夏休み明け/子どものSOS見逃さぬように
子どものSOSを見逃さず救いの手を差し伸べたい。
今週から来週にかけて、多くの学校で夏休みが終わり、2学期が始まる。ここで目配りを怠ってならないのは子どもの様子の変化だ。18歳以下の自殺が1年間で最も多いのが9月1日という内閣府の調査もあるように、新学期をスムーズに迎えられない状態にある子どもは少なくない。
「勉強がしんどい」「いじめが怖い」「先生に会いたくない」「宿題が終わらない」……。新学期が近づくにつれてストレスをため込み、学校に行くのがつらくなり、ついには自らを追い詰めて取り返しのつかない事態を招いてしまうことさえある。
NPO法人全国不登校新聞社の石井志昂編集長は、21日付本紙で「子どもが軽い感じで『休み明けがつらい』と話したとしても、相当、深刻な状況だと考えるべきだ」と指摘する。
親や周囲の大人たちは、わずかなサインも見逃さぬよう心掛け、子どもの不安や悩みを受け止める姿勢を忘れてはなるまい。
また、身近な人には言えないような悩みを相談できる窓口の存在を子どもに伝えることも大切だ。
例えば、文部科学省が開設している「24時間子供SOSダイヤル」(0120・0・78310)は、子どもや保護者がいつでも相談できるよう、休日を含めて対応している。
法務省の「子どもの人権110番」(0120・007・110)は今月29日から来月4日まで、平日の受付時間を延長し、午前8時30分から午後7時まで、土曜・日曜は午前10時から午後5時まで相談を受け付けている。
なかには、対面や電話が苦手という子どもがいる。
そこで政府は、民間団体と連携し、LINEやツイッターなどSNSを活用した相談事業を始めた。2018年度の相談件数は、延べ約2万3000件に上り、未成年は44%を占めた。民間団体は「10代、20代からの相談が電話と比べて格段に増えた」と強調している。
SNSを相談の入り口に、地域の保健、医療、福祉などの関係機関や専門家の支援につなげる仕組みを充実させることも必要だ。