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宮城県議会議員 遠藤のぶゆき

「水道を外資に売った」は、明らかな誤り

2025年7月27日

「宮城県は水道を民営化し、外資に売った」。
2025年7月13日、参政党の神谷宗幣代表が仙台市内で行った街頭演説でこう発言しました。この発言はSNSや一部メディアを通じて急速に拡散され、多くの方が不安を感じたかもしれません。
しかし、この発言は事実に反する明らかな誤りです。宮城県はこの発言に対し、7月15日に正式に抗議し、訂正と謝罪を求めました。にもかかわらず誠意ある対応がなされなかったため、18日には再度抗議文を提出しました。
(参政党によるみやぎ型管理運営方式に対する発言について – 宮城県公式ウェブサイト)

公の場で政治家が、根拠のない話をあたかも事実のように語り、人々の不安を煽る。その無責任さには、強い憤りを禁じ得ません。水道という暮らしと命を支える公共インフラに関する議論だからこそ、冷静かつ正確な情報に基づいて語るべきではないでしょうか。

私にも不安の声が寄せられていることから、改めて制度を解説したいと思います。

まず前提として知ってほしいのは、宮城県の水道事業は、「県営」と「市町村営」に分かれています。
県は、上水道(飲料水)と工業用水道において、浄水場で水をつくり、市町村や大規模工場などに供給する「卸売」を担っています。市町村は県が作った水や、自らの浄水場で作った水を家庭や事業所に届ける「小売」を担当します。

また、県は「流域下水道」として、市町村からの排水を広域的に集めて処理する役割も担っています。
今回の制度改革は県営事業に関するものであって、市町村事業には関係ありません。

宮城県の水道事業(赤の囲い部分が県管理)

さて、宮城県が、県営事業の持続的な運営と水道料金の抑制をめざし、2022年4月に導入したのが、「みやぎ型管理運営方式」と名付けた官民連携制度です。これは、県が水道施設の所有権や水質管理、料金の決定権などを保持したまま、運転や点検・修繕などの業務を民間に委ねる仕組みです。

2019年の水道法改正により導入が可能となった「コンセッション方式」(公共施設等運営権制度)の一形態であり、県の責任のもとで民間の力を活用する制度です。したがって、「民営化」や「外資に売却」といった表現は事実に反しています。

宮城県は、上水道・工業用水道・下水道の3事業すべてを一体的にこの制度に組み込みました。契約の大規模化による「スケールメリット」を活かして、業務の重複を省き、コスト削減を図っています。これは全国でも初の取り組みであり、大きな注目を集めています。

新制度導入の背景

これまでの方式との違い

そして、県とともに、この制度を担う民間企業が、「みずむすびマネジメントみやぎ」です。この会社は、宮城県と契約を結び、上水道・工業用水道・下水道の3事業を20年間にわたり管理運営する責任を負う運営権者であり、制度全体の運営管理・資金計画・更新戦略などを統括する“司令塔”です。日本企業10社が出資して設立された特別目的会社(SPC)であり、国内最大手の水処理会社・メタウォーターが議決権の過半(51%)を保有し、経営の主導権を握っています。一方、外資系のヴェオリア・ジェネッツ(日本法人)も18%を保有していますが、単独で経営判断を行える立場にはありません。

また、同社から業務委託を受けて、施設の運転や保守などの現場業務を行うのは「みずむすびサービスみやぎ」という会社です。こちらではヴェオリア・ジェネッツが議決権の51%を持っていますが、メタウォーターが33.5%を保有し、重要な意思決定に対する拒否権を有しています。つまり、外資が一方的に何かを決定することなど、制度上できないのです。
この2社は、同じ10社が出資してつくられた“兄弟会社”であり、県の厳格な監督のもとで、それぞれの役割を分担しながら事業を遂行しています。

みずむすび2社の業務体制

各社の出資比率

加えて、制度の運営状況については、外部の専門家で構成される「経営審査委員会」が設けられており、第三者の立場から事業計画や経営内容を定期的に検証し、必要に応じて改善提言を行うなど、透明性と公正性がしっかりと担保されています。

「3重」の監視体制

こうした取り組みの結果、宮城県は、2024年度、市町村に販売する水の卸売価格を引き下げることに成功しました。全国的に水道料金の値上げが続くなか、逆に値下げを実現できたのは、この制度の効果によるものです。さらに、今後20年間で約337億円のコスト削減が見込まれており、県民の皆さんの負担軽減にもつながります。

仙南・仙塩広域水道では、供給単価は約5.5%引き下げ

事業費の削減効果

この制度は、2024年に国土交通省の「インフラメンテナンス大賞」の国土交通大臣賞を受賞しました。国もその仕組みの有効性と信頼性を高く評価しているのです。

斉藤鉄夫国土交通大臣(当時)から表彰

宮城県では、命を支える水道というインフラを次世代に引き継ぐため、制度設計から運営・監視体制に至るまで丁寧に構築し、県議会でも数年にわたって徹底的に議論を重ねた上で制度導入を決定しました。

新制度導入の経緯

それにもかかわらず、「民営化」「外資売却」といったセンセーショナルな言葉が一人歩きし、制度の本質をゆがめることがあってはなりません。
どうか皆様には、うわさや印象操作ではなく、正確な事実に基づいて冷静なご判断をいただきたいと、心から願っています。

みやぎ型管理運営方式の開始式典(2022年4月)には、県議会建設企業委員長として出席

(みやぎ型管理運営方式に関するブログ記事)
宮城県議会11月定例会が閉会 水道条例になぜ賛成したか(2019年12月)
水道事業改革の県民向け説明会に参加 (2021年4月)
水道「みやぎ型管理運営方式」事業開始式に出席 (2022年4月)
水道みやぎ型管理運営方式の現状を調査 (2025年5月)

#宮城県
#水道事業
#みやぎ型管理運営方式

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