事業者の社会保険料 特例で猶予された分、最大4年かけて納付も可能
事業者が毎月納める厚生年金などの社会保険料を巡って現在、コロナ禍を受けて支払いを1年延期する特例が設けられている。その上で来年の特例終了後、通常の保険料と特例で猶予されていた分の納付で毎月の負担が倍増する事態を避ける方策として、厚生労働省は、既存制度の活用で最大4年かけて猶予分を支払うこともできるとしている。
特例は、今年2月1日から来年2月1日までに納期限が到来する保険料の納付を無担保・延滞金なしで1年間猶予するもの。
一方、特例終了後の活用が考えられる制度は「職権による換価(差し押さえ財産の現金化)の猶予」。同制度では①換価によって事業継続などが困難になる恐れがある②換価の猶予が、保険料を徴収する上で有利――との要件ごとに最大2年、両方当てはまれば同4年、換価が猶予される。実質的には支払いの延期であり、特例の猶予分を分割して4年の間に少しずつ支払うことも可能になる。
申請先は、厚生年金、全国健康保険協会(協会けんぽ)の保険料であれば管轄の年金事務所。担保は原則必要だが、不要の場合もある。また、納付の延滞には最大で年8・8%(来年1月から)の延滞金がかかるが、同制度が適用されると1%(同)となる。
■公明が対応訴え
事業者の保険料納付を巡っては、11月25日の衆院予算委員会で公明党の伊佐進一氏が「まだまだ(事業者の)状況が厳しい。引き続き柔軟な対応を」と主張。これに対し田村憲久厚労相が、負担が少ない形で納付できるよう「努力する」と答えていた。
公明新聞2020/12/29 2面転載