陽子線がん治療施設における増加費用訴訟に対し市長が別訴を検討
本日の財政福祉委員会にて『陽子線がん治療施設整備事業の一時凍結に伴う増加費用訴訟』について質疑が交わされました。
平成28年、日立製作所からの提訴から2年余りが経過し、近々裁判所から和解勧告がなされるであろうとのことだが、なんとこのタイミングで、市長は日立製作所に対し『別訴』を提起する考えがあることが示されました。
市長の主張は、工事の一時凍結に伴い、日立製作所による治療装置の運転や保守管理業務の契約期間が(平成42年満了)実質8か月短縮されたことによる名古屋市側から日立製作所側への支払額(約101億円)の減額(サービス購入料の減額)が、1.6億円から3.5億円程度あるとし、その内容と金額を訴訟上で明確にする必要があることから、『別訴』を提起して、これを日立製作所側に請求すべきであるとのことである。ちなみに日立製作所側はこの件について「減額が発生すること自体は認めるが、本件訴訟とは関係ない。」との立場を示しており、あくまで増加費用の決着が先であり、減額はその後の問題であるというスタンスで一貫しているとのこと。
日立製作所が『サービス購入料の減額』について一定認めていいるなか、あえて和解案が間もなく出てこようというタイミングで、市長が『別訴』をチラつかせ、民間事業者を訴え返すというのはいかがなものかと考えざるを得ません。日立製作所側が『サービス購入料の減額』に対し、否定的な立場を取り、協議に応じない姿勢を示しているわけでもないことを考えると別訴の提起という手法は、今後の和解に向けてや、市民に与える影響も含め、慎重にならざるを得ないのではないでしょうか。また、日立製作所側が主張されているように、サービス購入料の減額については和解後に協議するという解決方法を探れないのでしょうか。
いずれにせよ、市長は2年前のADR和解案(約15億円)に乗らなかった理由として挙げていた、「現段階では、この和解案では市民の理解を得られない」「3か月半の間、一時凍結したことに対する金額の妥当性に疑問がある」の2点について、2年が経過した現在においても、市長は和解に向けた具体的な金額や考え方について明言しておりません。この問題に対する市長の考え方が不明確なまま、一方で、サービス購入料の減額については、別訴を提起し日立製作所を訴えることを検討しているということ自体、どこまで市民理解を得られるのか、今後の市長の説明に私も慎重に耳を傾けてまいりたいところである。
私からは、別訴を提起する上において、市側が背負うリスク等を十分に考慮していただくこと、他の弁護士によるセカンドオピニオンを求めることなど指摘させていただき、あわせて市長にはくれぐれも広い視野で和解も含めて熟慮していただくよう申し上げました。

