写真甲子園 0.5秒の夏
衆院予算委員会での公明党の質疑(要旨)
27日の衆院予算委員会で、公明党の石田祝稔政務調査会長と竹内譲氏が行った質疑(要旨)は次の通り。
【石田祝稔氏】 今年は日中国交正常化45周年、来年は日中平和友好条約締結40周年を迎える。日本と中国の関係にとって、重要な節目にある。
また、公明党の山口那津男代表が訪韓し、文在寅大統領と会談した際、文大統領は、日本で開催予定の日中韓サミット(首脳会談)への出席に意欲を示した。
日中、日韓関係の一層の関係改善に向けた首相の決意を聞きたい。
【安倍晋三首相】 ベトナムで開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議では習近平国家主席と、フィリピンで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議では李克強首相とそれぞれ会談を行った。日中関係のさらなる発展に向けた良いスタートになったと考えている。
日中韓首脳サミットの開催を実現した後、李首相の訪日、私の訪中、習国家主席の訪日を実現したい。
韓国は、戦略的利益を共有する最も重要な隣国であり、特に北朝鮮問題への対応では、日韓米の緊密な連携が重要である。
日韓両国の間に存在する困難な問題を適切に解決しつつ、未来志向の関係を発展させていきたい。
【石田】 (森友学園の国有地売却に関する問題で)今月22日に公表された会計検査院の検査報告を読んだが、(値引き額の算定方法などについて十分な根拠を)確認できないという言葉がすごく出てきた。行政が何をしたのかを振り返るには、記憶か記録に頼るかしかない。記憶は曖昧な部分があるので、記録を残すことが大事だが、今後の対応を聞きたい。
【麻生太郎財務相】 売却価格の客観性を確保するために、特殊な議案については第三者による算定や確認を行う。そして、適切かつ十分な文書管理の徹底を図るという方針で、今後見直しを行いたい。
【石田】 こうしたことがあれば、公権力の行使とは何なのかと言われかねない。
【首相】 公文書管理に対する国民の信頼をより一層高いものにするように、行政文書の作成・保存に関する基準の明文化、文書の正確性確保などを内容とする行政文書の管理に関するガイドラインの改正を年内に行うこととしている。また、各府省職員向けの研修の充実などを図る。こうした取り組みを行う中で、制度の見直しの必要があれば、法改正も含めて検討したいと思う。
【石田】 米国を除く環太平洋連携協定(TPP11)が大筋合意に至り、日本も署名と早期発効に向けた取り組みを加速していく。
TPP11の発効による日本の農林水産業への影響に万全な対策を期すべきだ。
さらに、7月に大枠合意に達した日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)では、TPPで議題になっていないソフトチーズや住宅の柱に使われる構造用集成材などの欧州産の輸入が増大し、日本の農林水産業に携わる人たちが厳しい競争にさらされることになるとの懸念がある。
日本の農林水産業の体質強化と経営安定という観点から、補正予算で国内の生産者を守る万全な体制を整え、不安を払拭すべきではないか。
【斎藤健農林水産相】 気持ちはまったく一緒だ。全力を尽くして、補正予算と2018年度当初予算に臨みたい。
【石田】 コメ政策について伺う。(国の生産調整の廃止に伴い)18年産からコメの直接支払交付金、10アール当たり7500円がなくなることが心配されている。今まで国が生産調整に関与して(主食用米の生産数量目標の)配分を決めていたが、今後はどう関与していくのか。
【斎藤農水相】 国としても産地と中食・外食事業者などとの安定取引に向けたマッチングの取り組みへの支援、あるいは全国の需給見通しなどの情報提供を通じて(農家に需要に応じた生産を促す)民間の全国組織への支援ができるのではないかと考えている。
【石田】 消費税率10%への引き上げによる財源の使い道を一部変えて、教育に力を入れる理由は。
【首相】 人は教育を受けることで初めて可能性が開花する。同時に、日本の人口が減少する中で、全ての子どもたちが可能性を開花できる社会にしなければ日本として立ちゆかなくなる。どんなに貧しい家庭に育っても、専修学校や大学に行ける日本にしていく。
【石田】 幼児教育の無償化に関して「認可外保育所が無償化の対象になる、ならない」という議論が衆院選後に出てきたが、どうなっているのか。
【茂木敏充経済再生相】 全ての子どもたちについて、幼稚園、保育所を無償化することは、国民との約束なので守りたい。無償化の対象範囲に認可外施設が入らないという議論をしたことはない。公明党からの提言も踏まえ、今後、専門家の声を反映する検討の場を設け、来年の夏までに結論を出したい。
