3月7日から平成24年第1回水戸市議会定例会が始まりました。
高倉富士男は13日の本会議で会派を代表しての質問に臨み、新年度予算、震災からの復興や防災対策などについて市長の取り組みを質しました。
本会議で質問をする高倉富士男(3月13日)
【質問項目】
1.市長の政治姿勢について
(1)新年度の予算編成と重点項目について
(2)第6次総合計画の策定について
(3)水戸の魅力の向上と情報発信について
(4)まちづくりにおけるPFI等の民間活力の活用について
(5)市民と行政との協働の推進について
(6)地域主権改革一括法施行に伴う課題と今後の市民サービスの向上について
(7)消費者行政について
(8)内原地区の合併建設計画の推進について
2.震災からの復興と防災対策の強化について
(1)市役所本庁舎と市民会館について
(2)防災対策強化の進捗状況と今後の推進について
(3)復興基金の活用と復興交付金の見通しについて
(4)地域防災計画の見直しについて
(5)市民の自助・共助の強化による防災・減災のまちづくりについて
3.市民生活の安心について
(1)子どもの医療費無料化の対象拡大について
(2)公共交通空白地域への対策と高齢者の移動権の確保について
4.教育行政について
(1)教育の水戸ブランドについて
(2)小中一貫教育と子どもの学力向上について
【主な質問と答弁・要旨】
1-(3)水戸の魅力の向上と情報発信について
(質問)
偕楽園や弘道館をはじめとする歴史的、文化的遺産、また千波湖に象徴されるような水と緑にあふれる自然環境など、水戸市が誇る豊富な地域資源をどのように活用し、また、新たなまちの魅力を創り上げ、広く伝えながら多くの人を引き寄せていくかが、長年にわたる本市にとっての大きな課題となっている。既に国内各地で、あらゆる都市が、我がまちの魅力を高めるための方策を練り、あらゆる知恵を絞り、都市間の競争に打ち勝つための取り組みをしているところである。水戸に行ってみたい、水戸に住んでみたい、こうした思いを一人でも多くの方々に感じて頂けるような、より魅力的なまちづくりが必要であり、そのためにはこれまで以上に幅広く重層的な施策の展開も必要になってくると考えるが、本市の魅力向上のための今後の取り組みについてお伺いする。また、情報化社会といわれる中で情報発信力を高める方策も重要である。現在、社会においてはツイッターやフェイスブックなどのソーシャル・ネットワーキング・サービスなど、これまでになかった情報伝達の手段が広がっており、その利用者も急激に増加している。今後はこれまでの一方的な情報の伝達手法だけでなく、外からの情報も取り込んでいける、そうした双方向のコミュニケーション型の情報伝達手法などの活用も十分に検討すべきと考える。新年度よりは、新たな組織編成により、水戸の魅力発信課との名称の課を設置し、その中にイメージアップ係を設けると伺っており、文字通り、情報発信力の強化、水戸のイメージアップの効果を上げることが期待されるが、本市における水戸の魅力の発信力強化、イメージアップへの戦略的な取り組みとはどのようなものになるのかお尋ねをする。
(答弁)
水戸が活力あるまち・安心できるまちへと飛躍するためには、水戸のまちの持つ個性と魅力を高めることで、交流人口の増加を図り、消費を活発化させ、さらには地域経済を活性化させることが重要であると考える。水戸のまちは、千波湖の水や緑などの美しい自然、徳川家ゆかりの豊かな歴史、また、水戸芸術館、水戸ホーリーホックなど多くの地域資源に恵まれている。しかしながら、民間調査機関における地域ブランド調査による都市の魅力度において、本市は全市区町村別で172位、県内でも2位に甘んじているのが現状である。私は、この現状を打開し、水戸のまちに人を呼び込み、交流を生み出し、活力あるまちへと飛躍するため、「みとの魅力発信課」を設置することにしたところである。