参院「議員歳費」を削減/自公が改正法案了承/定数増受け 月7.7万円、来夏から3年間
■山口代表 野党と合意形成に努力
公明党政務調査会(石田祝稔会長)は27日、衆院第2議員会館で部会長会議を開き、来夏の参院選から参院の定数が増えることを踏まえ、参院議員の歳費を削減するための国会議員歳費法(国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律)改正案(議員立法)を了承した。同改正案は、同日行われた自民党総務会でも了承された。
この改正案は、来夏の参院選で当選した議員の任期が始まる日から3年間を特例期間として、参院議員1人当たりの歳費を月7万7000円削減する内容。自民、公明の与党両党は野党の理解を得て今国会での成立をめざす。
参院議員の歳費削減は、参院の経費節減に向け、先の通常国会で成立した公職選挙法改正案の採決の際、公明党が提案し、自民党などの賛成を得て議決された付帯決議を踏まえたもの。自民党と参院の経費節減に向けた具体策を検討する中、公明党は参院全体の予算の中で最大経費であり、国民にとって分かりやすい参院議員の歳費削減を提案していた。
参院議員歳費の削減の法改正について、公明党の山口那津男代表は27日の記者会見で、「定数が増えた分、参院の経費が増えるのでは国民の納得を得られない。野党の理解もいただいて、最終的に合意形成を果たしたい」と力説した。
衆院議員と参院議員の歳費に差が生じることに関して山口代表は、「今回の法改正が一時的、臨時的で参院の特殊な事情によるものであることから、議員歳費を規定した憲法に抵触せず、衆院の歳費に影響を及ぼすとは考えていない」との考えを示した。その上で、今後の参院選挙制度改革については、「来夏の参院選から3年以内の抜本改革をめざして合意をつくりたい」と強調した。
2018年11月28日 公明新聞1面転載
ブラックアウトの防止へ/政府の電力インフラ災害対策案
北海道胆振東部地震などで大規模な停電が相次いだことを踏まえ、経済産業省は今月、電力会社の管内全域が停電する「ブラックアウト」の防止策をはじめとする中間取りまとめ案を公表した。月末までに政府が策定する重要インフラの防災・減災対策に反映される予定だ。同案のポイントを解説する。
■(相次ぐ大規模停電)地震、豪雨への備え急務/復旧期間の短縮も課題に
今年も地震や豪雨など大規模災害が日本列島を相次いで襲った。とりわけ、9月に発生した北海道胆振東部地震は、ブラックアウトという前代未聞の事態を引き起こし、停電世帯は約295万戸に上った。
ブラックアウトから約50時間後には、ほぼ全ての世帯で復旧した。だが、ブラックアウトの主な原因は、道内発電量の大半を担っていた苫東厚真発電所が被災し、電力の需給バランスが崩れたことによるものであり、道内の電力インフラの脆弱性が大きな課題として残った。
豪雨災害による停電被害も続出した。西日本を中心に甚大な被害をもたらした7月の豪雨では、8万戸で停電が発生。
さらに、9月に日本に上陸した台風21号は約240万戸(関西電力管内では約170万戸)、同月末の台風24号は約180万戸(中部電力管内では約100万戸)もの停電を発生させた。両管内共に風水害における停電としては、平成最大級の戸数を記録。完全な復旧までに1週間以上を要した。
■(経産省が方針発表)電力融通など連携を強化/地域の再エネ活用へ検討
経産省の中間取りまとめ案ではまず、北海道でのブラックアウトを踏まえ、他の地域も含めて大規模かつ広範囲な停電が起こるリスクはないかを検証した結果について言及。対策を打てば、主力の発電所が停止しても電力の融通などで対応できることから、「ブラックアウトには至らない」ことが確認されたと報告した。
その上で、今後の方針として、(1)北海道におけるブラックアウトの再発防止策(2)速やかに取り組むべき「緊急対策」(3)スピード感を持って検討を進め来春までに一定の結論を求める「中期対策」――の三つの角度から具体案を示した。
ブラックアウトの防止策としては、北海道と本州をつなぐ送電ケーブル「北本連系線」の増強について明記。現在進めている60万キロワットを90万キロワットまで増やす工事を着実に完了させるとともに、その後のさらなる増強についても検討に着手し、来春までに具体化を図るべきとした。