【石田】 高校進学率は98.7%に上るが、就学支援金で実質無償化されている公立と、私立との授業料の差は非常に大きく、応援が必要だ。公明党は年収590万円未満の家庭を対象とする私立高校授業料の実質無償化を衆院選で訴えた。私立高校に行かざるを得ない生徒の家庭は、お金持ちばかりではないので、ぜひやってもらいたい。
【首相】 私立高校授業料の無償化は、衆院選前に行われた党首討論で、公明党の山口那津男代表から申し入れがあった。公明党からは提言も頂いている。今後、しっかり取り組んでいく。
【竹内譲氏】 森友学園に対する国有地売却などに関する会計検査の結果について、国土交通相は、地下埋設物の処理費用算定額として約8億2000万円という数字は適正であったと考えるか。
【石井啓一国土交通相】 撤去処分費用を算定する際に必要とされる慎重な調査検討を欠いていたことなどについて指摘されており、国交省として結果について重く受け止めなければならないと考えている。
【竹内】 森友学園側との売買契約書において、国側の責任が一切免除される特約を結んだ事情があり、一定の考慮が必要だったのではないかと思うが、今後どのように改善策を講じていくか。
【石井国交相】 第1に、見積もり業務に必要な作業時間をしっかり確保する。第2に、見積もりにかかる手続きなどの明確化を図る。第3に、行政文書のより適切な管理を図る。こうした取り組みを通じて、より丁寧な事務の遂行に努めていきたい。
【竹内】 地方は小規模大学が大変多い。地方大学の活性化は国立だけでは不十分で、小規模の私立大学にも目を向ける必要がある。小規模大学では、コンパクトでユニークな教育を実践している大学も多く、少人数だからこそ目が行き届き、特色ある教育が展開できるメリットもある。他方で、経営面では苦しいことも事実だ。入学検定料や授業料収入が少なく、広報宣伝に費用がかけられない。
地域の若者の就業機会確保や就業促進のため、地方公共団体や企業と連携しながら、地域に貢献する大学を支援していくべきだ。その際、地方国立大学だけでなく、中小の私立大学も含め地方創生のために優れた授業を行う大学に新たな交付金を創設してはどうか。
特色ある教育内容を提供する小規模大学には、情報通信技術(ICT)を活用した国内外の著名な講師による共同講義、最新の財務システムの共同利用、教育行政に意見を述べる場の確保などの支援策が必要だ。
【首相】 地方国立大学や中小の私立大学も含め、産学官の連携による地方創生の優れた取り組みを支援する新たな交付金の創設を検討し、地域経済を活性化していきたい。
【竹内】 地域の高齢化が猛スピードで進展し、医療や介護、障がい者福祉などの充実が切実な問題になっている。(現役世代の)親の世代の医療や介護などを社会で支え合うことは、働き方改革や女性活躍の前提だ。地域の医療、介護、福祉を充実するための財源確保が重要であり、財政再建のために、簡単に、一律にこれらを切り捨てていくことのないよう、今後の予算編成などに臨まなければならない。
【首相】 医療、介護、住まい、生活支援サービスなどが住み慣れた地域で切れ目なく確保される地域包括ケアシステムの構築や、介護、障がい者福祉といった制度の縦割りを超えた地域の生活支援サービスの推進に取り組む。社会保障の持続可能性の確保と財政健全化の同時達成も重要な課題だ。限りある財源の中で適正化、効率化するべきことは実施するとともに、必要なサービスはしっかりと確保できるようにする。
公明新聞:2017年11月28日(火)付転載
紅葉
コントレール
少子化克服へ投資
人口減少、少子高齢化の克服へ―。公明党の人生100年時代構想本部(本部長=石田祝稔政務調査会長)と党経済再生調査会(会長=上田勇同代理)は24日、首相官邸で安倍晋三首相に対し、政府が年内にまとめる新たな政策パッケージなどに対する提言をそれぞれ提出した。構想本部は「人づくり」への投資として、0~5歳児の幼児教育や私立高校の無償化などを要請。経済再生調査会は「生産性革命」に向けて、中小企業・小規模事業者の事業承継税制の抜本的拡充などを求めた。両提言に安倍首相は「鋭意検討する」と応じた。
構想本部の提言は、(1)「子育て・教育にかかる費用負担の軽減」(2)「いつでも学び直しができる環境整備」(3)「全世代型の社会保障への転換」―の3分野から成る。
席上、石田本部長は、政府が教育費負担の軽減などを含む経済政策パッケージの財源の一部として産業界に3000億円程度の拠出を求めていることに関して「中小企業に配慮を」と力説した。年収590万円未満世帯を対象とする私立高校授業料の実質無償化の実現に向けては「特段の配慮を」と要請。安倍首相は「今、一生懸命考えている」と応じた。
提言のうち、「子育て・教育負担軽減」では、幼児教育無償化について「就学前における全ての子ども」を対象に「質を確保しつつ、着実に進める」と明記。3~5歳児は「障がいサービスや認可外保育施設、預かり保育を利用する子どもを含む」、0~2歳児は「保育の受け皿を整備し、待機児童を解消するとともに、無償化を実施する」とした。
