令和8年8月7日市民環境委員会での質疑の備忘録
行政における施策の変更形成過程(プロセス)について
【概 要】
令和8年6月1日から新たに分別区分の草木類の収集が開始されました。
これは、奈良市清掃工場の大規模改修による焼却炉が全炉停止することから一般廃棄物の家庭系可燃物の削減が求められるために収集体制が変更になったものです。
可燃ごみのなかで、これまで排出できた「落ち葉・雑草、花壇や家庭菜園等で育てた植物や栽培クズ、観葉植物」が新たに分別区分として草木類に分類されました。また、燃やせないごみが月2回収集されたものが草木類が新たにできたことから月1回とし、燃やせないごみの収集が月1回に減ることとなりました。
こういった中で、市民の暮らしの中で混乱が生じています。
市民からの苦情の一つに、「可燃ごみの日に家庭菜園で発生した野菜ゴミを入れて出したところ収集されず、再度、これは野菜ゴミで有り、生ゴミ。落ち葉雑草の類ではありません。と張り紙し再度出しても収集されなかった。市に確認したが、「家庭菜園ゴミは燃やせるゴミでは回収できない」との回答。今回の変更の案内に関しては月一回の収集の対象は「落ち葉・雑草、せん定枝木」とあり、家庭菜園で発生したものに関しては記載されてない。市は、スーパーで購入したものは燃やせるゴミであり、家庭菜園で発生したものは落ち葉雑草に含まれると。しかし、その区分に関しては全く論理性がなく一般の方に判断するのは無理で、市民として協力はするが今回のように改定するのであればもっとわかりやすく詳細な情報を提供が必要。」とこういった内容でした。
今般の質疑の中で明らかとなったことは、「6月1日から7月末までの間で、草木類の収集に関するお問い合わせは、1,012件で、うち苦情に関することは103件の現状でした。
【論点の整理】
委員会質疑の目的は、家庭系ごみの分別区分の変更、分別分類の変更、収集回収の変更などの収集体制の変更にいて市民の暮らしに混乱を及ぼさない政策決定とは?でありその課題の論点整理です。
また、奈良市市民参画及び協働によるまちづくり条例では、市政に対し市民が主体的に参加し、意思形成にかかわることを保証することを基本原則に規程しています。しかし、現実的には市民暮らしの中で混乱が起きていることから条例規程が遵守されていない政策変更プロセスが行われている可能性があり質して確かめることを目的としました。
【質疑で明らかとなった問題点】
今般の質疑で明らかとなった対立点は、市民参画について奈良市清掃業務審議会で「説明した」ことが市民参画という答弁であった。
また、混乱が起きた要因は「周知」が丁寧に出来ていなかったことという論点でありました。
【考察】
令和8年3月に施策変更が決定され6月から全市的に実施されるという拙速であったため「周知」が丁寧でなかったことは事実で深刻な状態と考えます。
しかし、公共政策として事例をとらえる必要があります。
例えば、今般の施策変更の決定過程について模範的な市民参画プロセスは以下のようにあると考えます。
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宮池の市の政策変更過程(プロセス)における市民参画(モニタリング)
① なぜ、「変更したいのか」を明確にするために客観的かつ論理的に市民に対して説明責任ができるように企画しなければならない。
② 現状の家庭系ごみを徹底的に現状調査(地域別・世帯構成別の排出状況、ごみ出しに困っている高齢者・障害者等の状況)する。
③ 複数の政策案を比較する。例えば、家庭系可燃ごみを減らす場合は、政策効果、市民負担、行政コスト、分別強化、収集回数変更というように、一つの政策ありきにしないこと。
④ 市民・自治会・専門家・事業者を政策形成段階から参画する。「行政が決めて説明するだけ」の施策変更から「模範的」な政策変更へ。検討会議(自治会代表・市民公募・環境審議会委員・廃棄物処理の専門家・収集現場職員・収集委託事業者・高齢者団体・障害者団体・子育て世帯・外国人住民など参画)で協議。今般の事例のように制度設計時で想定した分別方法の変更と、実際の家庭・収集現場で可能な分別方法にはしばしば乖離があることから課題解決を図る。
⑤ パブリックコメントを「最後」ではなく「途中」で実施する。
⑥ 可能な地域で「実証実験」の実施。市全域でいきなり「令和8年6月から生ごみを分別してください」、「草木類を新設し月1回の回収します」、「燃やせないごみは月1回になります」とするのではなくモデル地区を選定して6か月程度実施する。
⑦ 審議会で「協議」する。
⑧ 市民生活に直接影響することから市議会に現状報告し十分に議論する。「行政内部で決定して、議会には結果だけ報告」ではない。
現状 → 課題 → 複数の政策案 → 市民意見 → 実証実験 → 効果検証 → 最終案 → 議会審議 → 決定 という政策変更過程が望ましいのではないか。
⑨ 決定後の周知は「説明」ではなく「支援」という位置づけにする。
HP・ごみ分別アプリ・市民だより・動画で周知、高齢者世帯・外国人・自治会等単位で説明会などの取り組みを実施する。
⑩ 実施後に必ず「政策評価」をする。
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上記のようなプロセスでの市民参画は、「④・⑤・⑥番」です。また、周知については、「⑧・⑨番」です。
このようなプロセスを経ると約1年間費やさなければなりません。今般の政策決定から実施までは3か月しかないことは市民参画(モニタリング)はできていないと捉えるべきでしょう。
また、奈良市清掃業務審議会に「説明した」ことだけでは不十分ということが明らかです。
加えて、「周知」にしては、期間と内容も丁寧さというにはほど遠いものと指摘をしなければならないと考えます。
【今後の取り組み】
条例に規程されているような市民参画が担保されていたならば、このような深刻な問題化になっていなかったと考えます。
今後は、市の施策変更や施策形成過程におけるプロセスの改善を求めてまいりたいと思います。
他の施策変更や形成過程の結果で、市民の暮らしの中でこれ以上の混乱が起きないように取り組んでまいりたいと考えます。