二つ目の緊急対策では、停電の早期復旧に向け、電力会社間の連携強化の重要性を強調。被災した電力会社は資機材や人材の応援を他の電力会社に要請することができるが、さらなる迅速化を図るため、要請を待たずに電力会社が自発的に電源車などを派遣できるよう連携体制の整備を求めた。
三つ目の中期的な対応としては、ブラックアウトの危険性を定期的に検証していく体制の構築を提言。地域をまたいで電力を融通しやすいよう全国的な連系線の増強・拡大策についても検討するとした。
災害に強い再生可能エネルギー(再エネ)の導入を促進する観点からは、災害時に蓄電池などと組み合わせて地域の再エネを活用するモデル事業を検討する。家庭用の太陽光発電については、停電時でも電気を使える「自立運転機能」の周知徹底を訴えた。
また、電力会社が災害復旧の作業を速やかに行えるよう、各電力会社の送配電設備を統一することを強調した。設備の仕様や規格、素材などが電力会社によって異なり、復旧作業の妨げとなるケースもあったからだ。
さらに、火力発電所の耐震性についても法令で基準を明確にして強化を促すとしている。
■公明 政府に具体策を提言
災害時の停電対策を巡って公明党は、今臨時国会の衆参代表質問で、山口那津男代表と斉藤鉄夫幹事長が、それぞれ北海道でのブラックアウトによる影響に触れながら対策の重要性を訴えた。
また、公明党「平成30年北海道胆振東部地震」対策本部は、9月に政府に申し入れた緊急要請の中で、電力会社における早期復旧体制の確立を要望。台風21号による被害に関しても、党災害対策本部と関西方面本部が10月、人工呼吸器などの医療機器を必要とする患者らの安全確保をはじめ、対策を急ぐよう政府に強く求めた。2018年11月27日 公明新聞3面転載
練馬春日郵便局前に
いい風呂の日
秋の一斉清掃
軽減税率 ここがポイント
消費税率引き上げに伴う所得の低い人への対策として、「給付つき税額控除」を主張する野党議員がいますが、今の日本では公平・公正な運用が極めて難しく、実現は困難です。
同制度は、低所得者のうち納税者には減税し、減税しきれない人や課税最低限以下の人には現金を給付する制度です。導入には全ての国民の所得や資産を正確に把握する必要があります。しかし、所得把握などのために始まったマイナンバー制度も、定着にはまだまだ時間がかかり、現時点で給付つき税額控除の導入はできません。
加えて、減税や給付措置は、申請を経て後日になるため、買い物をする際の負担も軽減されません。国民に負担と手間を掛けた揚げ句、税務署や役所は対応に追われ、混乱は必至です。申告漏れの対応なども問題となります。
そもそも旧民主党政権時代には、同党出身の閣僚が「国税当局だけでやるのは非常に難しい」(財務相)、「実務上いろいろ課題が当然出てくる」(総務相)と同制度の導入は非現実的だと認めていました。
給付つき税額控除は、まさに“絵に描いた餅”と言わざるを得ません。
高松マルシェ
タクシー/料金見直しの取り組みに注目
ドア・ツー・ドアで移動でき、24時間の対応が可能なタクシー。その利用料金の見直しに向けた取り組みに注目したい。
国土交通省とタクシー事業者は現在、東京都内で一律410円の迎車料金を変動制にする実証実験を実施中だ。
新たな仕組みは、利用客が少ない時期や時間帯の迎車料金を無料にするというもの。利用者の負担は大きく軽減されることになる。
一方で繁忙期や混雑する時間帯は、410円を超えることも含めて段階的な料金設定を試している。宿泊施設や旅客機などは需要に応じて利用料金を変動させているが、タクシー業界では初めてだ。
実証実験では、料金が安くなることで利用する人や、高くても利用するという人がどれだけいるかを検証する。
大手タクシー事業者の調査によれば、都内の1時間当たりの平均空車時間は、午後4時台が最も長く21・2分、次いで午前11時台が18・1分となっている。迎車料金の見直しにより空車時間を減らすことができれば、事業者の収入増にもつながろう。
