N-バス無料化の行方と、公平な交通支援について
先の長久手市9月定例会で、令和8年度からNバスの運賃を、75歳以上の高齢者に限り無料とする長久手市の新たな方針について質問しました。
N-バス運賃の経緯
Nバスは長年、赤字で運行しており、令和4年度からは65歳以上の方も1回100円を負担する形に変更されました。(年間1億2千万円余の運行経費には、Nバスを利用しない多くの市民の税金も投入されています)ところが、令和8年度からは市長の公約により「75歳以上は再び無料」にする計画です。市民の方からは「Nバスが赤字だったから有料にしたのでは?」という疑問の声が届いています。
しかも、この無料化は令和9年度の路線改変や運賃見直しまでの“1年間限定”になる可能性が高く、「公約の実現を優先しただけなのでは?」との声が聞かれます。
事業総点検と財源確保
市は現在、市長公約の「事業総点検」を進めており、各事業の効果を見直して令和8年度に必要な4億円の財源を確保することを目指しています。
見直しの結果、いくつかの事業が廃止となりました。たとえば、高齢者の外出促進を目的に、毎年マナカカードへ1,000円をチャージしていた補助事業です。総点検では「外出促進の効果が確認できない」として廃止が決まりましたが、限られた年金で暮らす方にとっては実質的な支えでした。
廃止の妥当性を判断するには、効果の検証方法と結果の説明が欠かせません。今回は、どの指標で、どのように評価したのかについて、市民への説明が十分とは言い難い状況でした。
効果をどう測るのか
外出促進の効果は、単なる「乗車回数」だけでは測れません。1人が50回乗るのと、5人が10回ずつ乗るのでは、同じ「50回」でも意味が違います。私は、税金で行う以上は効果をきちんと検証し、外出促進策へと繋げる必要があると思います。
また、「75歳以上無料化」に確かな効果があるのなら、1年で打ち切らず、継続的に実施すべきだと議会で訴えました。
公共交通会議でも出た懸念
8月に開催された長久手市公共交通会議でも、委員からは厳しい意見が相次ぎました。
- 1年だけ無料にするのは市民を混乱させる
- 有料→無料を繰り返せば、市への信頼を失う
- N‐バス運行経費の赤字がさらに膨らむのでは?
大切なのは「無料か有料か」ではなく、高齢者の外出支援という目的が本当に達成されているかどうかです。しかし、市の答弁は「これから検証方法を考える」という段階にとどまっています。
デマンドタクシーにも公平な支援を
令和9年度の秋から、予約制のデマンド型タクシーが本格導入される予定です。
もしNバスの無料化に高齢者の外出促進という効果があるなら、同様の無償枠をデマンドタクシーにも設けるべきだと要望しました。
市は「今後の検討課題」と回答しており、前向きな検討の余地が見えてきました。
持続可能な交通施策へ
市は「赤字だから有料」「公約だから無料」と方針が揺れています。
本当に市民の外出や暮らしに役立っているのか、効果を検証したうえで公平な支援を設計しなければ、Nバスの存続そのものが危うくなりかねません。
高齢者の外出支援は、健康づくりや社会参加に直結する大切な施策です。
この秋からは、新たな近距離移動支援として「ちんどんかー」が始動します。
ジブリパークのあるまちにふさわしい、ゆっくり走るグリーンモビリティで、NPO法人つづらさんが市のクラウドファンディングを活用して実現されました。
こうした地域の取り組みも生かしながら、Nバスに乗れる人も乗れない人も取り残さない――その視点で公平な交通施策を求めてまいります。

NPO法人つづら 提供