医療的ケア児/地域全体で育む視点が重要
たんの吸引やチューブによる栄養補給などが日常的に欠かせない「医療的ケア児」は、全国に1万7000人いるとされる。医療の進歩により救われる命が増えたこともあって、この10年で2倍近くになった。今、医療的ケア児とその家族を支える取り組みの拡充が求められている。
とりわけ家族の負担軽減を急ぎたい。
医療的ケア児は、保育所や学校など受け入れ先の確保が難しい。医療的ケアができるのは医師や看護師、家族、一定の研修を受けた教員や介護職員に限られているからだ。
受け入れ先がなければ、保護者は働きに出るどころか、十分な休息を取ることさえも容易ではなく、経済的、精神的に追い詰められてしまうことが少なくない。
公明党の推進もあり、支援策は着実に進んでいる。
例えば、医療的ケア児を受け入れる特別支援学校や公立小中学校に自治体が看護師を配置する場合、国がその費用の3分の1を補助する制度がある。保育所や放課後児童クラブへ看護師などを派遣する厚生労働省のモデル事業は、2018年度予算概算要求で拡充された。
しかし、受け入れ側の理解は進んでいないのが現状だ。
「学校に通わせるため、家族が常に同伴し、授業中もずっと付き添うという念書にサインを求められた」。これは、公明党の国会議員が医療的ケア児を持つ保護者から直接聞いたものだ。同様のケースは他にもあろう。
医療的ケア児とその家族に寄り添った受け入れ先をどう拡大するか。
全国医療的ケア児者支援協議会事務局長で、認定NPO法人フローレンスの駒崎弘樹代表理事は、医療的ケア児の多くが一般の障がい児であることから、「受け入れ先を確保するためにも、医療的ケア児に重症心身障がい児扱いの報酬単価の加算が必要だ」と訴える。これにより、障がい児向けの放課後デイサービスを行う事業所の経営が安定し、医療的ケア児の受け入れ拡大につながるのではないか。
子どもの健全育成という側面からも、医療的ケア児を保育所や学校をはじめ地域全体で育むという視点が重要であることを忘れてはなるまい。
2017年09月19日 2面 主張 転載
敬老の日 人生経験生かせる社会こそ
東日本大震災に伴う東京電力福島第1原発事故で、今なお全町避難が続く福島県大熊町。避難指示解除のメドが依然として見えないこの「無人の町」で、いつか故郷に戻れることを信じて町民の留守を守るお年寄りたちがいる。
その名も「じじい部隊」。交代で現地に駐在し、草刈りや防犯パトロールなどに汗を流す。「若い者と違って俺たちは町を知り尽くしてる。年の功だよ」。誇らしげに語る姿がまぶしく、頼もしい。
じじい部隊に限らず、東北の被災地には、その豊かな人生経験を生かして復興の前線に立つ高齢者が少なくない。
妻と息子夫婦と孫娘を一度に失いながら、「逝った家族の分まで」と消防団活動に汗し続け、今は仮設住宅の役員を務める岩手県釜石市の鈴木堅一さん(74)。宮城県名取市の高橋善夫さん(74)も家族全員に先立たれながら、仮設住宅の自治会長として多忙な日々を送る。語り部活動や地域行事の運営に携わるお年寄りもそこかしこにいる。
復興途上にある被災地にとって、こうした元気なお年寄りの存在は「地域の財産」だ。人生経験に裏打ちされた知恵や言葉に人々は多くを学び、お年寄り自身も社会に貢献する喜びを自覚して自らの心身の健康維持の糧としている。「老い」は社会に厚みをもたらしこそすれ、決して暗いイメージで語るべきものでないことを気付かせてくれる。
総務省によれば、わが国の65歳以上の高齢者人口は15日現在、推計3514万人(総人口に占める割合は27.7%)で過去最高。半世紀前には620万人弱(同6.3%)だったことを思えば、高齢化がいかに急速に進んできたかが分かる。
この現実をどう見るか。
介護などの社会保障費が増すばかりというマイナス志向の考えに終始していては、この超高齢社会を乗り越えることができないことだけは確かだろう。じじい部隊などの事例に学び、高齢者の意欲や能力を生かすプラス志向の発想こそが求められる。
きょうは敬老の日。どうしたら老いに積極的な価値を見いだし、その力を存分に生かせる社会を築けるか。お年寄りに感謝しつつ、家庭や地域で話し合う日としたい。
公明新聞:2017年9月18日(月)付転載
