核禁止条約、来年1月発効へ
【ニューヨーク時事】核兵器禁止条約の批准書や受託書を国連に寄託した国・地域が24日、発効に必要な50に達した。ホンジュラス国連代表部が同日の批准書寄託を確認した。条約は90日後の来年1月22日に発効する。核兵器の使用や保有を初めて違法化する国際条約となる。
■保有国は参加せず
核兵器禁止条約は2017年3月、核軍縮の停滞を背景に非保有国の主導で制定交渉が始まり、同7月に採択された。核保有国やオランダを除く同盟国は交渉に参加せず、軍縮条約としては異例の速さで採択に至った。
条約は前文に被爆者の「受け入れ難い苦痛と損害」に留意すると明記。核抑止力を意味する「核兵器を使用するとの威嚇」も禁止した。一方、核保有国が交渉に参加しなかったため、具体的な軍縮措置は盛り込まれなかった。
核兵器禁止条約制定を働き掛け、ノーベル平和賞を受賞した国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」で国連を担当するセス・シェルデン氏は「条約発効で(核兵器は違法という国際的な)規範が強まることで、非加盟国の行動に影響を及ぼす可能性はある」と指摘。核保有国などに加盟を促す活動を続けていく方針だ。
ただ、核保有国は、核抑止力を国家安全保障戦略の柱に据えており、核兵器の使用をはじめ幅広い活動を禁止する同条約への参加は困難。条約制定を受け、核保有国と非保有国の溝も一層深まった。唯一の被爆国として両者の「橋渡し役」を自任する日本は、今後その役割をいかに果たしていくか、改めて問われることになる。
■国連総長、世界の運動成就
【ニューヨーク時事】グテレス国連事務総長は24日、核兵器禁止条約の年明けの発効について「核兵器使用による壊滅的な人道的結末に目を向けさせた世界の運動が成就した」と述べ、核兵器なき世界の実現に向けて条約制定・批准を働き掛けた被爆者や核実験被害者、NGO関係者らの活動をたたえた。報道官を通じ声明を発表した。
また、条約発効を核廃絶に向けた「有意義」な動きと評価。核廃絶が「国連にとって軍縮問題の最優先事項」と改めて強調した。
■党核廃絶推進委・浜田座長がコメント
核兵器禁止条約の来年1月発効が決まったことを受け、公明党核廃絶推進委員会の浜田昌良座長(参院議員)は25日、次のようなコメントを発表した。
■被爆者の声、結実を評価
このたび核兵器禁止条約を批准する国と地域が50に達したことで、同条約は90日経過した来年1月22日に発効することになります。これは唯一の戦争被爆国であるわが国のヒバクシャの皆様の声が、国際的な法規範として結実したものであり、高く評価するとともに、これまで核兵器の非人道性に対する啓発活動を通じて国際世論の形成をリードしてきた市民社会の活動に心から敬意を表します。
■日本はオブザーバー参加を
近年、核軍縮を巡る状況の停滞が続く中で発効要件を満たした核兵器禁止条約について、わが国が、対立を深める核兵器国と非核兵器国の間に「真の橋渡し」ができるよう、主体的な取り組みが必要と考えます。今後、開催が予定される締約国会合においては、オブザーバー参加や、広島、長崎への誘致も含めて、日本としての貢献のあり方を幅広く検討し、政府に働き掛けてまいります。
公明新聞2020/10/26 1面転載