東北労災病院の現地存続が決定
宮城県が主導する「仙台医療圏4病院再編構想」で、富谷市への移転が検討されてきた東北労災病院(仙台市青葉区台原)が、現地に存続することが決定しました。昨日、同病院を運営する労働者健康安全機構の大西理事長が宮城県庁を訪れ、村井知事に移転の断念と協議の終了を申し入れ、知事もこれを了承しました。
この決定により、4つの病院を2拠点に再編するという構想のうち、県立がんセンター(名取市)と仙台赤十字病院(太白区八木山)の統合は決定したものの、もう一方の東北労災病院と県立精神医療センター(名取市)の合築移転は白紙となりました。
東北労災病院の移転断念の理由は、労災病院グループ全体の経営悪化や建設費等の高騰によって移転にかかる資金の捻出が困難になったことです。大西理事長は「厳しい病院経営の中でもあらゆる努力をして、引き続き台原地区で診療を続けていく」と述べました。
2020年8月に移転構想が持ち上がってから約5年、ようやく現地存続という結論に至りました。東北労災病院は青葉区の総合病院の中では唯一の地域医療支援病院。病床数も550床と市内有数の規模で、その市外移転の影響は図り知れず、仙台市の郡市長はじめ、患者や住民、医師会などから現地存続を求める強い声が上がっていました。
公明党県議団としても、当初から患者や地域住民の声を重く受け止めて慎重に検討し、地域医療を確保するよう議会質問や知事への申し入れで再三求めてまいりましたので、今回の決定は評価したいと思います。また、病院再編をめぐる議論を通じて、仙台医療圏の現状や課題が、県民の間でも広く共有されることとなったため、この決定に至るまでの期間は、決して無駄な時間ではなかったとも考えます。
ただ、病院再編の目的の一つであった富谷・黒川地域の救急搬送体制の強化や災害拠点病院の整備といった課題は残りますので、県は引き続き同地域への病院誘致や医療体制の整備を支援していく必要があると思います。
現在、仙台医療圏の既存病床数は、医療法で定められた基準病床数に755床足りない状況です。今後、県立がんセンターと仙台赤十字病院との統合により、さらに400床が減少しますので、総合病院を新たに増やすことも可能と考えます。
仙台医療圏では急性期病床が過剰、とはされていますが、病床機能の分析手法によっては、一概に過剰とも言えないという見方もあり、さらに今後は高齢化で医療ニーズも増大しますので、他県からの医療法人誘致も選択肢に含めて検討すべきではないかと考えます。
今回の決定をもって、4病院再編構想は一区切りとはなりますが、精神医療センターの建て替え地の選定、仙台赤十字病院の跡地利用など引き続き多くの課題が残されています。仙台医療圏の持続可能な医療体制の構築に向け、今後も全力で取り組んでまいります。
#4病院再編
#東北労災病院
#仙台市青葉区