ロハスフェスタ東京
旭町小学校開校60周年
北朝鮮のミサイル発射に断固抗議
平成29年9月15日に、北朝鮮が弾道ミサイルを発射したことは、我が国のみならず東アジア地域全体の平和と安定を損なう行為であり、許しがたい暴挙であることから、練馬区議会は平成29年第三回定例会の本会議において「北朝鮮のミサイル発射に断固抗議する決議」を行いました。
「北朝鮮のミサイル発射に断固抗議する決議
本年9月 15 日午前6時 57 分頃、北朝鮮が日本海に向けて弾道ミサイルを発射
し、北海道上空を通過して、襟裳岬の東約 2,200 キロメートルの太平洋上に着水
したものと推定されている。
我が国をはじめとする国際社会が、北朝鮮に対し再三にわたり強くミサイル発
射の自制を求めてきたにもかかわらず、幾度も発射を強行し、我が国を飛び越え
て太平洋上に着水したことは、我が国のみならず東アジア地域全体の平和と安定
を損なう行為であり、許しがたい暴挙である。
今回のミサイル発射が、弾道ミサイル技術を使用したいかなる発射も行わない
ことを北朝鮮に義務付けた国連安全保障理事会決議や、日朝平壌宣言にも違反す
ることは明らかである。
よって、本区議会は、北朝鮮のミサイル発射に対して厳重に抗議するとともに、
国連安全保障理事会決議に違反する行為を今後行わないよう強く求めることを
ここに表明する。
以上、決議する。
平成 29 年9月 15 日
練馬区議会 」
残念ながら、この決議には3人の区議は反対をしました。
区長へ来年度の予算要望
さい帯血バンク
へその緒と胎盤に含まれるさい帯血が、経営破綻した「民間バンク」から流出し、無届けの再生医療に用いられたとされる事案を受け、厚生労働省は12日、ホームページ(HP)上に「赤ちゃんを出産予定のお母さんへ」と題して、公的バンクと民間バンクの違いなどの説明を掲載した。これは、両バンクに関する説明が不十分なまま、民間バンクと保管委託契約を結んでいるケースがあるとして、公明党が丁寧な説明を要請していたもの。
造血幹細胞移植推進法に基づき国が許可した公的バンクでは、寄付されたさい帯血を国が決めた基準で保存。白血病などでさい帯血移植を必要とする第三者のために提供している。一方、民間バンクは、本人やその親族が将来、病気の治療のために利用する場合に備えて、さい帯血を有料で保管している。
厚労省HPでは、白血病など同省が定めた病気(27疾病)については、公的バンクによるさい帯血の提供体制が確保されており、白血球の型が適合する確率も90%以上であると説明。民間バンクについては、契約に当たって安全性や契約終了時の取り扱いなどを「慎重にご確認ください」と呼び掛けている。
厚労省は同日、日本医師会、日本産婦人科医会に対しても、さい帯血採取時における適正な情報提供について協力を依頼した。
2100人分保管「民間」の実態公表契約切れ
さい帯血の民間バンクが少なくとも7社あり、5社で計約4万5700人分を保管していることが、12日に分かった。このうち約2100人分は意思が確認できないなどの理由で、契約終了後も廃棄されないままになっていた。民間バンクからのさい帯血流出を受け、厚生労働省が実態調査を行い、公表した。
厚労省は同日、業務内容の届け出を求める通知を7社に発出した。届け出内容は同省ホームページに掲載する予定。
同省は今後、民間バンクでのさい帯血保存のあり方や流出防止策などについても、有識者による検討を行うという。
実態調査は、公明党の中野洋昌衆院議員、山本香苗参院議員が衆参厚労委員会で実施を求めていた。同省は7社の活動実態を確認したが、1社は調査を拒み、1社は「引き渡し(仲介)のみ」と回答した。
公明新聞:2017年9月13日(水)付転載
政策実現へ着実に前進/来年度予算概算要求のポイント/公明の主張 反映
財務省は6日、各省庁が提出した2018年度予算概算要求の一般会計総額が、100兆9586億円になったと発表しました。今後、政府の予算編成作業は年末にかけ本格化します。来年度予算概算要求のうち、公明党の主張が反映されたポイントなどを紹介します。
『教育、疾病対策』
『教員の働き方を改革/難病、アレルギー“適切な医療”を全国で』
