一般質問 延長戦
「図書館運営問題 ―方針決定は時間をかけて、オープンな議論を!―」
長崎市立図書館は2008年1月に開館しました。民間資金を活用するPFI事業として建設し、維持管理・運営も民間事業者が担ってきました。PFI事業の契約期間は2022年12月、あと2年ちょっとです。事業が終わっても図書館はもちろん存続しますので、PFI事業の契約期間終了後の維持管理・運営を誰が担うのか、どのような運営を行うのか、決めなければなりません。
あと2年の間に決めればいいのでは?―と思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、事はそう容易くはありません。
【公共図書館のあり方議論の沸騰】
先に述べたように開館以来、民間事業者が図書館業務のほぼ全てを担ってきましたので、その運営は適正に行われたのか、当初の提案で示された水準は達成できたのか、十分な検証が必要です。
また、公共図書館のあり方そのものの議論も必要でしょう。少し前の話題になりますが、武雄市立図書館が“TSUTAYA図書館”としてリニューアルし、公共を民間が担うことの「明と暗」が議論の俎上にあがりました。公共図書館を民間が運営することに対して警鐘を鳴らす一部の識者もおられますので、この点、―図書館運営は公と民、いずれかが担うべきか―についても議論を重ねておくべきでしょう。
【今後の日程は...】
前置きが長くなりましたが、ということで、2023年1月からの図書館運営をどうするかは、様々な検討を経たうえで方針決定するべきです。それが決まれば、誰が運営するのかの手続きに移りますが、さすがにこれだけ大きな施設ですので行政的な手続きも手間がかかります。
「公か民か」という論点は確かにありますが、さすがに公がすべて担う「直営」はあり得ないと思いますので、おそらく指定管理として次期運営事業者を決めるための公募選定は必須でしょう。となると、現在の事業者が手を挙げて、そのまま決まることもあり得るのですが、公募する以上は今とは違う事業者が選定されることも想定しなければならないので、当然引継ぎ期間を準備しておく必要があります。そのほかにも条例改正、議会手続きなどを考慮すれば、先に述べた検討の結論を出すリミットは2021年12月頃になるでしょうか。となると、あと1年2か月ほど。日程的にはかなり詰まってきます。
【議論の進め方、他都市では...】
全国には長崎市と同じようにPFI事業で建設・運営している公共図書館が7館ありました(独自調べなので数に確証はありません)が、PFI事業の終期を迎えた館はありませんでした。一番早く終期を迎えるのは府中市立中央図書館(2007年12月開館)で2022年9月になっています。長崎市より3か月早いですね。
府中市でのPFI事業期間終了後を想定した「図書館運営のあり方検討」はどのようになっているでしょうか。
府中市は図書館運営に関して市民からも様々なご意見があったことから、次期運営体制・手法について早期に議論を始めました。2018年の当初予算に「運営手法検討調査費」を計上し、PFI事業の検証をスタート。2019年5月からは市図書館協議会に諮問して今後の運営手法に関する具体的な議論を重ねています。同協議会は諮問された「今後の運営手法に関する事項」について6回にわたる審議を行い、同年10月に答申が示されました。図書館協議会には学識経験者や市民代表も含まれていますので、開かれた公正な場で意見を取りまとめたものです。現在はこの答申を基に市内部、議会での議論を進めています。
市民にとって関心度の高い図書館の運営を巡っての議論です。府中市には、早期に検証、検討をスタートすることで、時間をかけて冷静な判断ができるよう堅実に進めている印象を受けました。
【信頼を得る市政のために】
長崎市には当局としての政策の意思決定機関として「都市経営会議」があり、この会議を経て重要な政策が方向づけられます。私が提起した「図書館運営問題」が都市経営会議を経るべき内容かどうかは分かりませんが、市民のための図書館を今後どのような方針のもとに運営していくのか、重要な政策決定だと私は思います。市当局も、もしそう感じているのならば市内部での検討だけで事を進めるのではなく、広く市民の意見、識者の声に耳を傾けるという手続きを丁寧に進めてほしいと思います。
市政への信頼を市民から得るのに近道はありません。市には、手間と時間、時にはお金をかけても真摯に丁寧に説明責任を果たすことが求められるのです。