公明党広報
動き出す就職氷河期世代への支援
政府は、バブル崩壊後の不況期で就職難だった「就職氷河期世代」の就労支援を本格化させます。同世代の現状と、国の支援策をまとめました。
就職氷河期世代とは、バブル崩壊による不景気で就職が厳しかった1990年代半ばから2000年代初頭に高校・大学などを卒業した世代です。1991年に2・86倍だった大卒の求人倍率は0・99倍まで急落し、未就職や非正規雇用になる人が増えました。
2018年時点で35歳から44歳の人は約1689万人。アルバイトなどの非正規社員は約371万人、このうち不本意ながら非正規で働く人は約50万人に達します。他世代と比べ、給与にも差が生じています。大学・大学院卒業者の10年から15年までの現金給与の推移を年齢別で見ると、同世代に当たる年齢の区分はマイナスです。バブル期に就職した人が多く、昇給がなかったとの指摘があります。
就労環境が改善していない実情を重くみて、政府は支援を本格化させています。「経済財政運営と改革の基本方針2019」(骨太の方針)では今後3年間で、同世代の正規雇用者を30万人増やす目標を掲げました。今年度補正予算案と来年度予算案で、ハローワークへの専門窓口の設置や企業への助成金の拡充など施策を前に進める方針です。
公明党はこれまで、就職難の若者の支援につなげるため実態調査を実施したほか、「ジョブカフェ」の設置も進めました。2月には党「就職氷河期世代」支援検討委員会を設置。5月には政府に提言を行い、同世代への支援強化を訴えてきました。
春日町会防犯部
出生数90万人割れ/結婚・出産の希望かなう社会に
わが国の深刻な少子化の実態を真摯に受け止め、あらゆる対策を一段と加速させていかねばならない。
厚生労働省が24日に公表した人口動態統計の年間推計で、2019年生まれの子どもの数(出生数)が86万4000人となり、1899年の統計開始以来、初めて90万人を割り込む見通しであることが明らかとなった。
国立社会保障・人口問題研究所による「日本の将来推計人口」(17年推計)では、出生数が86万人台になるのは21年(86万9000人)だったが、少子化は想定以上のスピードで進んでいる。
第2次ベビーブーム(1971〜74年)の世代は大半が40歳代後半となり、子どもを産む世代の人口は今後さらに減っていく。結婚や出産に対する考え方や家族観も多様化しており、少子化の傾向が長期にわたって続くことは避けられないだろう。
ただ、希望しても結婚や出産を諦めざるを得ないといったケースが依然として残っている。この点、政治に求められる役割は大きい。
若い人が結婚に踏み切れない理由は、経済的な事情が少なくない。賃上げの継続に加え、非正規雇用の正社員化や「同一労働同一賃金」をはじめとした待遇改善を着実に進めるべきだ。
また、結婚資金や住居など、結婚に伴う新生活を始める際の経済的な負担を減らす支援策も必要ではないか。
一方、希望する数の子どもを持たない理由は「子育てや教育にお金がかかりすぎる」ことが最も多い。
10月から幼児教育・保育の無償化が始まり、来年4月からは私立高校授業料の実質無償化、大学など高等教育の一部無償化がスタートするが、さらなる拡充が欠かせない。
子育て支援では金銭面だけでなく、女性の心理的な負担を減らす取り組みも大切だ。仕事と子育ての両立支援や、男性の育児休業取得の促進のほか、産後ケアの充実など母親のサポート体制の強化にも力を入れていきたい。
少子化対策は、効果が表れるまでに長い時間がかかる。政府は新たな対策の大綱を今年度内に策定する予定だが、長期的な展望に立って具体策を練り上げてもらいたい。
2019年12月27日 公明新聞2面転載
食品ロス削減/商慣習の見直しが欠かせない
食品ロス削減を一層進めるため、業界の慣習を抜本的に見直し、廃棄量を削減することが求められる。
公明党食品ロス削減推進プロジェクトチームは先週、政府が今年度内の策定をめざす食品ロス削減推進の基本方針に関して、衛藤晟一消費者担当相宛ての申し入れ書を提出した。
公明党の力強いリードで10月に施行された食品ロス削減推進法は、政府に基本方針の策定を義務付け、これを踏まえて自治体が削減推進計画をつくる。
食品ロスの削減は、社会全体の取り組みが必要だ。基本方針の中に国、地方自治体、事業者、消費者の取り組むべき方向性や具体策を盛り込むことによって、同法の実効性は一段と高まる。
このうち事業者の課題として指摘されているのが、製造から賞味期限までの期間の3分の1を過ぎると、メーカーや卸業者が小売店に納品できない「3分の1ルール」と呼ばれる日本の商慣習だ。賞味期限切れの商品が店頭に並ぶのを避けるために始まったとされる。
申し入れでは、こうした商慣習の緩和と見直しを訴えている。一部のスーパーやコンビニなどではすでに見直しが広がりつつあり、政府の後押しで業界全体に定着させてほしい。
消費期限の迫った商品については、廃棄した方が利益が増すという事業者の声を聞くが、それでは食品ロスにはつながらない。商品の値引きや購入者へのポイント付与によって利益が増える仕組みづくりを進めるべきだ。
また、情報通信技術(ICT)によって、売れ残りそうな弁当や惣菜などの情報を事業者が消費者に提供するサービスが散見される。消費期限の迫った商品の値引き情報を、事前に登録した顧客にスマートフォンなどで伝え、廃棄の削減につなげている事業者もある。
ICTの活用は、売れ残りを少なくするための発注を実現し、食品ロスに大きく寄与する。普及に向けた支援を強化してもらいたい。
消費者の意識改革も欠かせない。賞味期限や消費期限などに関する啓発活動の推進も引き続き大切だ。 2019年12月25日 公明新聞2面転載