「みとの魅力発信課」においては、これまでの市民への広報に加え、本市の歴史や文化、観光などの情報を戦略的かつ多面的に発信するため、首都圏、茨城空港就航先などの観光事業者等へ配布するシティーセールスマガジンの発行や、ロケの誘致等を積極的に行うフィルムコミッション活動を推進するなど、水戸の魅力を県内をはじめ、国内外にも積極的にPRしていく。併せて、これまで各部・各課で実施していた各種イベントなどを、相乗効果が生まれるよう有機的に連携させ、より効果的なPR活動に取り組んでいきたいと考えている。また、水戸の魅力の発信手法についても、充実を図ってまいりたい。現在のネットワーク社会においては「人と人のつながりを促進・サポートするコミュニティ型のウェブサイト」、いわゆるソーシャル・ネットワーキング・サービスを積極的に活用することも重要であると考えており、今後はツイッタ―などによる双方向型通信を積極的に活用し、情報発信とともに、情報交流を推進し、まちの活性化にも生かしていく。
2-(2)防災対策強化の進捗状況と今後の推進について
(質問)
この度の大震災では、電気、水道などのライフラインがストップしたことや、災害の情報が正確に伝わらないないなど、各家庭や地域でも大変困難な状況が続いた。また、指定避難所とされている学校や市民センターなどの公共施設の避難所においても、一部が使用できない状態であったり、水や食料、毛布などの備蓄品の不備、あるいは発電のための機材や、対策本部との連絡のための手段が無いなど、常日頃からの地震災害に対する想定や備えの甘さが露呈した。公助の役割を担う行政においては、もはや想定外という言葉は許されない状況であると言える。今回の震災における様々な教訓を原点として、その反省を今後の防災に十分に活かし、防災力の強化、そして災害に強いまちづくりを早急に構築していかなければならないと考える。防災力の強化については、これまでも議会で数多くの議論や提案がされてきたところであり、震災から既に1年が経過しようとしている現在、本市では防災力強化のための取り組みがどこまで進んでいるのか。また、今後の推進についてお伺いをする。
(答弁)
東日本大震災から一年、次なる震災に備え、防災対策を強化し、災害に強いまちづくりの実現に向け取り組んでいるが、現在までの取り組みとして、災害時に避難所となる市民センター、小・中学校などの施設に、確実に情報伝達が行えるMCA無線機を配備した。また、備蓄の整備については、地域の防災拠点となる全市民センターに備蓄倉庫を設置するとともに、非常食、飲料水、毛布、簡易トイレなどの備蓄物資を配備し、非常食においては、震災時の最大避難者約12,500人の3食3日分を確保した。また、水戸コミュニティ放送と連携を強化し、災害時においてFMラジオを活用し、水戸市からの災害情報をきめ細やかに届ける。さらには、津波対策の強化として、浸水が想定される地域において高台に避難する時間がないときなどに避難するために、一番近く強固な建物である県立水戸高等養護学校、産業技術短期大学校を新たに緊急避難所に指定した。今後の取り組みとして、平成24年度において、地域の生活用水を確保するため、各家庭の井戸水の水質検査を行い、その井戸を地域に知らせ災害に備える制度の創設や、さらなる備蓄整備の強化として、小・中学校への備蓄物資の配備や、全避難所に発電機を設置する。さらに地域の自主防災組織の支援強化として補助金の増額をしていく。このような防災対策の強化に加え、市民への周知や災害時に対応する職員の訓練等を徹底し、万全を尽くしていく。
3-(2)公共交通空白地域への対策と高齢者の移動権の確保について
(質問)
