人生100年時代に求められる幸福とは?
幸福度の研究の第一人者、アメリカ・ブルッキングス研究所のキャロル・グラハム博士の新聞記事を拝見しました。
博士は、故郷のペルーで貧困の実情を間近に見た経験から、開発経済を専門として活躍されています。
首都・リマの貧困地域で貧困の推移を調査した結果、多くの人が客観的には貧困状態から抜けだしたにも関わらず、半数以上は経済状況が「悪い」「とても悪い」と答えたそうです。また中国でも経済成長の恩恵を最も受けた層が、最も低い幸福度を抱いている事が解りました。
この調査はロシアをはじめ、世界各国で行われましたが結果は全て同じ傾向となったそうです。
それを受けて、イギリス政府が「幸福度」を測定するようになりました。続いてアメリカの政策にも「幸福度」の指標が用いられるようになります。(長久手市は「幸せ実感調査」で市民の幸福度の指標を計っています。)
博士の最新の研究では、アメリカの貧しい人種・民族的少数派の人たちは、同じく貧しい白人に比べて遥かに人生に楽観的で、希望を抱いていたそうです。経済的に恵まれず、不便な生活を送っていても、これらの人々は「困難を乗り越える力(レジリエンス)」を備えている事が大きな要因としています。
一方、白人は働き盛りの多くが孤独で目的を持たず、一日中ゲームをして過ごし、コミュニティが崩壊しており、自殺や薬物による死が急増している状況は悪化の一途を辿っているとのこと。
イギリスで行った調査では、「『直ぐに幸せになれる仮想の薬』を与えられるよりも、その人の持てる力を十分に発揮する能力や機会に恵まれること、たとえ収入が低かろうと、人生経験の機会を得て、自らに決定権が与えられ、やりがいを感じられる仕事を選択するという『自ら幸福を見つける道』を選択する人が多かった」としています。また、前述の白人の多くがそうした機会に恵まれておらず、社会的な繋がりも弱まっているため、「孤独に陥りそうな人々をいかに救い上げるかが重要な鍵」と語られていました。
最後に博士は、人生100年時代を迎えた日本への展望として、「人々が働かない時間が増える社会で、皆が孤独に陥らないよう、関わり合えるコミュニティーを作りだすことが重要」だと示されました。
昨日の不登校生徒を支える教育環境への意見交換とも重なりますが、多様な人生経験の機会を得ること、誰かと支え合い、孤独を回避することで、本来、誰もが備えている「困難を乗り越える力」が開花し、幸福の軌道へと繋がってゆくように感じました。
Twitter@karaokemint様より転載
