全事業で障がい者に配慮/来年度概算要求に向け文科省/公明主導 「差別解消法」受け着手
障害者差別解消法が公明党主導で成立し昨年4月に施行されたことを受けた取り組みの一環として、文部科学省は、今年度に実施する全事業について、障がい者への配慮の観点から、見直しに着手した。8月の2018年度予算概算要求に向け、補助事業で障がい者支援に関するメニューを設けるなど、見直し結果の反映を各部署に促している。
文科省は今年度の全426事業を対象に、障がい者に対する理解の促進につながるか、障がい者が参加しやすいよう配慮されているかを点検。その結果、3割超の145事業で「イベント会場がバリアフリーの施設でなかった」など、障がい者支援の視点が不足していたことが判明。
一方で、281事業では何らかの形で積極的に支援。例えば、国立大学運営費交付金の支給では、障がいのある学生を受け入れるための入学前相談の経費もメニューに入れており、英語教育の強化事業では、小学校の外国語活動用の教材で、文字を拡大したものや点字版を作り、希望する全学校に配布している。文科省は、配慮が不足している事業を中心に、▽補助事業の対象決定に当たり、障がい者の参加しやすさを審査のポイントに加える▽イベント実施時にバリアフリー施設を確保する▽調査事業の報告書の印刷やデータ入力業務を障がい者就労施設に発注する――といった対応を要請。18年度予算でも、こうした点を踏まえて要求することにしている。
公明党は、16年10月の参院文教科学委員会で三浦信祐氏が、障害者差別禁止法の教育現場への徹底とその実効性の調査、検証を行うよう提案するなど、障がい者差別の解消に向け一貫して取り組んでいる。
2017年07月20日 公明新聞2面 転載
“おもてなし”の手段に育てよう
一般住宅の空き部屋を旅行者に有料で貸し出す「民泊」。そのルールを定めた住宅宿泊事業法(民泊新法)が先の通常国会で成立し、早ければ来年の初めにも施行される。
全国に約5万あるとされる民泊物件は、その大半が旅館業法に基づかず違法状態にある。新法の制定により、民泊という新しい宿泊事業に法的根拠を与え、営業基準などを定めたことは、健全な民泊事業の普及を大きく後押しすることになろう。
まして訪日外国人客は年々増加し、受け皿となる宿泊施設の不足は深刻化している。政府がめざす「2020年までに4000万人」の訪日客を受け入れられるかどうかは、民泊事業の成否が大きなカギを握るに違いない。
空き家や空き部屋が課題である地方では、遊休資産の活用と観光振興に効果が期待される。訪日客にとっても、宿泊施設がないために選択肢から外していた地域を訪れるきっかけとなり得る。
注目すべきは、新法論議の契機にもなった近隣住民とのトラブル防止策を明示したことだ。実際、民泊事業は住宅街の一軒家やアパートなどを利用することが多いことから、「夜中まで大勢で騒いでいる」「利用者がゴミ出しのルールを守らない」といった苦情が少なくない。
この点について新法は、事業者に対して民泊施設と分かる標識の掲示や利用者へのマナーの徹底などを義務付けた。義務を怠った事業者は、業務停止命令や事業廃止命令の対象となり、それでも従わない場合は、最大で6カ月以下の懲役か100万円以下の罰金が科される。
ここで改めて確認しておきたいことは、民泊事業は安価な宿泊施設を用意することだけが本来の目的ではないということだ。日本人の日常生活に近い環境を提供することによって、有名観光地や大型宿泊施設などでは味わえない日本の魅力を訪日客に伝える役割を持つ。これは、訪日客が民泊を選ぶ大きな理由の一つでもある。
新法制定を契機に悪質な事業者を排除することは当然として、民泊を新たな“おもてなし”の手段となるように育てていく姿勢を忘れないようにしたい。
公明新聞:2017年7月19日(水)付転載
花火フェスタ開催されます
熱中症になってしまったら
7月17日は何の日
第11回よさこい光が丘
認知症サポーター
認知症になっても安心して暮らせるか不安――。本人や家族にとって切実な問題であり、周囲の手助けなしには立ち行かない人は多い。そこに、地域がどう支援の手を差し伸べられるか。高齢化の進展に伴い認知症の人が増える中、対策が急がれている。
こうした中で政府が、現在約906万人いる「認知症サポーター」を、2020年度末までに1200万人にする目標を決めた点に注目したい。
認知症サポーターは、05年に厚生労働省が創設したボランティア制度で、地域や職場、学校などで養成講座を受講すれば資格を得られる。
認知症サポーターの役割としては▽認知症を正しく理解し偏見を持たない▽近隣の認知症の人や家族にできることから手助けする▽地域の医療や介護、行政など関係機関と協力・連携して応援する体制をつくる――などだ。
認知症サポーターの活動の多くは「見守り」で、いざという時のセーフティーネット(安全網)となる。
静岡県東伊豆町では、町内の認知症高齢者に積極的な声掛けを行ったところ、徘徊による行方不明者を捜索する事態が2年間発生していない。鹿児島県伊佐市では、家族の悩みを聞く会を定期的に実施。「心に余裕ができ、笑顔が出るようになった」との声が寄せられている。
