エスカレーターでの事故
久々に外へ出る時には、エスカレーターなど、普段なら危険を感じずに利用しているものに関わる思わぬ事故に気を付けたいものです。エスカレーターの乗り方について、東京消防庁や消費者庁に寄せられた事故事例を踏まえ、気を付けるべきことなどを紹介します。
■東京消防庁管内、5年間で救急搬送が約7000人
東京消防庁によると、エスカレーターに関する事故で、2014年から18年までの5年間に、同庁管内だけで7000人近くが救急搬送されています。中でも「転ぶ」「落ちる」事故が9割以上を占めています。
具体的にどのような事故事例があるか、いくつか見てみましょう。
■子どもの事故事例
下りのエスカレーターに乗っていたら、履いていたサンダルがステップと側面にあるスカートガード(踏み段横の側板)の間に挟まり、手で取ろうとした際に軽いけがを負った(事故発生は19年、4歳児。東京消防庁)。
■大人の事故事例1
歩行につえを使う必要があり、つえをついた状態で駅構内のエスカレーターを利用。後方から上がってきた人とつえが接触し、バランスを崩して転倒してしまい救急搬送された(事故発生は11年6月、50代男性。消費者庁)。
■大人の事故事例2
両手に荷物を持ってエスカレーターに乗った。両手がふさがっていたため、手すりにつかまることができず、バランスを崩して転倒。顔面から出血し、全身を打撲してしまった(事故発生は13年7月、70代女性。同庁)。
■手すりにつかまり歩行は避ける
エスカレーターでの事故を防ぐためには、どうすればよいでしょうか。
一般社団法人日本エレベーター協会はホームページで、エスカレーターを安全、快適に利用する上で気を付けることについて、場面に応じた対応を紹介しています。その中から、事故事例に沿った注意点を紹介します。
【①手すりに必ずつかまる】エスカレーターを利用している時に、バランスを崩したり、停電による急停止などで不意の反動を受けたりすることがあります。転倒・転落などの事故を防ぐためにも手すりに必ずつかまるようにしてください。
【②必ず黄色い線の内側に立つ】ステップの黄色い部分は、エスカレーターの仕組み上、他の構造物と複雑にかみ合う場所です。靴やサンダル、衣類の裾などが挟み込まれる可能性があります。
【③すり抜けは危険】すり抜ける際に、他の利用者や荷物などと接触してしまうと、思わぬ事故を引き起こすことにつながります。
【④乗り口、降り口付近で立ち止まらない】他の利用者の迷惑になるだけでなく、利用者との接触が原因で思わぬ事故につながることも。安全のために、乗り口、降り口付近は広く空けておくことが大切です。
また、エスカレーターは、ステップ上に立ち止まって利用することを前提とした上で、消費者庁は以下のような注意を促しています。
エスカレーター上の歩行は、バランスを崩して転倒する原因になるだけではなく、すり抜けざまに他の利用者と接触するなどして、事故につながる恐れもあります。子どもや高齢者、体の不自由な人などさまざまな人が利用していることを認識し、歩行するのは避けましょう。歩行する人のために片側を空ける習慣がありますが、けがなどでどちらか片方の手すりにしかつかまることのできない人への配慮も必要です。
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日頃なじみがあって、ルールを覚えているようなものでも、屋内で過ごす時間が長いと忘れてしまっていることも多いと思います。外出先で思わぬけがや事故に遭わないために、安全にエスカレーターを利用しましょう。
公明新聞より転載