令和3年3月議会での一般質問で取り上げた「子ども医療費助成に係る現物給付の拡大」について
奈良市のホームページでも広報されていますが、全国及び奈良市においても、なかなか合計特殊出生率の改善が見られず、少子化の歯止めが掛かっていません。
自公政権において、政府が労使の間に立って賃上げの機運を高め、また、最低賃金については、1000円を目標として少しづつでありますが上がっているものの、若者・青年世代など現役の可処分所得が劇的に向上していません。こういった経済的なことは、複数の子どもさんを生むことができ難くなる要因の一つであるとも考えられます。
これまで、私たち公明党は、国・地方全党あげて少子化の克服のため、すべての施策を総動員するべく様々な対策を推進してきました。幼児教育保育の無償化、返済不要の給付型奨学金の創設などによる高等教育の無償化、保育の受け皿の拡大、子ども医療費助成、出産育児一時金の拡充、不妊治療費助成の拡充など、子ども・若者に政策の重点を置きながら取り組みを進めてまいりました。
この政策は、若者世代の負担を軽減し、生きづらさの解消とともに、子どもを産み、育てやすい環境整備にもなります。
我々公明党奈良市議団も、保育の受け皿の拡大やこども園化を推進し、また、荒井奈良県知事や仲川奈良市長に子ども医療費の現物給付化の拡大を要望しながら、少子化の克服を目指して施策の提案を重ねております。
なかでも子ども医療費の現物給付化の現状は、国の政策推進もあり0歳児から6歳就学前までの児童に対して、令和元年8月より現物給付化を実施しています。
しかし、6歳の小学1年生から中学3年生までの学齢期にある子どもが受ける子どもの医療費については、自動償還払いである。
この現物給付化については、そもそも医療費の増大が懸念されるという理由から、これまで行政側としても一歩踏み出せない理由の一つとされてきました。
このように、0歳児から6歳就学前までに止まっている現状から、子どもを、生み、育てやすい環境整備は、私の政策課題の一つでもあることからこの度の個人質問で現物給付の拡大を取り上げた次第です。
質問1
令和元年8月より、0歳児から6歳就学前までの子ども医療費に係る現物給付の取り組みを進めてきた。奈良市の医療費の増加などの現状について、どのように変化しているのか伺う。
子ども未来部長の答弁1
導入前の1年間と導入後の1年間の就学前児童への医療費助成額を比較したところ、制度導入前は約3億6千1百万円であったものが、導入後は13.3%減の約3億1千3百万円となっており、新型コロナウイルス感染症による影響により単純な比較はできませんが、奈良市の医療費負担は減少しています。
質問2
コロナ禍で単純比較はできないものの、場合によっては下がることもあることが確認できた。
中学校3年生までの学齢期に対する子ども医療費の現物給付を拡大することについて、県内市町村の動向を伺う。
子ども未来部長の答弁2
子ども医療費等の現物給付方式の対象年齢の拡大については、県内12市で構成する奈良県福祉医療都市協議会においても協議を重ねている。
また、令和元年度及び令和2年度に、奈良県市長会及び町村会より県に対し、現物給付方式の対象年齢について、県下一律で中学卒業まで拡大するよう、要望書を提出した。
質問3
県内市町村が統一して奈良県に対して現物給付の拡大を要望していることを確認できた。
なかなか奈良県の動きが鈍い現状から、奈良市だけも子ども医療費の現物給付の拡大を行った場合について、その課題について伺う。
子ども未来部長の答弁3
本市が単独で実施するとなれば国民健康保険国庫負担金の減額調整措置が課されるという課題があり、試算では約708万円となっております。
また、本市や国保連合会等の関係機関のシステム改修や医師会等との調整が必要となってまいります。
その他、どのような課題があるか他市の状況等も調査してまいる。
質問4
この質問の最後に仲川市長に伺う。
少子化を克服するために施策を総動員しなければならないことは市長も同じ認識と考える。
子どもさんを、生み、育てやすい環境整備のため、例えば、本市だけでも現物給付の拡大を実施するとなると、様々課題があるとは推察する。
しかし、子どもさんを、生み、育てやすい環境づくりを進めないと奈良市の少子化対策の強化はままならないとも考える。
そこで、仲川市長として、子ども医療費現物給付の拡大について考えを伺う。
仲川市長の答弁4
子どもの医療費助成制度は、自治体間で認定基準や助成範囲が異なり、住む地域によってサービスに格差が生じている。
どこに住んでも、安心して子どもを産み育てることができるよう、国の責務として子どもの医療費助成制度の創設が望まれる。
一方、県単位で中学生までを対象に現物給付方式を導入している自治体もあることから、これまでも本市といたしましても現物給付の中学生までの対象年齢の拡大について、奈良県市長会を主導し県に強く働きかけ、早期の実現に向け取り組んできたが、残念ながら実現に至っていない。
今後は、本市単独で実施できるよう様々な課題認識はあるものの検討していく。
まとめ
この度の質問で、市長から踏み込んだ答弁を初めて得ることができました。これまでは、県統一で進める立場に立っていたために慎重な姿勢でした。
部長答弁の中で、奈良市単独で中学3年生まで拡大すると、「国民健康保険国庫負担金の減額調整措置が課され試算では約708万円である。」ことが明らかになり、加えてその他のシステム改修費も必要となります。また、今後の医療費の推移も検証し続けなければなりません。
しかし、私の捉え方はできなくもないという感じがしています。
例えば、毎年度に発生している10億円を優に超える税の未収債権や、学校給食費の800万円程度の未収分などを積極的に解消を推進する行政改革すると、その財源が捻出できる可能性があります。
この子ども医療費の現物給付の拡大は、子育て世帯の支援でもあることから、私の積み残された政策課題と位置づけて、財源の問題を含め、これからも積極的に取り組んでまいりたい。