教育に関して文部科学省は、長時間労働是正など公立小中学校教員の働き方改革に向けて、教員の代わりに部活指導や大会への引率に当たる「部活動指導員」の配置を自治体に促す新しい補助事業を始めます。
さらに、教科配布物の印刷などの事務作業を行う「スクール・サポート・スタッフ」を全国で配置する事業や、校務の効率化を進める「統合型校務支援システム」導入に向けた補助事業も新設することとしました。
公明党の長年の主張で今年度は約2800人の枠で一部先行実施されている給付型奨学金についても、約2万人を対象に本格実施するための費用を計上。
SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を活用した、いじめ相談事業、障がい者の文化芸術活動を促進する事業を新設する方針も明記されました。
一方、疾病対策で厚生労働省は、難病やアレルギー疾患の患者に全国で“適切な医療”を提供する体制を整備するための新規事業を始める方針です。難病対策では各都道府県の拠点病院を中心とした連携体制づくり、アレルギー疾患対策では医師の育成などを担う全国の中心拠点病院の支援を行います。
肝炎対策では、B型・C型肝炎ウイルスが原因の肝がん患者に対する医療費の負担軽減策を創設するとしています。
『中小企業』
『後継者不足の対策強化』
後継者不足に悩む中小・小規模事業者を支援するため、事業承継に集中的に取り組む事業として、新たに16億円を盛り込みました。
現在、中小企業経営者の高齢化が進んでおり、今後5年間で新たに約30万人が70歳に達すると推計されています。高齢経営者の中には、地域経済に重要な役割を果たしながら、後継者不足を理由に「黒字廃業」を検討する人も少なくありません。このため、地域の雇用維持や技術の流出防止の観点から、後継者不足対策を強化。経営者への助言や情報提供、マッチング(引き合わせ)支援をワンストップで行っていきます。
また、中小企業の生産性向上へITなどの積極的な活用を推進。さらに中小企業が必要とする人材の確保に向け、地域からの発掘や定着を後押しします。こうした経費として32億円が計上されています。
下請け取引条件の改善にも引き続き取り組むほか、7月に施行された地域未来投資促進法に基づき、地域経済の中核となる企業への助成も拡充されます。
『復興・防災』
『なりわい再生、住まい確保』
東日本大震災からの復興加速に向けて復興庁は、被災地の産業やなりわい再生に計1015億円を計上し、さらに予算の編成過程で追加要求する考えです。
具体的には、福島県の農林水産業に対する風評被害の払拭に50億円、同県の浜通りに新産業を集積する「福島イノベーション・コースト構想」の関連事業に160億円を要求しました。
熊本地震の生活再建では、国土交通省が災害公営住宅の整備事業や、被災マンションの建て替え支援事業の補助率かさ上げ措置延長を盛り込みました。
一方、南海トラフ巨大地震など、今後起こり得る大規模災害への対策では、公明党が掲げている「防災・減災ニューディール」の考えが反映されました。
文部科学省は、前年度から3倍超となる2477億円を計上し、学校施設の耐震化事業や防災教育を充実させます。内閣府は、大規模災害時の住まい確保に向け、空き家や空き室を借り上げ型の仮設住宅として円滑に供給する方策を進める方針です。
『概算要求とは』
『各省庁が要望額を提出』
予算の概算要求とは、各省庁が来年度に取り組みたい事業に必要なお金を見積もり、予算要望額を財務省に提出することです。
財務省が各省庁にあらかじめ示す予算要求のルール「概算要求基準(シーリング)」に基づき、通常、8月末までに提出されます。シーリングには、国が何を重視して予算配分するのかというメッセージが込められます。18年度は、「人づくり革命」の実現に向けた教育をはじめとする「人への投資」や、地域経済と中小企業の支援などが優先課題推進枠に設定されています。
提出された概算要求は、財務省が各省庁との折衝を重ねて要求額を精査し、政策の優先度に応じて絞り込み、年末には予算案が決定します。その後、政府は予算案を年明けの通常国会に提出し、国会での審議を経て、次の年度が始まる前の3月中の成立をめざします。
2017年09月10日 公明新聞3面転載