危機乗り越え希望と安心を 「衆望」を担い、応える闘いさらに
2021年の元朝を迎えた。新型コロナウイルスによる歴史的危機を乗り越え、明るい展望を開く1年としたい。
コロナ禍の収束に向け、各国でワクチンの接種が始まっている。日本でも昨年12月、米製薬大手ファイザーが、同社のワクチンについて厚生労働省に薬事承認を申請した。有効性や安全性が確認されれば2月にもワクチン接種が開始される。国は今年前半までに全国民分のワクチンを確保する計画で、希望者には無料で接種される。
かつてない規模の予防接種となるだけに、円滑に進むよう国は実施主体の市町村をしっかり支えてほしい。感染拡大を抑え込むことで社会・経済活動を回復させ、東京五輪・パラリンピックの開催につなげたい。
コロナ禍以前から日本が直面している課題についても、取り組みを強めねばならない。
一つは、人口減少と少子高齢化に対応できるよう社会保障制度を強化することだ。従来の年金、医療、介護に子育て支援などを加え、老若男女、誰もが安心して暮らせるよう切れ目なく全ての世代を対象とした全世代型社会保障を構築すべきである。
既に具体化している少子化対策や高齢者の就労環境の整備などを着実に進めたい。さらに今後は、中間所得層でも容易に困窮に陥ったコロナ禍の教訓を踏まえ、「弱者を助ける制度」から「弱者を生まない社会」への転換も検討すべきであろう。
今年の3月には、東日本大震災から10年の節目を迎える。この間も、わが国は地震や台風などの大規模災害に何度も見舞われた。防災・減災対策の強化は喫緊の課題である。
この点、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」が昨年12月に決定した意義は大きい。堤防やダムの整備、老朽化した道路や下水道などの補修、防災気象情報の高度化を集中的に進め、災害に強い社会を築く必要がある。
次なる成長に向け、社会のデジタル化や脱炭素社会の実現に強い覚悟で取り組むことも欠かせない。
国際社会に目を転じると、今月には米国でバイデン新大統領が誕生する。これまでの自国第一主義から国際協調路線に回帰することが期待される。バイデン氏は既に、地球温暖化対策の国際的な枠組みである「パリ協定」への復帰をはじめ、トランプ政権からの方針転換を明らかにしている。中国との対立関係は予断を許さないが、経済や安全保障、感染症対策といった国際的な課題で米国にはリーダーシップを発揮してほしい。
こうした時代の変わり目にあって、大衆の期待や要望、すなわち「衆望」を担い、応えていくことが公明党の使命であることを改めて肝に銘じたい。
<生命・生活・生存>を最大に尊重する人間主義を掲げる公明党は昨年、1人一律10万円の特別定額給付金の支給やワクチンの確保をはじめ、コロナ禍から国民を守るために全力を挙げてきた。社会保障改革や防災・減災対策などにも公明党の主張が多く反映されている。
今年は、こうした政策実現力の基盤を一層強固にし、国民の期待に応えていきたい。そのためにも、秋までに行われる衆院選や、夏の東京都議選などの統一外地方選を断じて勝ち抜かねばならない。
コロナ禍に打ち勝ち、国民に希望と安心を届ける――との決意も固く、勇躍前進しようではないか。
公明新聞2021/01/01 3面転載