長久手市の新庁舎整備、一旦停止に—市民の安全と利便性を考える
2025年3月5日
長久手市の新庁舎整備について、市長は今議会で計画を一旦止め、現段階では結論を出さない方針を表明しました。
新庁舎の整備は、もともと現在の庁舎を建て替える計画 で進められていましたが、佐藤市長の公約を受け、リニモ沿線の長久手古戦場駅北側など、新たな候補地の検討 が行われました。しかし、土地取得費用だけで50億円規模 にのぼることが判明し、財政的な課題が浮上。加えて、近年の物価や人件費の高騰 により、新庁舎整備費が当初の52億円から80〜90億円に膨らむ 見通しとなりました。
この状況を踏まえ、市の財政負担を抑えるため、新庁舎の整備計画を一旦見直し、現庁舎の活用期間を精査しながら改修を進める方向性 となりました。
しかし、市役所は災害時の市民対応を担う最重要拠点 です。南海トラフ地震の発生リスクが高まる中、庁舎整備の遅れが、市民の安全や行政サービスに影響を及ぼす懸念 があります。現在の庁舎は築40年を超え、耐震性や老朽化の問題が指摘されており、将来的な対応が急務となっています。
財政状況を踏まえつつも、コンパクトな設計や分散型の庁舎にするなど、市民の皆さまが安心して利用できる市役所の在り方についてどのような選択が最善なのか、引き続き慎重な議論が求められます。この問題は、市民生活に直結する重要な課題であり、今後の動向を注視していきたいと思います。
※図は、2012年に出された南海トラフ巨大地震の被害想定(死者32万3000人、全壊・焼失建物は238万棟)から割り出された本市の被害想定
(10年余り前の被害想定を見直し、2025年の3月末をめどに公表するとしています。新たに災害関連死の規模と、巨大地震が時間差で発生する場合の被害想定も加わる見通しです。)