東日本大震災2年 風化に抗い、復興加速を
東日本大震災から2年目の朝を迎えた。死者1万5881人、行方不明者2668人(8日現在)。「全閣僚が復興相」(安倍首相)を合言葉に、自公連立政権が誕生して75日。芽吹きの季節へと向かう被災地に、「復興実感」の気運がようやく生まれつつあるようだ。
だが、本格的な復興にはまだまだ程遠いことを強調しないわけにはいかない。
228地区で予定されている集団移転の着工数はわずか2件。2万数千戸の建設が計画されている災害公営住宅も、完成したのはほんの56戸にとどまる。原発事故による福島県の避難者16万人の帰郷の見込みも立っていない。
岩手、宮城の避難者16万人も含め、多くの人たちが今なお、震災直後とそう変わらない、辛く苦しい日々の中にあることに思いを馳せたい。
その意味でも気掛かりなのは、時間とともに進む記憶の風化だ。あの日が過去の出来事として遠ざかるにつれ、被災地外に暮らす私たちの意識から被災地への関心が薄れてはいないか。被災者の心の痛みをわが痛みとする「支え合う精神」が、震災3年目へと向かう今こそ求められる。
(公明新聞:2013年3月11日付抜粋)