9月定例会が閉会 女川原発再稼働の賛成請願を採択
昨日、宮城県議会9月定例会が閉会しました。
最大の焦点となっていた女川原発2号機の再稼働については、昨日の本会議で、県議会として再稼働に理解を示すよう求める請願を賛成多数で採択をしました。
公明党県議団は、将来的に原発ゼロ社会をめざしておりますが、エネルギー自給率の低迷や二酸化炭素の排出増といった課題を踏まえ、安全性が大幅に向上した女川原発2号機の再稼働はやむを得ない、と判断しました。原発再稼働に対する県民の不安が根強いことを踏まえ、現地調査や住民説明会への参加、議会での議論などを通して、懸念される事項についてただした上での判断です。
今後とも原発の安全面について厳しくチェックしていくとともに、再生可能エネルギーの主電源化など、脱原発に向けた取り組みに全力を挙げてまいります。
昨日の本会議では、会派会長の伊藤和博議員が賛成討論を行いました。以下、討論の全文です。
議長のお許しを頂きましたので、公明党県議団を代表して請願番号357の4号、「東北電力株式会社女川原子力発電所2号機の再稼働にかかる早期理解表明に関する請願書」を採択することに賛成の立場から討論いたします。
東京電力福島第一原発事故を受け、原発の安全性に対する国民の信頼は大きく揺らぎました。我われ公明党は、この重大な事故を重く受け止め、今後のエネルギー政策について徹底した議論を積み重ねる中で、一定の方針を示してまいりました。
それは、新しい原子力発電所の建設は認めないこと、そして耐用年数を過ぎた原発については、その時点で稼働を終えること――を基本として、①太陽光や風力などの再生可能エネルギーの普及②省エネルギーの促進③化石燃料を有効に利用する火力発電の高効率化、この3つの取り組みに注力し、持続可能な経済社会の構築と経済成長を両立させ、原発への依存度を徐々に減らして、将来的に「原発に依存しない社会・原発ゼロ社会」をめざすというものであります。
ただ、資源に乏しく、エネルギー自給率が低い日本にとって、ただちに原発をゼロにすることは現実的に難しいとの判断から、既存の原発については、原子力規制委員会が策定した世界で最も厳しい規制基準を満たすことを前提に、立地地域の住民の理解が得られた原発については、再稼働を容認する立場をとっております。
私たち県議団と致しましては、この公明党のエネルギー政策、原発政策を基本として、女川原発の再稼働の是非について、現地調査や県民との意見交換、議会での議論、住民説明会への参加などを通して慎重に検討を重ねてまいりました。
その結果、現時点では、女川原発の再稼働はやむを得ないものと判断し、請願番号375の4号を採択することに賛成を致しました。
賛成の主な理由について、以下3点にわたり意見を申し述べさせて頂きます。
まず、1点目は、女川原子力発電所の安全性の問題です。
女川原発は、「千年に一度」と呼ばれた東日本大震災に耐え、安全に冷温停止しました。高さ14メートルの敷地には津波は到達せず、震災後は被災者を受け入れ、避難所としての機能も果たしております。地震により建物にひび割れなどが生じましたが、2012年7月から8月にかけて女川原発を調査した国際原子力機関・IAEAは、「女川原子力発電所の施設は、地震の規模、揺れの大きさ、長い継続時間にかかわらず“驚くほど損傷を受けていない”」との調査結果を公表しております。
2013年12月に、東北電力は女川原発2号機の設置変更許可を申請し、これを受けて原子力規制委員会では、176回の審査会合と8回の現地調査を行い、慎重な審議を経て、本年2月26日に新規制基準に適合すると認めました。この新規制基準は福島第一原発事故の反省に基づき、重大事故の発生を防止するための基準をさらに強化するとともに、重大事故の発生を想定した対策も新たに盛り込み、地震や津波、山火事、風水害、竜巻、内部溢水(いっすい)、航空機衝突、テロなどあらゆるリスクに備えた何重もの対策を求めており、世界で最も厳しい水準の規制となっております。
女川原発では、原子力規制委員会の審査と並行して、高さ29メートルに及ぶ防潮堤の建設や、電源確保対策の強化、フィルタベントの設置などの安全対策を実施しており、安全性に関しては震災前に比べ大幅に高まったと認識しております。
我が会派では、震災後3度にわたり、女川原発を視察して安全対策の進ちょく状況を直接確認してまいりました。また、平成30年4月には、九州電力を訪ね、再稼働をした玄海原発3号機、4号機の安全対策などを調査してまいりましたが、女川原発の安全対策は他の再稼働済み原発と比べても格段に充実していると考えております。
また、今議会の議員全員協議会や一般質問では、わが会派として、原子力規制委員会の審査の経緯や、重大事故時のヒューマンエラー対策などについてただしましたが、女川原発の適合性審査は、他の再稼働済み原発の審査よりも、透明性を高めた形で、妥協なく徹底して行われたことが示される一方、判断ミスや作業ミスなどヒューマンエラーの防止対策については、国や県から、現場の教育・訓練がしっかりと行われているか、立ち入り調査や指導を行うなど厳しく対応する旨の答弁を得ているところであります。
