ装着や所有者情報の登録は、虐待や遺棄される犬猫の増加に歯止めをかける重要な取り組みだ。来年6月の実施に向け、準備に万全を期してほしい。
警察庁によると、19年に動物愛護管理法違反の容疑で摘発された動物虐待事件は、前年より21件多い105件で、統計を始めた10年以降で最多となっている。虐待する様子を動画で撮影し、インターネット上に投稿する極めて悪質なケースもあった。
公明党は、動物の虐待は絶対に許されないとして、動物愛護管理法の改正を一貫してリードしてきた。チップ装着の義務化のほか、虐待や遺棄などに対する罰則の強化、成長に悪影響が出ないよう生後56日が経過しない犬猫の販売禁止などが改正法の柱となっている。
このうちチップ装着が義務付けられるのは、繁殖業者やペットショップだ。チップは直径約2ミリ、長さ約8~12ミリの円筒形で、15桁の識別番号が記録されており、専用装置で読み取ることができる。
また、繁殖業者などは、識別番号とともに氏名や住所などの所有者情報を、環境相の指定を受けて登録事務を行う「指定登録機関」を通じて環境省のデータベースに登録しなければならない。
一般の飼い主が既に飼っている犬や猫へのチップ装着は努力義務だが、チップが装着された犬や猫を新たに購入したり、譲渡を受けた人には、所有者情報の変更が義務付けられる。
これにより、ペットの虐待や遺棄を防ぐことはもちろん、災害や盗難、事故などで飼い主と離れ離れになった場合でも見つけやすくなり、飼い主の元に戻ってくる可能性が高まる。
チップ装着は世界で広く使われている安全で確実な動物の身元証明の方法だ。日本でも普及・定着させ、業者や飼い主が、命を預かる責任を自覚することにつなげたい。
公明新聞2021/04/13 2面転載