公共交通により、市民が移動しやすい環境づくりと利便性を高めることは、本市にとって重要な課題となっている。これからさらに進展する高齢化社会において、公共交通をはじめとする市民の移動手段の確保は、人が行き交い交流するにぎわいのあるまちづくりには欠かせない要件である。本市では,現在、事業者とも連携しながら、バス路線の維持に努められているが、いわゆる不採算路線については、今後も廃止などの困難に直面することも十分に想定される。水戸市の財産ともいうべきバス路線等の公共交通の維持のためには、地域の方を巻き込み、その中心になって考えて頂くような取り組みも必要である。一方で、バスなどの公共交通が無い空白地域の存在や、バス停までの移動が困難な高齢者が多くいることも事実である。こうした、現行の公共交通が補完し切れない部分については、新たな移動手段の活用も視野に入れながら、現行のバス路線と組み合わせた、総合的な交通施策の確立が必要であり、そうした施策の実施に向け、一歩踏み出していく時期に来ているのではないかと考えるが、市長の御見解をお伺いする。
(答弁)
本市では、昨年度「バス交通実態調査」を実施し、路線バスに関する市民ニーズや課題の整理を行い、現在その結果を踏まえ、利便性の向上や公共交通に対する市民の意識改善など、路線バスの活性化に向けた取り組みを進めている。本市の郊外部においては、鉄道や路線バスを利用できない、公共交通空白地域や路線バスの運行本数が少ないなど、公共交通を利用しにくい地域もあることから、これらの地域への対応も課題となっている。そのため、路線バスが存続の危機にある地域や廃止となった地域などにおいては「路線バス利用促進実証実験」をモデルとして、地域、事業者、行政が共通認識のもとで連携し、路線バスの再生に向けた取り組みに努めてまいりたい。また、高齢者が住み慣れた地域で安心して自立した生活を送るためには、高齢者の移動手段を確保していくことが重要である。私は「高齢者の移動手段の確保」を公約に掲げており、その実現に向けては市独自の福祉施策として現在取り組んでいる「通院支援サービス」の拡充のほか、デマンド型交通システムなど、新たな移動手段の導入や、NPO等による取り組みの活用などが考えられる。実施に当たっては、関係機関との協議や受益者負担のあり方などの課題もあるが、対象となる高齢者の意見を伺いながら、高齢者等の移動手段の確保に取り組んでいく。
4-(1)教育の水戸ブランドについて
(質問)
水戸には歴史と伝統に裏付けられた学びの伝統が今も脈々と受け継がれており、水戸で学んだすべての子どもたちが、これからも広く社会で、またこの故郷水戸において、将来を担い活躍されることを期待するものである。市長におかれては、この度の新年度予算で示されたように、水戸らしい教育の充実、また、教育の水戸ブランド化というものを掲げ、教育の分野における独自性をもった「水戸スタイル」ともいうべきものの確立を目指されておられる。こうした新たな教育への取り組みを通して、市長が目指されている水戸らしい教育とはどういったものであるのか。また、この教育を通じてどのような子どもたちを育てていかれるお考えであるのか、お伺いをする。
(答弁)
現在、子どもたちはグローバルな社会に生きており、水戸で生まれ育つ子どもたちが、郷土を愛し、よりよい水戸を創造していける人材、時代の要請である国際化に対応した人材と成長してほしいと考える。ローカリズムに裏付けられたグローバリズムを身に付け成長していく「グローカリズム」を身に付けることを期待する。本市では、「先見性」「実践性」「国家的視野」を特徴とする水戸藩の学問、弘道館の「天下の魁」の精神を受け継ぎ、先人の教えや歴史と伝統に根ざした教育を実践している。この歴史と伝統に裏付けられた教育を基盤に、水戸からさらに翔たいて、国内外で活躍できる人材を育成してまいりたい。そのため、新年度から、小・中一貫教育「まごころプラン」や習熟度別学習等による学力向上を目指した「さきがけプラン」など、新たな独自の取り組みを、教育の水戸スタイルとして確立していく。「子どもを安心して生み、健やかに育てることのできるまちづくり」を目指し、「教育を受けるなら水戸」と言われるように、魅力ある教育を水戸ブランドとして構築していく。