こうした現地調査や議会での議論などを踏まえ、わが会派としては、新規制基準に合格した女川原発の安全性は震災前よりも大幅に強化され、福島第一原発事故のような事故が発生する可能性は極めて低いと判断したところであります。
2点目は、温室効果ガスの排出量の増加と地球温暖化問題、そしてそれに起因する異常気象の頻発と自然災害による被災リスクをどう考えるかという視点です。
IPCC・気候変動に関する政府間パネル第5次報告で明らかにされた通り、それまで30年に1度程度だった異常気象は、10年に1度程度で頻繁に起こり、今後さらに多発する可能性が99%であるとの分析結果が示されています。
このことは、CO2排出量の増加が大きな要因であることは論を待たず、政治行政は今、国内外で頻発し激甚化する大規模な自然災害から人々の暮らしやなりわい、商工業者の事業継続等を守ること、とりわけ尊い人命を守っていくという最大にして最低限の責任を果たせるか否かが厳しく問われているのではないでしょうか。CO2削減という世界共通の宿題を前に、現状火力発電をフル稼働させ、結果、地球温暖化にアクセルを踏む事態に目をつぶることはでき得ないことと考えます。
ひるがえって、わが国が世界的に高まる脱化石燃料という大きな潮流の中で、どのようなエネルギー供給の実態にあるかを考えると、わが国のエネルギー消費量は世界第四位である一方で、エネルギー自給率はわずか11%程度にとどまっており、自給できない部分の大半を中東からタンカーで運び込まれる、いわゆる中東の油、化石燃料に強く依存している現状にあることは周知の通りであります。
このことは、例えばカロリーベースの食料自給率が4割にとどまっていることを指して、食糧安全保障の観点から大いに問題がある、過度に国外に依存を続けることは避けるべきとの論調と比べても、より安全保障上の視点から見て、自給を増していく必要性を感じざるを得ません。
地球温暖化の防止や、エネルギー安全保障の観点からも、化石燃料によるエネルギー生産の総量をできる限り低減し、再生可能エネルギーや原子力発電エネルギーを組み合わせたベストミックスを構成することが、いま取りうる現実的な対応であると考えるものです。
ただし、冒頭述べた通り、原子力発電については将来的にゼロにすることを目指す立場から、現状12%程度しかない再生可能エネルギーをエネルギー供給の太い柱へ拡大させるため、研究開発、そして財政的バックアップに全力をあげて取り組むべき、とも申し添えたいと思います。
3点目は、原発立地自治体の女川町(おながわちょう)、石巻市の声を尊重すべきという視点です。原子力発電所というリスクある施設を受け入れ、わが国のエネルギーの安定供給を支えてこられた立地地域の皆さんのご心労や、蓄積されてきた重い負担感、そして時とともに築かれてきた雇用の場や経済活動、さらには地域コミュニティーや生活の営みなど、長い年月をかけ築かれてきた、それらの歴史に思いを致す時、やはり立地地域の住民のご意見が最大限に尊重されるべきであると考えます。
今回、立地地域の住民の代表である女川町議会、石巻市議会は、女川原発の再稼働を求める陳情を採択しました。福島第一原発の惨状を踏まえれば、再稼働に賛成の立場をとる人も、もろ手を挙げて賛成という人ばかりではないと思います。しかし、この請願でも述べられているように、東日本大震災後、立地地域では、急激な人口減少や少子高齢化の進行、購買力及び労働力の大幅な減少、新型コロナウイルス感染症の影響など、非常に厳しい現状にあります。地域経済の復興のためにも、安全性が確認された女川原発を再稼働してほしいという地域の声を、地元の議会が様々な議論の末に選び取ったということを、県議会としても重く受け止めなければならないと考えます。
以上の3点から、請願番号375の4号「東北電力株式会社女川原子力発電所2号機の再稼働に係る早期理解表明に関する請願書」を採択すべきと考えます。
ただ、女川原発の再稼働について、県民の不安が根強いことも率直に受け止めなければなりません。特に、万が一の重大事故の際の緊急時対応や住民の避難計画については、県議会の議論においても、住民説明会においても、多くの懸念が示されたところです。女川地域の緊急時対応については、より実効性を高める努力は引き続き必要であります。国や県が約束した防災訓練の充実、避難路の整備拡充などが今後、確実になされるよう、わが会派としてもしっかりと監視してまいります。
最後に、繰り返しになりますが、公明党として、「原発に依存しない、原発ゼロ社会」を一日も早く達成するため、総力を挙げていくことをお誓い申し上げ、討論とさせていただきます。
ご清聴ありがとうございました。














































































































































