文部科学省は2月から、教育委員会や学校法人が教員採用する際の判断材料として、懲戒免職となって教員免許を失効した人を調べられるよう、情報提供期間を5年から40年分に大幅に増やしました。
2019年度に公立小中高校などで「わいせつ行為やセクハラを理由に処分された」教職員数は273人に上ります。文科省が調査を始めた1977年以降、最多となった2018年度に次ぐ多さです。19年度の273人のうち、わいせつ行為を教職員ではなく18歳未満の子どもに行ったのは126人で、121人が免職、5人が停職の懲戒処分を受けています。

安全なはずの学校で、信頼する教員から裏切られた子どもたちの心の傷は計り知れませんが、加害者は教職の道を閉ざされるわけではありません。教育職員免許法では懲戒免職となって教員免許が失効しても、3年を経過すれば再取得できることから、処分歴を隠したり、名前を変えたりして、別の地域で教員に採用され、再びわいせつ行為を繰り返す悪質な事例が数多く指摘されています。
■「処分歴」を知らずに採用される事を防ぐために
こうした中、文科省が昨年9月、「処分歴」を知らずに採用することを防ぐため、「官報情報検索ツール」を活用し、教員採用側に古い処分歴も把握できるようにしました。現在、懲戒免職の理由までは記載されていませんが、今後は児童生徒らへのわいせつ行為を理由とした懲戒免職であることが判別できるよう、省令(教育職員免許法施行規則)を改正し、同ツールの実効性を高めていく方針が示されています。但し、官報に処分歴が掲載されている事は、社会に広く認知されていません。子どもに関わる職種に対して、こうした情報をより広げる必要性があります。
■子供を教師によるわいせつ被害から守るために
公明党はこれまで、わいせつ教員問題の解決に向けて政府へ強く働き掛けてきました。政府は、当時の佐々木さやか文科大臣政務官(公明党)の下でプロジェクトチームを組み、官報情報検索ツールの拡充などの対策を講じてきました。
性犯罪は再犯率が高く、保護者団体からは「わいせつ教員を二度と教壇に立たせてはならない」と免許再取得を認めないよう求める声が上がる一方、憲法の職業選択の自由や他の資格との公平性などから、再取得を認めないのは難しいとする見方もあります。抜本的な再発防止策として、わいせつ教員を再び教壇に立たせないためには教育職員免許法の改正が必要となります。
公明党は自民党と共に「与党わいせつ教員根絶立法検討ワーキングチーム(WT)」を立ち上げ、2月から議論をスタートさせました。豊かな教育環境は教員と児童・生徒の信頼関係によって育まれますが、わいせつ行為はあらゆる事を根底から覆してしまいます。子どもは教員を選ぶことができませんので、被害を防ぐための有効な手だての検討が進められています。
■日本大学・末冨芳教授(教育行政学)の見解
教員の性暴力から子どもたちを守る上で課題は山積している。今後、35人学級の実施に向けて多様な人材を確保する上でも、わいせつ教員の排除が急がれる。公明党の熱意がなければ、政府が重い腰を上げて動き出すことはなかったかもしれない。
子どもたちを被害者にしない有効な予防策として提案したいのが、全小中高校での「わいせつ・セクハラアンケート」だ。教育委員会関係者からも、一番の問題は懲戒処分に至った事例ではなく、被害が埋もれている実態だと聞く。
アンケートを通じて、被害に遭っている子どもたち自身に性暴力に気付かせることで予防や早期相談につなげられる。オンラインによる実施で回答が直接、教育委員会に届く方式にすれば、子どもたちのプライバシーも保たれる。法改正を待たずとも自治体や学校でできる取り組みはある。各地の好事例を党内で共有し、取り組みを進めてもらいたい。
(公明新聞より一部抜粋)