待機児童解消を進める「子育て安心プラン」や「放課後子ども総合プラン」の前倒しのほか、多子・中所得世帯にも配慮した大学進学支援策、高校生等奨学給付金の拡充なども要請。
「学び直し」では職業訓練やリカレント教育の充実、「全世代型社会保障の転換」では社会的孤立を防ぐ取り組みなどを求めた。
経済再生調査会の提言では、経済の好循環実現へ向け、国内企業の99.7%を占め、地域の経済と雇用を支える中小企業での生産性革命が不可欠と強調した。
特に、経営者の高齢化が進む中小企業の事業承継の支援強化を求め、相続税や贈与税の納税猶予に必要な雇用確保要件の緩和などを訴えた。革新的なサービス開発に取り組む企業に対する「ものづくり・サービス補助金」の拡充も主張した。
また、トラック運送業において、荷物の積み降ろしなど運賃と区別されるべき料金を荷主が確実に支払うよう国が定めた新たなルールを周知徹底する必要性があると指摘。建設現場でのドローン(小型無人飛行機)の早期実用化など、情報通信技術(ICT)の導入推進も求めた。
公明新聞:2017年11月25日(土)付転載
公明党の代表質問
少子高齢・人口減少社会に立ち向かい、国民生活を守り抜くとの決意みなぎる質問だった。衆参両院の本会議で各党代表質問が行われ、公明党から山口那津男代表と井上義久幹事長が質問に立った。
自公連立政権がスタートして5年。名目GDP(国内総生産)は50兆円増え、正社員の有効求人倍率は調査開始以来で初めて1倍を超えるなど、政権が最優先課題としてきた経済再生は着実に進んでいる。
これをデフレ脱却と持続的な成長にどうつなげるか。
山口代表は「何より重要なのは、家計所得を増やす、さらなる賃上げ」と強調した。個人消費が今ひとつ勢いを欠くことを踏まえれば、一層の賃上げが不可欠だ。安倍首相も「あらゆる策を総動員する」と応じた。
中小・小規模事業者が直面する課題、とりわけ経営者の高齢化問題を取り上げたことにも注目したい。黒字経営だが後継者が見つからず廃業するケースが増えているからだ。山口代表が求めた事業承継税制の抜本的な拡充が急務であり、株式の贈与税や相続税に関する要件緩和などを強力に進めるべきである。
衆院選で公明党が掲げた教育費負担の軽減については、井上幹事長が、幼児教育の無償化や私立高校授業料の実質無償化、大学生向け給付型奨学金の拡充を提案した。
公明党は、全ての子どもに質の高い教育を受ける機会を保障すべきであると一貫して訴えてきた。少子高齢社会に突入したわが国が、将来も活力を維持し成長を続けるためにも重要な視点だ。
教育無償化に必要な財源は、消費税増税分の使途を見直すことなどで賄われる。しかし同時に、財政健全化の旗を降ろしてはならず、「できるだけ早く健全化への道筋を示すべき」との山口代表の指摘は当然である。
東日本大震災からの復興について、井上幹事長は「東北観光復興」を東北の経済活性化の起爆剤にすべきとの考えを示した。急増する訪日外国人客を呼び込むなど観光を軸にした復興支援である。復興の足かせとなっている「風化」と「風評被害」の二つの風を払拭することにもつながろう。 2017年11月24日 公明新聞2面転載
少年少女大運動会
C型肝炎 救済延長を
特定の血液製剤の投与でC型肝炎ウイルスに感染した被害者に対し、薬害肝炎救済法に基づいて支給される給付金の請求期限が来年1月15日に迫っているが、未請求者が多い現状がある。これを受け、自民、公明の与党両党は今週にも政策責任者会議で、請求期限を5年間延長する同法改正案(議員立法)を了承する方針だ。2008年の同法制定の際に掲げられた「被害者全員の一律救済」に向け、公明党は今国会での同改正案成立に全力を挙げる。
薬害肝炎救済法は、過去に出産や手術での大量出血などの際、肝炎ウイルスに汚染された血液製剤「フィブリノゲン」などを投与され、C型肝炎に感染した被害者などが対象。給付金は、肝硬変・肝がんへの進行や死亡の場合は4000万円、慢性C型肝炎患者には2000万円、未発症の感染者(無症候性キャリア)には1200万円が、それぞれ支払われる。
給付を受けるには、給付金の請求期限までに被害者などが提訴した上で、裁判手続きの中で被害の事実関係が認められなければならない。認められた場合、一定の弁護士費用を国が負担する。しかし、推計1万人超に上る被害者のうち、今年10月末時点で提訴者は累計3174人、裁判を経て給付対象とされた人は2294人にとどまっている。
救済法制定をリードしてきた公明党は、今年2月には薬害肝炎全国原告団・弁護団から請求期限延長の要請を受けたことなどを踏まえ、今月9日の政務調査会部会長会議で期限延長への法案を了承した。
これに先立ち、石田祝稔政調会長は8日の会見で「想定されている方の全てが(給付金の)届け出をしているわけではない。十二分に周知徹底し、受け取ってもらえるようにしなければいけない」と訴えた。公明新聞:2017年11月22日(水)付転載