8050問題 厚労省、実態把握へ 生活困窮者の孤立防止で調査
厚生労働省は、高齢化した親が、ひきこもりの中高年の子どもを支える家庭で、生活困窮と介護が同時に生じる「8050問題」について、自治体の生活困窮支援窓口に相談があった人を中心に実態調査に乗り出す。地域を絞り抽出方式で行う方針で、社会的な孤立を防ぐ施策立案の基礎資料として活用していく考えだ。
近年、ひきこもり状態にある人の高齢化や、地域からの孤立の長期化が問題視されている。内閣府が2019年に公表した調査では、40~64歳で、ひきこもり状態にある人は61万3000人と推計されている。ただ、こうした問題は家族の外からは見えにくく、これまで正確な実態は明らかになっていなかった。
このため厚労省は、実態把握を急ぎ、生活困窮者が社会とのつながりをどう回復し、国や自治体はどう支援していくかといった課題への対応に反映させることにした。
調査は公募で選んだ複数の民間会社に委託して実施。全都道府県を網羅した調査ではなく、地域ごとに対象を抽出する形になる見通しだ。窓口に寄せられた相談内容を精査したり、対応する自治体の職員から聞き取りを行ったりして、支援のあり方を探る。結果は厚労省の検討会などに報告し、議論の素材にしてもらうことを想定している。
8050問題を巡っては、先の通常国会で社会福祉法等改正法が成立。介護や生活困窮問題など住民の複合的な行政相談について包括的に対応する「断らない相談支援体制」を各市町村に構築することが盛り込まれた。介護や障がい、子育て支援、生活困窮など分野ごとに縦割りとなっていた補助金の一括交付もできるようになる見込みだ。
公明新聞2020/06/25 2面転載