全ての子どもに生きる力を!発達性ディスレクシアと 『Tukubaモデル』
長久手市文化の家にて、第42回 尾東地区学校保健研究大会が開催されました。この大会は、愛知県学校保健会尾東地区連絡協議会の主催で毎年行われ、各市町の担当者が学校保健に関する最新の情報やテーマを学び合う大切な機会です。今年の担当市は長久手市で、地元の教育関係者も多く参加し、地域に密着した意義深い大会となりました。
特別講演では、NPO法人LD・Dyslexiaセンター理事長の宇野彰氏をお招きし、「発達性ディスレクシアとは ~読み書き困難な子どもの学びを支える~」をテーマにお話しいただきました。宇野先生は、発達性ディスレクシアの支援に関する「Tukubaモデル」を考案された方で、愛知県内では長久手市が初めて導入致しました。
きっかけは、私が長年、お子様の読み書き困難について保護者様からご相談を頂いてきたため、NPO法人ディスレクシア協会名古屋が主催する宇野先生の講演会に参加し、議会における一般質問で「Tukubaモデル」の必要性を訴え、導入して頂くことができました。
発達性ディスレクシアとは?
発達性ディスレクシアは、読むことや書くことが特に難しい学習障害の一つとされています。知的能力や意欲には全く問題がないどころか、優れた理解力を持つ子どもたちも多いのですが、文字を視覚的に認識したり音に変換するのが難しいため、読み書きに苦労します。
有名人では、ハリウッド俳優のトム・クルーズさんなどが挙げられます。幼少期に発達性ディスレクシアと診断され、読み書きに苦労しながらもその困難を克服し、世界的に成功を収めた人物で、他にも沢山の著名人がおみえになります。
Tukubaモデルとは?
子どもの生きる力を伸ばすためには、基本的な読み書きができると同時に、周囲の理解とサポートが重要です。Tukubaモデルは「ひらがなの読み書き100%達成を目指す」と共に、学校の先生方にも理解と指導法を習得して頂きます。子どもたちの力を無理なく伸ばしながら、高校受験時には「合理的配慮」を求めるための環境も整えてゆきます。
実際に、つくば市でこのモデルを実施した結果、過去6年間のデータでは、リスク児の約90%がひらがなの習得度が他の子どもたちと同じレベルに追いついたことがわかりました。中には、最初は一文字も読めなかった子どもが、9月には平均的な習得度に達するケースも見られました。
発達性ディスレクシアの子どもたちは、適切な支援と環境があれば、自分の能力を最大限に発揮することができます。読み書きが難しいというだけで、学びの力が不足しているわけではないからです。長久手市が導入した「Tukubaモデル」は、こうした子どもたちの学びを支える一歩であり、地域に理解を広げていく必要があると思います。
講演会終了後には市内中学校の先生から、「もしかしたらディスレクシア児だったのかも?と思う生徒の顔が複数、浮かびました。他の教員らと共有し、勉強してみます!」とのお声を頂きました。全ての子どもが学びを通して自己肯定感を育み、生きる力をつけられるよう、啓発活動を続けてまいります。