農地バンクの運営見直しへ
農地バンクとは2014年に都道府県ごとに設置された制度で、耕作放棄地などで分散した農地を集約して、意欲ある別の担い手にまとめて貸し付ける「農地中間管理機構」の通称です。
これまで、農家の方が所有する土地を他人に託すことへの抵抗感が障がいとなって制度の活用が停滞し、年々、増加する耕作放棄地の解消に繋がっていない事が問題視されていました。
この度、関連法案改正によって「地域の話し合いを促す」仕組みを整え、利用手続きについては見直されることが発表されました。
法案では、地域全体で農地の具体的な将来像を示す『地図』の策定を求めています。策定するには各地域の農業委員会などの関係者を中心に、後継者の有無等の情報共有を促し連携を図る必要があります。地域で話し合う機会が創出されることによって、農家の抵抗感を減らしていく効果が期待されています。
また、農協と市が別々に農地仲介機能を持っている場合などは、互いの関与を認めた上で「農地バンク」に一本化するとしています。更に、借りた土地に関する毎年の報告を取りやめるなど、利用手続きも一層、簡素化されます。
国は2023年度までに「市町村によって経営が安定している」と認められた担い手の目標農地を全体の80%としていますが、制度が開始された2014年度の達成度は約50%、2017年度は55.2%と微増といった状況が続いています。
今年度は農地提供した際の協力金を引き上げるなどの予算措置を講じて制度の利用促進が図られるそうです。
ご先祖様から託された大切な土地には、所有者にしか解らない想いがありますので、決して簡単な問題ではありません。だからこそ、先ずは法整備の進捗を見守り、ひとりでも多くの方が安心して話し合いの場に臨めるよう、期待してゆきたいと思います。