公立大学法人名古屋市立大学における「国連アカデミック・インパクト」への参加について
11/29、名古屋市会11月定例会において、公立大学法人名古屋市立大学における「国連アカデミック・インパクト」への参加について質問いたしました。
国連アカデミック・インパクトとは、2009年に立ち上げられた、国連を通じた世界の大学等の高等教育機関同士の連携や、国連とのパートナーシップを推進する取り組みであります。
ミレニアム開発目標(MDGs)をはじめとする、国連に委託された業務・活動に、教育機関がコミットできる仕組みを提供することを目的に設立され、すべての参加大学において、毎年、国連が定める「人権・識字能力・持続可能性・紛争解決」の分野における普遍的な10原則のうち、少なくとも1つの原則を積極的にサポートする活動が求められています。
現在も、2015年に、ポストMDGsとして採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」にみる地球的課題に対する高等教育機関の貢献を促す取り組みとして進められ、世界で120か国以上、1000に及ぶ大学が国連アカデミック・インパクトに加盟しているところであります。
国内においても、現在、47大学が加盟しているところであり、例えば「中央大学」では、国連が定める10原則のうち、原則8の「貧困問題に取り組む」、原則9の「持続可能性を追求する」へのコミットメントとして、本市も推進する「フェアトレードの普及・啓発」に関する活動を行ったそうです。また、私の母校「創価大学」も加盟しており、先日は、国連UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)難民映画祭における作品「シリアに生まれて」の上映会をキャンパス内にて開催し、一般人を含む学生約300人が鑑賞し、難民への理解の輪を広げることができたと伺いました。その他、この地域からも「南山大学」が加盟しており、直近では、国連アカデミック・インパクト関連事業として「チリ-日本修好120周年記念シンポジウム」が同大学にて開催されたそうです。
今回、私がご提案させていただいたことは、こうした地球的課題に貢献しようとする大学連携である、国連アカデミック・インパクトに、公立大学法人名古屋市立大学も加わっていただきたいということであります。
公立大学法人名古屋市立大学では、平成26年に制定された建学の精神ともいえる「大学憲章」において「国際的・学術的研究への挑戦」「国際社会への貢献」が謳われており、この度議案となっている「第三期中期目標」においても、「世界をリードする大学への発展を目指す」との理念に基づき、海外の大学との大学間交流の充実やネットワークの形成、国際感覚豊かな人材の育成、国際間の研究協力による先端研究の推進を通じた国際社会への貢献、などが掲げられているところであり、こうした理念や目標は、国連アカデミック・インパクトと共鳴しあうものであるといえるのではないでしょうか。
地域社会と国際社会に貢献し、次世代をリードする優れた人材を陸続と輩出していくことは、市民によって支えられ、市民のための大学たる公立大学法人名古屋市立大学にとって非常に重要な使命であると言えます。地球的諸課題を克服し、持続可能な共生社会をめざす知の拠点として、国連アカデミック・インパクトへの参加を検討してみてはどうかと提案いたしました。
総務局長からは
「市立大学では、国連アカデミック・インパクトの趣旨に合致する取り組みとして、人文社会学部において、平成25年に「持続可能な開発のための教育・ESD」を教育理念に掲げカリキュラムの見直しを行い、持続可能な地域社会と地球社会を形成する人材育成を行っているところである。本市としては、このような取り組みを人文社会学部にとどまらず全学的な取り組みに発展させ、国際社会への貢献や、地域の国際化などに一層寄与していくことが重要であると考えている。。。。(中略)
国連アカデミック・インパクトに市立大学が参加することは、大学における取組が国内のみならず国外へ広く発信され、国外の他の参加校との連携促進につながり、国際化の更なる推進に資するものであることから、大変有意義であると認識している。
一方、参加にあたっては、学生の主体的な参加を促す仕組みの構築や継続的に取り組むための方策など、解決すべき課題もある。こうしたことから、国連アカデミック・インパクトへの参加に向けては、まずは、学生の意見も取り入れながら議論していくとともに、継続的・全学的に取り組む体制について検討を進めていく必要がある。」との答弁をいただきました。
『この国連アカデミック・インパクトに参加する、多くの大学が研究するテーマは、地球的な課題のほとんどを網羅しており、こうした世界の大学が持つ力を人類益のために発揮することが期待されております。』
多くの学生の声を聴き、取り入れ、主体的な取り組みを促す中で、地球的課題に挑戦する大学連携である「国連アカデミック・インパクト」への参加を期待したいと思います。