このほかにも国交省は、北海道や関東、九州などの事業者と共に、高齢者らが割安にタクシーを利用できる定額運賃の実証実験を行っている。
これは、運転免許を返納した高齢者の通院や共働き世帯の子どもの塾通いの際、通常より割安の定額運賃を設定する。事業者がそれぞれ定めた区域や回数などの範囲内で一定期間乗り放題となる。
国交省は二つの実証実験の検証を踏まえ、新たな料金制度の方向性を示す予定だ。
タクシーは他の公共交通に比べ割高感があるため、利用者数は減少傾向にあり、この10年で3割も落ち込んでいる。一般のドライバーが自家用車で他人を有料運送する「ライドシェア(相乗り)」も一部地域で始まっており、タクシー業界を取り巻く環境は厳しさを増すばかりだ。
ただ、国交省の調査によると高齢者の外出率は増えていることから、高齢社会における移動手段としてタクシーの潜在力は高いとみられる。
この点からも実証実験の意義は大きく、利用者と事業者の双方にとってメリットがある仕組みを探ってほしい。 2018年11月21日 公明新聞2面転載
生活守る万全の対応を/消費税率引き上げで公明が政府に提言
来年10月の消費税率10%への引き上げによる景気・経済の変動を抑え、国民生活を守るため、公明党の「消費税率引き上げに伴う影響緩和の検討対策本部」(本部長=石田祝稔政務調査会長)は16日、菅義偉官房長官に万全な対応を求める提言を行いました。同対策本部の西田実仁事務局長に提言のポイントを聞きました。
■(影響緩和策の骨子)
◆軽減税率の円滑な実施
◆需要の平準化対策
・プレミアム付き商品券の発行
・住宅・自動車の購入支援
・中小小売業、商店街の活性化
◆価格表示方式の特例
◆下請け企業の転嫁対策
――提言のポイントは。
西田実仁事務局長 一つは、税率引き上げと同時に、酒類・外食を除く食料品などの税率を8%に据え置く「軽減税率」の確実な実施です。軽減税率は、所得の低い人ほど消費税の負担率が重くなる逆進性を和らげ、毎日の買い物のたびに消費者が痛税感の緩和を実感できる制度です。
軽減税率の円滑な実施には、全ての事業者が必要な準備を完了させておくことが欠かせません。このため、万全な体制が整うように、複数税率対応レジの設置や受発注システムの改修を支援する「軽減税率対策補助金」の一層の活用促進と十分な予算の確保、相談窓口の拡充などを政府に求めました。
――税率引き上げ時前後における需要の平準化対策については。
西田 公明党は、所得の低い人を中心に、軽減税率の対象とならない生活必需品の購入支援策として、購入額よりも割り増しで買い物ができる「プレミアム付き商品券」の実施を強く求めました。商品券は、必要な人に支援が行き届くよう、生活保護世帯を除く住民税非課税世帯と、0歳から2歳の子を持つ子育て世帯に限定しています。また、使い勝手を良くするため、額面を小口に設定できるよう提案も行いました。
■予算、税制に反映へ全力
――そのほかには。
西田 高額な住宅や自動車の購入支援策は、駆け込み需要や消費の反動減などの景気・経済の変動を抑制する観点から極めて重要です。
公明党は、税率引き上げ後に住宅を購入・リフォームする人に、商品などと交換できるポイントを付与する「住宅エコ・耐震ポイント(仮称)」制度の創設を提言しました。申請期限内の全ての対象者を支援できるような十分な予算確保を求めています。住宅ローン減税の控除期間や、すまい給付金の延長・拡充をはじめ、贈与税の非課税枠の拡充なども提案しています。
自動車購入については、取得・保有に関する税負担の軽減や補助金など予算上の措置を主張しました。
このほかにも、キャッシュレス決済によるポイント還元実施に伴う中小小売業、商店街の活性化をはじめ、税抜き価格表示の特例期間の延長・恒久化の検討、下請け企業の転嫁対策の強化などを提言しています。
――政府の受け止めは。
西田 提言に対し、菅官房長官は「しっかり検討していく」と答えました。これから年末にかけて、来年度の予算編成や税制改正に向けた議論が、政府・与党で本格化します。公明党として提言に盛り込んだ対策をしっかりと主張し、確実に実現できるよう、全力を挙げていく決意です。2018年11月21日 公明新聞1面転載