その上で指摘しておきたいのは、認知症サポーターが地域で活躍することは、決して容易ではないという点だ。
実際、900万人を超えるサポーターが誕生しているにもかかわらず、地域にその存在が知られているケースは少ないのではないか。サポーターが活躍できる環境をどう整備するかが課題と言えよう。
積極的な情報提供も重要である。最新の認知症対策など必要な情報をサポーターに周知して支援に役立てていきたい。また、介護や看護の専門職や医療関係者との連携強化を進め、サポーターの相談に応じる必要があろう。
地域によってサポーターの数に格差が生じていることも見過ごしてはならない。人口に占めるサポーター数の割合を見ると、東京都や埼玉県、神奈川県などが低い。こうした地域では、広報や啓発活動の強化を急ぎたい。
2017年07月14日 公明新聞2面転載
今年4月入学生の「給付型奨学金」
公明党の強力な推進で実現した大学生などに対する「給付型奨学金」の2017年度先行実施分について、日本学生支援機構と文部科学省は、申請期間を十分に確保するため、5月下旬で一旦は終了した在籍校(大学など)から機構への推薦期間を8月4日まで延長しています。
申請は、希望者が「在籍校から書類を受け取る→出身高校で学力に関する認定書などを作成→必要書類をそろえて在籍校に提出」という流れ。これを受けて在籍校から機構に推薦するため、書類の提出期限は学校ごとに異なります。
政府は17年度先行実施分として、2800人分の予算を確保していますが、初年度で制度が十分に知られていないこともあり、現在、採用が確定したのは1473人(うち児童養護施設出身者は290人)にとどまっています。
今年4月入学生で「無利子」を借りている人のうち、「給付型」も併せて使えるのに申請していない学生は相当数おり、そうした未申請者には案内を出しています。機構では、「案内が届いていなくても、要件を満たすケースがある。気軽に電話で相談してほしい」と呼び掛けています。
問い合わせは機構の相談窓口(03-6743-6719)まで。
公明新聞:2017年7月13日(木)付転載
改正刑法あす施行
性犯罪を断じて許さない――。
先の通常国会で成立した、性犯罪を厳罰化する改正刑法があす13日、施行される。性犯罪の被害者による切実な訴えが結実したもので、公明党も会期内での早期成立を強力に推進してきた。性犯罪に関する規定の抜本的な見直しは、1907年に現行の刑法が制定されて以来、初めて。
改正法では、強姦罪の名称を「強制性交等罪」に変えた上で、法定刑の下限を懲役3年から5年に引き上げた。男女ともに加害者、被害者になり得ることから性別を問わないようにした。また、被害者の告訴がなくても起訴できる「非親告罪」に改めた。
子どもの保護監督をする親などがその立場を利用し、わいせつ行為に及ぶことを罰する「監護者性交等罪」の規定も新設した。
公明党は、性犯罪の厳罰化と被害者支援の充実に一貫して取り組んできた。2004年には、集団強姦罪の創設などを柱とする改正刑法の成立を推進。その後も、性犯罪の実態に合わなくなっている量刑の見直しなどを求めてきた。
被害者支援の充実では、党女性委員会が発表した「女性の元気応援プラン」や、自民、公明両党によるプロジェクトチームの提言でも、支援拠点となるワンストップ支援センターを全都道府県に1カ所以上整備することなどを政府に要請してきた。
今回の刑法改正では、「被害者に寄り添う法律でなければ意味がない」との姿勢で、被害者や支援団体との意見交換を重ね、特に男性の被害者が声を上げにくい事情なども考慮し、男性や性的マイノリティー(少数者)の被害者からも直接話を聞いてきた。
衆参の法務委員会で採択された付帯決議では、公明党の主張を踏まえ、ワンストップ支援センターの整備促進や、実態把握のための調査、男性や性的マイノリティーへの配慮などが盛り込まれた。
『中京大学法科大学院/柳本祐加子教授』
『110年ぶり改正に意義』
今回、時代にそぐわなくなっていた刑法が、国会や被害者、市民社会が三位一体となって、110年ぶりに改正されたことは大変意義があり、歓迎しています。
特に、強姦罪が強制性交等罪に変わり、被害者の性別を問わないことや、子どもに対する性暴力が刑法上の犯罪とされたことはとても重要です。この改正などを通じて、子どもへの性暴力は、違法であるということを社会全体が共有しなければなりません。
私は、公明党の国会議員を訪ね、被害者団体と共に法改正に関して要望しましたが、被害者の思いをくんで真摯に法改正を推進され、「チーム公明」の力を見た思いがしました。
また、国会質問の中で男性や性的マイノリティーの尊厳に触れたことは、まさにわれわれの意に沿うものです。
公明党には、生命・生活・生存を最大に尊重する政党として、一人一人を大切にする施策の実現にまい進してほしいと思います。2017年07月12日 公明新聞1面転載